市場ニュース

戻る
 

【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 一発散発高より上昇持続の銘柄を!

株式評論家 植木靖男

「一発散発高より上昇持続の銘柄を!」

●激変相場に転じた株式市場

 日経平均株価は11月最注目の重要イベントである米国中間選挙、米消費者物価指数(CPI)の発表を巡って乱高下というより激変相場に転じている。

 すなわち、11月8日の米中間選挙を前にして、日米市場ともに大幅上昇した。選挙前は共和党が圧倒的優位といわれ、株式市場に冷たいバイデン政権の政策は緩和されるとの見立てで買いに動いたのだ。だが、結果は“レッドウエーブ(野党の共和党の圧勝)”は不発に終わった。このため、11月9日の東京市場は反落し、結局、選挙前と後の株価水準はほぼ横ばいになった。

 ところが、息つく間もなく10日に米CPIが発表され、インフレ率が予想外に低下していた。市場にとってはCPIの方が中間選挙より関心が高かっただけに、まさに市場の期待通りの結果となった。長期金利は大幅に低下し、株価急反発の舞台装置は整った。

 実際、米国ではNYダウはもちろんのこと、長らく停滞していたナスダックも9月下旬以降の上値抵抗となっていた1万1000ポイントに到達した。逆三尊底の形成である。

 日本株はどうか。米CPI発表後の週末11日、日経平均株価は投資家の心理的フシとされる2万8000円を難なく突破。戻り相場の肝である2万8100円~2万8200円処にまで到達した。今後、明確にこのラインを突破すれば3万円も視野に入ってくるとみられる。

 唯一の気掛かりは、為替が円高に振れたことだ。いうまでもないが、円安をもって株価がここまで踏ん張ってきたことを鑑みると、円高歓迎の声は耳障りとしかいいようがない。しかし、よく考えれば、円安途上での一時的な円高局面は、その後の円安に資するとみられる。FRB(米連邦準備制度理事会)のインフレ目標である2%達成への道はかなり遠いのだ。米国のQT(量的引き締め)、日本のQE(量的緩和)の差は大きい。円安のピークはまだまだ先と判断したい。

●早めの出動・退却で臨むべき

 今後の株価はどう捉えるか。米国市場の10月中旬以降の上昇は、本年1月に大天井を打った後の初めての中間反騰といえる(一部では本格反騰とみるアナリストもいるようだが……)。おそらく長期金利の動向からすれば、新年1月頃まで反騰が続くとみられる。

 東京市場も為替の動きを気にしながらも、米国株高に背中を押される格好で上昇基調を続けることになろう。

 では、物色動向はどう変化するのであろうか。おそらく、米国株高を中間反騰と位置づければ、本年1月以降大天井を打ったグロース株の反撃が本格化するとみてよい。であれば、業績はあまり気にすることはなさそうだ。深い押しをみせただけに、その戻りもある水準までは急となろう。投資スタイルとしては早めの出動・退却が筋といえよう。

 もうひとつ大事なのは、当面、全面安の逆となる、ほぼ全面高の展開をみせる可能性があることだ。こうした局面では大きな散発高を狙うより、継続的に上昇してきている銘柄の方が効率はよい。散発高の銘柄は下げるのも早いからだ。

 さて、いまの時点でやや長く人気化しそうな銘柄はなにか。気になるのは三菱自動車工業 <7211> [東証P]と三菱商事 <8058> [東証P]だ。いずれも10月28日から上昇のスタートを切っている。同じ三菱系だ。キナ臭さもある。注目したい。

 中間反騰としてもハイテク株の動きは軽快だ。なかで新光電気工業 <6967> [東証P]は8月の高値を上回ってきた。フェローテックホールディングス <6890> [東証S]も散発高銘柄ではなさそうだ。日立製作所 <6501> [東証P]は21年11月高値7460円に接近してきた。最後の大物銘柄かもしれない。

2022年11 月11日 記

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均