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【経済】【クラウドファンディング】口腔内3D画像をスタッフと患者がアプリで共有 歯科医療のDXに挑むRightly、1月19日募集開始

 口腔内3D画像を医院スタッフと患者が共有できるアプリを開発するRightly株式会社(東京都江東区)が、株式投資型クラウドファンディング(普通株式型)による出資を募集します。申し込みは1月19日19時30分開始を予定しています。

・ 普通株式型
・ 目標募集額:600万円、上限募集額:1400万円
・ エンジェル税制あり(優遇措置B ※Aの可能性あり)
・ みなし時価総額:8000万円
・ 類似上場企業:ケアネット、ジェイフロンティア、サスメド、eWeLL、ソフトマックス、グッピーズ

※「みなし時価総額」はミンカブ編集部が「発行済み株式数×募集株式の払込金額」により試算

歯科データを自由に持ち運べる世界を実現

 Rightlyは、歯科医院が口腔内スキャナーによって取得した口腔内の3D画像などをクラウドにアップロードし、スマホやパソコンなどのデジタル端末を通じて院内スタッフと患者が共有できるコミュニケーションアプリ「Liex(リエックス)」を開発・販売しています。



 口腔内スキャナーで撮影した画像のデータ形式はメーカーによって異なるため、これまで、メーカーが提供するサービス外にデータを持ち出し、クラウドで共有することは技術的に困難だったといいます。同社はこの技術的なハードルをクリアし、サードパーティ(外部事業者)製のメーカー横断クラウド共有アプリとして「Liex」を開発したとしています。

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(出典:FUNDINNO)

 「Liex」はパソコン・スマホ・タブレット等で利用でき、3D画像を使うことで、治療説明や歯磨き指導をより詳しく行うことが可能になるといいます。患者には専用スマホアプリ「Liex for patient」を提供しており、口腔内の状態を自己管理できるようにすることで、予防歯科への意識向上につながると同社は考えています。

 また、同社は歯科3D画像を活用し、歯科法医学にも貢献していきたい考えです。現在、自然災害等で多数の身元不明遺体が発見された場合、個人識別は人海戦術に頼る部分が大きく、3D画像による照合が可能になれば、身元確認作業の大幅な精度向上と効率化が実現すると見ています。行政・自治体等と連携し、歯科データベースの構築に「Liex」のビッグデータを活用してもらうことを目指すそうです。

 「Liex」は現在、16の歯科医院にテスト導入されており、臨床での応用事例を蓄積しています。今後、臨床での応用事例は歯科学会等で発表される予定で、同システムの認知拡大・販売促進につなげたい考えです。また、大学2校にも導入されており、法医学への応用可能性について検討中です。

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(出典:FUNDINNO)

 「弊社は、アプリのさらなる機能強化や海外展開を進め、歯科医療のデジタル化を推進し、個々人が自分の歯科データを自由に持ち運べる世界の実現を目指していきます」(同社)



Rightlyが「解決したい課題」

 同社は「解決したい課題」として、以下の3つを挙げています。

(1)口腔内スキャナーが長時間、アイドリング状態となっている現状

 同社によると、現在、歯科医療業界では2040年の社会を見据え、質が高く効率的な歯科医療提供体制を確保するため、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の活用を推進しているといいます。

 歯科診療技術の分野では技術革新が進行しつつあるものの、実際の臨床で応用されている技術は少ないことが指摘されており、歯科医療業界として、このビジョンを達成するためには、CTや口腔内スキャナーの普及と、取得した3D画像を自由に活用できる環境が必要だと同社は考えています。

 3D画像は「情報の宝庫」であり、3D画像を使うことで、目視では確認しづらい部分を拡大して見せることができ、医師や歯科衛生士による治療の説明やセルフケアの要点が、より伝わりやすくなる効果が期待できるそうです。

 しかし、現状、口腔内スキャナーを導入している歯科医院で機材をフル稼働できているケースは少なく、同社がヒアリングした歯科医院では、口腔内スキャナーの平均稼働時間は1日わずか約30分でした。

 稼働時間が短い理由は、口腔内スキャナーによる光学印象(口腔内をカメラでスキャンして歯型を採る方法)が保険適用外で、自由診療での活用に限定されているためだといいます。自由診療以外で口腔内スキャナーを占有して、本当に必要なときに使えないという事態を避けるため、インプラントやセラミック、矯正治療など限られた症例でしか活用されていない現状があるそうです。

(2)予防歯科による医療費削減が国民皆保険制度の危機を救う可能性

 同社は、高齢になっても歯が多く残っている人ほど、年間にかかる医療費が少なくなるというデータに着目しています。

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(出典:FUNDINNO)

 口腔衛生と口腔機能の維持・向上はQOL(Quality of life:生活の質)の維持・向上にもつながるため、予防歯科の重要性は高いと同社は考えています。

 医療費の社会的な負担が増える一方で、保険料収入の減少が続けば、日本の国民皆保険制度の持続が難しくなるため、予防歯科による医療費削減は社会全体に影響を与える可能性があるといいます。

 「一度失った歯は二度と元には戻らないため、セルフケアと定期的な歯科検診の重要性を、より多くの人が認識し、行動に移す必要があると考えています」(同社)

(3)歯科所見による身元確認システムの実用化にはさまざまな障壁

 身元不明遺体の個人識別を行う際、顔貌や所持品などで特定が難しい場合は歯科所見による個人識別が有効ですが、手作業や人海戦術に頼る部分が大きく、特に大規模な災害や事故では、膨大な時間と労力を要する点が課題になっているといいます。

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(出典:FUNDINNO)

 2011年の東日本大震災では、翌年までに岩手県・宮城県・福島県の身元不明遺体の約7.7%が歯科所見によって身元の特定に至ったことから、歯科所見による身元確認の重要性が再認識され、歯科情報による身元確認作業の効率化・迅速化を図ろうと、厚生労働省主導で「歯科情報の利活用及び標準化普及事業」が進められているといいます。

 同事業では、身元確認のためのデータベース構築に向けた、標準規格のあるレセプト(診療報酬明細書)を用いたデータ収集による検証が行われた結果、レセプトデータには保険外診療の情報が含まれないこと、部位と処置が紐付けられていないことなどから、照合の精度に課題があることが判明、精度向上には、カルテ情報、検診情報、画像情報と収集データの段階的な拡充が必要だと結論付けられたそうです。

 「歯科情報による身元確認システムを実用化するためには、さまざまな障壁を乗り越える必要があるのが現状です」(同社)

口腔内スキャナーの専有時間を短縮→稼働率アップ

 同社は口腔内の3D画像を活用するため、口腔内スキャナーメーカーの垣根を越えてデータを共有できるアプリ「Liex」を開発。国内で広く普及しているメーカー3社が扱うデータは形式がすべて異なるため、メーカーが提供するソフトウエア以外の手段でデータを持ち運ぶのが困難でしたが、「Liex」は各メーカーの3D画像を1つのプラットフォームに集約し、カラーで患者に共有できる点が強みだといいます(米国と日本で国際特許出願中)。

 口腔内スキャナーで撮影した3D画像を「Liex」にアップロードすれば、専用ソフト不要で、インターネットに接続された院内のデジタルデバイスのブラウザから自由に閲覧することでき、また、患者用スマホアプリ「Liex for patient」は治療履歴や口腔内の3D画像などがスマホで、いつでも確認できるそうです。

 画像のアップロードは5分程度で済み、アップロード後は院内のデジタルデバイスで、患者に説明を行うことができるため、口腔内スキャナーや専用ソフトがインストールされた端末を占有する必要はないといいます。

 「口腔内スキャナーの占有時間を短縮し、稼働率を高めることができれば、より多くの患者様に対して、口腔内スキャナーを有効活用することが可能になると考えています」(同社)

 口腔内スキャナーと3D画像の有効活用により、ブラッシング指導など患者への説明に対する理解促進、予防歯科への意識向上、印象材での型取りが不要な光学印象による印象採得で患者の負担軽減と業務効率化などの効果が期待できるほか、視覚的な説明は治療への関心を高め、高付加価値治療の提供促進にも効果的だと同社は考えています。

 今後、口腔内スキャナーによる光学印象が保険適用対象となれば、口腔内スキャナーが一気に普及することが予想されるため、「Liex」によって口腔内スキャナーの稼働率を高め、有効活用してもらうことで、予防歯科への意識向上、治療による収益向上に貢献したい考えです。

 同社によると、米国やオーストラリア、フィンランドなどでは大規模災害時、歯科法医学者を含む専門チームが身元の特定を行っており、歯科所見がその有効な手段として活用されているといいます。

 「Liex」にカラーの3Dデータが大量に蓄積されれば、利用価値の高いビッグデータになり、関係省庁や自治体などと連携して「Liex」のデータを活用することで、身元確認の精度向上に貢献できると同社は考えています。

ターゲットは全国6万8000の歯科医院、海外展開も

 同社は「Liex」のターゲットとして、全国約6万8000の歯科医院で、主に口腔内スキャナーを導入している施設を想定しています。

 現在、歯科衛生士用(患者教育)1万4850円/月額(税別)のプランを提供しており、2023年夏ごろ、歯科医師用(臨床応用)2万7000円/月額(同)、フルパッケージ(歯科衛生士用+歯科医師用)3万9000円/月額(同)を追加する予定です。

※患者教育:医療専門家が患者や患者の介護者に自身の健康に関わる情報を伝え、行動変容を促して健康状態を改善させること

 現在、口腔内スキャナーによる光学印象は保険適用外ですが、新たな機器の薬事承認の動向から、保険適用対象となるのは時間の問題だと同社は見ています。保険適用されれば、歯科医院への導入が一気に進み、「Liex」の市場拡大が見込まれるそうです。

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(出典:FUNDINNO)

 現在、テストユーザーとして16の歯科医院が「Liex」を導入しており、今後は「Liex」導入歯科医院の歯科医師の協力を得て、「Liex」の臨床応用事例をさまざまな学会やスタディグループで発表してもらうなど認知度向上を図っていく計画です。

 海外では口腔内スキャナーの普及が進んでおり、今後もマーケットの拡大が予想されているため、2023年1月中旬より、インドネシアの歯科医院への導入に向けて協議を開始する予定で、また、2023年2月には、同国の歯科医院に向けた販売促進策として、デンタルショーへの出展を予定しています。

今後の成長に向けて

(1)3D画像のビッグデータを歯科医療領域全体で展開

 今後は3D画像の収集を国内から海外に広げ、大学等と連携し、身元確認を前提にビッグデータの活用方法を検討する計画です。カラーの3D画像データを標準化し、国が主導で進めている身元確認システムと互換性のあるデータベース構築を目指すといいます。

 同社は、身元確認を迅速・高精度に行うには、多くの歯が残っている必要があり、国民一人一人が日頃から、口腔ケアに関心を持つことが重要だと考えています。

 「Liex」によって収集したビッグデータは将来的に、歯科医療領域全体で展開することを視野に入れており、歯科医院・患者・歯科技工所・医療機関・行政など、それぞれが歯科データを軸にシームレスにつながるソリューションで、口腔内の健康意識向上に貢献することを目標としています。

(2)歯科医院の要望に基づく、四半期に1度の機能追加

 今後もユーザーである歯科医院からの要望を吸い上げ、四半期に1度のペースで機能追加を継続的に行う予定です。現在、検討中の機能はOHI機能、DICOMデータ対応、顔貌再現機能だといいます。

※OHI(Oral Hygiene Index):歯垢と歯石の付着状態を数値化し、口腔清掃状態を評価する指標
※DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine/ダイコム):CT・MRI・X線等で撮影した医用画像のフォーマットと、それらを扱う医用画像機器間の通信プロトコルを定めた標準規格

 直近の予定は、患者へのブラッシング指導の効果を高めるのに効果的なOHI機能の追加で、2023年2月までに一部機能の実装を目指しています。

 また、医科歯科連携を強化するため、DICOMデータのアップロード機能とビューア機能を実装し、ウェブブラウザからデータを閲覧できるようにして、利便性向上を図りたい考えです。紹介先や転院先などに画像データを渡す場合、CD-Rにデータを記録して手渡ししていましたが、これらの機能により、メールで共有リンクを送信できるため、即座にデータの受け渡しが可能になるといいます。

 さらに法医学と関連する機能として、顔を立体的にシミュレーションする合成機能の実装を計画しています。2Dの顔写真データと口腔内の3D画像データを合成することで、事故などで顔にひどい外傷を負った場合でも、合成データを参照して顔貌を再現するためのソリューションとして開発を検討中です。

(3)将来のEXITはバイアウトを想定

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(出典:FUNDINNO)

(4)2028年までに「Liex」国内契約件数累計1200施設突破を目指す

【タイトル】
(出典:FUNDINNO)

類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)

・ケアネット <2150> [東証G]
・ジェイフロンティア <2934> [東証G]
・サスメド <4263> [東証G]
・eWeLL <5038> [東証G]
・ソフトマックス <3671> [東証G]
・グッピーズ <5127> [東証G]

発行者・募集情報

■募集株式の発行者の商号及び住所、資本金等
Rightly株式会社
東京都江東区亀戸七丁目9番14号
資本金:1,000,000円(2023年1月6日現在)
発行済株式総数:20株(同)
発行可能株式総数:1,000株
設立日:2022年1月11日
決算日:12月31日
※2023年1月6日を効力発生日として、400分割の株式分割に伴う発行済株式総数、発行可能株式総数の変更を実施しており、登記申請中。登記完了後の発行済株式総数は8,000株、発行可能株式総数は1,000,000株となる。

■募集株式の発行者の代表者
代表取締役 松岡敬子

■募集株式の種類及び数(上限)
普通株式 1,400株

■募集株式の払込金額
1株あたり 10,000円

■資金使途
・目標募集額達成時の資金使途内訳
調達額600万円を以下の目的に充てる予定。
「Liex」システム開発費 224万円
人件費 244万円
手数料 132万円

・上限募集額達成時の資金使途内訳
上記に追加し、調達額800万円(目標募集額600万円と上限募集額1,400万円との差額)を以下の目的に充てる予定。
「Liex」システム開発費 397万円
人件費 227万円
手数料 176万円

■投資金額のコース及び株数
100,000円コース(10株)
200,000円コース(20株)
300,000円コース(30株)
400,000円コース(40株)
500,000円コース(50株)
1,000,000円コース(100株)
1,500,000円コース(150株)
2,000,000円コース(200株)
2,500,000円コース(250株)
3,000,000円コース(300株)
3,500,000円コース(350株)
4,000,000円コース(400株)
4,500,000円コース(450株)
5,000,000円コース(500株)
※特定投資家口座以外からの申し込みの場合、500,000円コース(50株)までしか申し込みできない。特定投資家口座からの申し込みの場合、5,000,000円コース(500株)を上限とする。

■申込期間
2023年1月19日~1月25日

■目標募集額
6,000,000円(上限募集額 14,000,000円)
※特定投資家口座全体からの申し込みの上限は11,000,000円とする。

■払込期日
2023年2月17日

■連絡先
Rightly株式会社
電話番号:03-6823-2285
メールアドレス:hello@liex.info

※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、FUNDINNOの下記ページをご覧ください。

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