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【特集】佐藤正和氏【上昇一服局面に、年末に向け上げ潮相場は続くか】(2) <相場観特集>

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

―急速なドル安・円高で投資家のセンチメントに変化は?―

 週明け14日の東京株式市場は日経平均株価が反落した。前週末の米国株市場ではハイテク株への買いが牽引し主要株価指数が揃って上昇したが、やや買い疲れ感もみられNYダウはザラ場に300ドル超も安い場面があった。そうしたなか、東京市場でも目先利益確定売り圧力が意識されやすい。足もと外国為替市場で急速にドル安・円高方向に振れていることも気がかりだ。そうしたなか、年末に向けた株式市場の見通しや為替の動向などについて、先読みに定評のある市場関係者2人に話を聞いた。

●「足もとの円高は短期行き過ぎか、12月発表の米CPIが重要ポイント」

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

 10日に発表された米10月消費者物価指数(CPI)は、前年同月比7.7%上昇となり市場予想を下回った。この発表を受け、一時138円台半ばまでドル安・円高が進んだ。一気に7円強の円高となった格好だが、さすがにスピードが速く、短期的には行き過ぎたようにも思える。

 チャート的にも、ちょうど一目均衡表の雲の下限が先週末時点で138円43銭の水準にあった。この水準を抜けないとトレンド転換したとはまだ言えないとみている。CPIの上昇率は緩んだとはいえ、米連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標である2%に近づくには、まだ相当時間がかかる。今後、FRB高官などのタカ派発言が出てくる可能性もある。

 これから出てくる米経済指標を確かめる必要があり、特に12月13日に予定されている11月CPIは重要で、その結果が鈍化するようならインフレはピークアウトしたとみていいのかもしれない。12月13~14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、現時点では0.5%の利上げが見込まれる。その次の2023年1月31日~2月1日のFOMCで0.25%の利上げが行われるとみており、その後は様子見も予想される。ただし、金利引き下げによる金融緩和に移るのは、相当先で早くて来年末、あるいは24年の初めではないか。

 こうしたなか、今後1ヵ月程度のドル円相場のレンジは1ドル=135~145円前後を想定している。まだ、ぎりぎりでドル円は上昇トレンドを維持しているとみている。ただ、150円は遠くなっただろう。ユーロドル相場は1ユーロ=0.99~1.05ドル前後を見込んでいる。欧州のリセッション懸念も強く、若干のユーロ安・ドル高基調を予想している。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(さとう・まさかず)
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。

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