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【特集】玩具市場の牽引役! 天井知らずの「トレーディングカード」関連 <株探トップ特集>

トレカの人気が続いている。リユースショップで高値で取引されるものもあるほか、NFTを活用したNFTトレカも広がり始めた。トレカを使ったTCGと合わせて要注目だ。

―コレクションとしてリユース店では高値で売買、TCGもプレー人口の裾野広がる―

 トレーディングカード(トレカ)の人気が続いている。日本では、古くはお菓子のおまけとして封入されていた「プロ野球カード」などがあり、友人同士で交換をした経験のある人もいると思うが、最近ではスポーツ選手、アイドル、アニメ・コミックのキャラクターなどさまざまな種類のトレカが発売されている。これらのトレカは リユースショップ フリマアプリを利用した二次流通も盛んで、高値で売買されるものもあり、市場は活発化している。更に一部のデジタルカードがNFT(非代替性トークン)のコレクションアイテムとして高額で取引されるようになるなど話題にも事欠かない。

 また、専用のトレカを利用したトレーディングカードゲーム(TCG)も楽しむ人の裾野が広がり、同じように市場が活性化している。トレカやTCGは今や国内の玩具市場の牽引役となっており、関連銘柄の好環境も続きそうだ。

●トレーディングカードってなに?

 なじみのない人もいるかもしれないが、トレカとは収集や交換を目的としたカードのこと。前述の「プロ野球カード」以外にも、サッカーなどのスポーツ選手、アイドル、アニメやコミックなどのキャラクターなどさまざまな種類のトレカがあり、新品は書店や玩具店、専門店、ネットを通じて販売されるほか、中古品はリユースショップやフリマアプリなどを通じて売買されている。

 一方、こうした収集・交換を目的としたものではなく、販売されている専用トレカを用いて行うカードゲームがTCGだ。1993年に米ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社が発売した「マジック:ザ・ギャザリング」が世界初のTCGといわれるが、その後サブカルチャーの一つとして日本に輸入されると徐々にプレー人口を増やした。現在でも新たなゲームの登場とともに、その裾野を更に拡大させている。

●21年度の市場規模は46%の高成長

 日本玩具協会が6月に発表した調査によると、2021年度の国内「カードゲーム・トレーディングカード」の市場規模は上代価格(メーカー希望小売価格)ベースで1782億4900万円(前年度比45.6%増)となり、01年度に現行の方式で集計を始めてから過去最高を記録した。金額ベースでは約558億円の増加となる。玩具市場全体は8946億1000万円(前年度比8.5%増)で、金額ベースでは約701億円増えていることから、増加分の8割弱を「カードゲーム・トレーディングカード」が稼いだことになる。

 同協会によると、好調の背景には、「 ポケモンカードゲーム」「遊戯王OCG」「デュエル・マスターズTCG」の3強がいずれも大きな伸びを達成したことがあるという。特に「ポケモンカードゲーム」は前年に引き続き大変な人気を集め、品薄状態が続いたとしている。

 これらのタイトルはいずれも発売から20年以上が経過しているが、スマートフォン向け位置情報ゲームアプリや、配信ゲームなどが加わったことによる対象年齢の拡大があるほか、キャラクターやゲームが世代を超えるようになったことで購買層を広げている。この傾向は今後も継続するとみられており、市場の高成長は続きそうだ。

●有力IPをトレカで展開する企業に注目

 関連銘柄として注目されるのは、バンダイナムコホールディングス <7832> [東証P]だ。11月に発表した上期(4-9月)連結決算で営業利益は816億700万円(前年同期比32.2%増)の大幅増益となったが、トイホビー事業のハイターゲット層(大人層)向け商品やカード商材などの利益率の高い商品・サービスが好調だった。12月7日には子会社のバンダイが、23年3月24日から新規TCG「UNION ARENA(ユニオンアリーナ)」を展開すると発表した。同ゲームは一つの共通したルールのもと、数多くの人気作品が参戦するルール共通型のTCG。3月の発売から夏までに、「コードギアス 反逆のルルーシュ」「呪術廻戦」「HUNTER×HUNTER」など9作品以上の人気作品の参戦が決定しており、ほぼ毎月新たな作品が参戦し、年間では約20の作品を予定しているという。

 ブシロード <7803> [東証G]は、「カードファイト!!ヴァンガード」「ヴァイスシュヴァルツ」「ラブライブ!スクールアイドルコレクション」「Shadowverse(シャドウバース) EVOLVE」などのTCGのIP(知的財産)を有しており、国内ばかりでなく海外にも展開している。11月に発表した第1四半期(7-9月)連結決算では、売上高が123億4000万円(前年同期比17.7%増)と2ケタ増となったが、TCG分野が牽引した。第2四半期も新製品の投入や他社IPとのコラボ商品の投入を計画しており、引き続き同分野の好調を見込む。

 ハピネット <7552> [東証P]は、玩具卸大手として、TCGの販売を手掛けている。11月に発表した上期(4-9月)連結決算では、売上高1403億7000万円(前年同期比12.1%増)、営業利益32億7800万円(同26.1%増)と増収増益を達成したが、その要因の一つとして「ポケモンカードゲーム」や「ONE PIECE カードゲーム」などのトレカの好調を挙げている。12月に入り、ポケモンカードゲーム ソード&シールド ハイクラスパック「VSTARユニバース」の販売を開始しており、下期業績への貢献が期待されている。

 このほか、「Z/X(ゼクス)」や「Vividz(ビビッヅ)」などのTCGが好調なブロッコリー <2706> [東証S]や、中国を中心とするアジア地域で子会社円谷プロダクションの「ウルトラマン」のTCGが好調な円谷フィールズホールディングス <2767> [東証P]なども注目したい。

●二次流通でリユース業界を活性化

 トレカの好調の理由は、ゲーム性の面ばかりではなく、コレクション性にもある。

 トレカの多くは、「○○パック」「○○ボックス」と呼ばれる中身のわからないセットでの販売が主流で、基本的に1セットでは全カードが揃わないようになっている。また、各社ともカードデザインに工夫を凝らしているほか、発行枚数を少なくするなどしたレアカードと呼ばれるものもあり、これらがコレクション欲を促し、流通を活発にしている。

 トレカの流通の中心は、リユースショップだ。10月20日の株探トップ特集「物価高もフォローの風、好決算光る『リユース関連』本格飛翔へ」でも紹介しているように、リユース関連銘柄は足もと好業績のものが多いが、業績を牽引する商材の一つにトレカを挙げる企業も多い。

 テイツー <7610> [東証S]は、トレカ専門店「トレカパーク」を展開するほか、業界トップクラスの100店舗超でトレカを取り扱っている。10月に発表した第2四半期累計(3-8月)連結決算で営業利益は8億6100万円(前年同期比38.2%増)となったが、業績好調の要因として「新品・中古ともトレカ商材が絶好調」(会社側)であったことを挙げている。AI機能を搭載した自社開発のトレカ読取査定機「TAYS(テイズ)」の外販も進めており、今後も貢献が期待されている。

 買取王国 <3181> [東証S]は、今年4月にテイツーと業務提携し、トレカの取り扱いを強化しており、テイツーの「TAYS」の導入を進めている。同社の11月度の月次売上概況では既存店売上高は前年同月比18.7%増と9ヵ月連続で前年実績を上回ったが、好調商材の一つにトレカを挙げている。また、ブックオフグループホールディングス <9278> [東証P]の11月既存店売上高は前年同月比12.6%増と22ヵ月連続で前年を上回ったが、同社も増収を牽引した商材の一つにトレカを挙げている。

 このほか、コレクターズショップとして多くの商材が集まるまんだらけ <2652> [東証S]、ホビー専門店を展開するワットマン <9927> [東証S]なども注目したい。

●NFT化により高額で取引されるケースも

 更にここ最近では、ブロックチェーン技術を応用したNFTによるトレカが人気となっており、これに関連する銘柄も注目される。

 前述のようなコレクション性から、カードには資産価値があると判断されるようになった。リアルのカードだけではなく、デジタルの世界でも同様で、資産価値を担保するためのNFT化が早くから進められた。特にNBA(米プロバスケットボールリーグ)のデジタルカードは人気が高く、プレーヤーたちの名プレーをテーマにした「NBA Top Shot」は数千万円で取引されるものも多い。

 国内でもトレカのNFT化に取り組む企業が増え始めたが、アクセルマーク <3624> [東証G]は、オルトプラス <3672> [東証S]などと共同で、国内で初めてNFTを活用したJリーグオフィシャルライセンスゲーム「Jリーグ トレーディングサッカー」を開発(アクセルMはパブリッシングを担当)。11月30日にオープンβ版の配信を開始した。同社では「Free to Play and Earn(無料で始めて楽しみながら稼ぐ)」のブロックチェーンゲームとして同ゲームの成長に注力するとしており、今後の取り組みに注目したい。

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