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【特集】IT活用で既存モデル変革、「医療DX」関連株は新フェーズ突入で覚醒へ <株探トップ特集>

少子高齢化に伴う人手不足など、さまざまな課題を抱えている医療業界。こうしたなか、今後更にニーズが高まりそうなのが、業務の効率化やサービスの向上につながる医療DXだ。

―医療現場に押し寄せるDXの波、新型コロナ再拡大で重要性を再認識―

 IT技術の進化に伴い、デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉を耳にする機会が増え、ビジネスの現場では日常的に使われるようになった。DXは人工知能(AI) ビッグデータなどの先端技術を活用して既存のビジネスモデルを変革することを意味し、どの業界もスピーディーに進めていくことが求められており、医療従事者の減少やシステムの整備不足といった課題を抱える 医療も例外ではない。新型コロナウイルス感染症が再拡大していることもあって医療DXの重要性が再認識されるなか、株式市場では関連企業の商機拡大を期待する声が増えている。

●「骨太の方針」に医療DX推進を明記

 政府が6月7日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2022」では、23年度からのオンライン資格確認の原則義務化や24年度中の保険証発行の選択制導入など、医療DX化を強力に推進する方針が打ち出された。

 医療DXについては「医療情報の基盤を整備するとともに、G-MIS(病院の稼働状況、病床や医療スタッフの状況、受診者数、検査数、医療機器や医療資材の確保状況などを一元的に把握する厚生労働省の医療機関等情報支援システム)やレセプトデータなどを活用し、病床確保や使用率、オンライン診療実績など医療体制の稼働状況の徹底的な“見える化”を進める」と明記。また、自民党政務調査会が提言していた「全国医療情報プラットフォームの創設」「電子カルテ情報の標準化」「診療報酬改定DX」が盛り込まれ、行政と関係業界が一丸となって進めるとしている。

 岸田政権の看板政策の一つである「デジタル田園都市国家構想」の基本方針に、医療分野での未来技術の活用が掲げられていることもあり、医療DXの関連銘柄から目が離せない。

●ケアネットは医療専門サイト中心に事業展開

 ケアネット <2150> [東証G]は、医師・医療従事者向け医療専門サイト「ケアネット・ドットコム」を中心とした医師プラットフォームを活用した各種事業を展開。足もとでは医薬DX事業とメディカルプラットフォーム事業がともに好調で、10日に発表した22年12月期第2四半期累計(1-6月)の連結営業利益は15億円(会計基準変更のため前年同期との比較なし)で着地。通期計画25億8900万円に対する進捗率は58%近くに達している。また、同日にはCSO事業(医薬品販売業務受託機関のことで、派遣MRが主なサービス)などを手掛けるコアヒューマン(東京都港区)を子会社化することも明らかにしており、今後の動向に関心が寄せられている。

●国内最大級の診療データベースを持つMDV

 メディカル・データ・ビジョン <3902> [東証P]は、国内最大級の量と質を誇る診療データベースを保有していることが強み。主力のデータ利活用サービスでは製薬会社向け調査・分析サービスが堅調なほか、診療データベースを活用して患者数や処方日数、処方量などを容易に分析できるWeb分析ツール「MDV analyzer」の売り上げが拡大しており、8日に発表した22年12月期第2四半期累計(1-6月)の連結営業利益は7億8500万円(会計基準変更のため前年同期との比較なし)で、通期計画15億9900万円に対する進捗率は49%とほぼ計画線上で推移している。なお、「MDV analyzer」については、療養中の患者の処方変更などが確認できる新たな機能を搭載した「MDV analyzer for Patient Journey」のサービスを開始した。

●メドレーは人材プラットフォーム事業が好調

 メドレー <4480> [東証G]は、医療ヘルスケア分野の人材採用システム「ジョブメドレー」を中心とした人材プラットフォーム事業が好調だ。12日に発表した22年12月期第2四半期累計(1-6月)の連結営業利益は12億7200万円(会計基準変更のため前年同期との比較なし)となり、通期計画の9億円を上回った。オンライン診療システム「CLINICS オンライン診療」を中核とした医療プラットフォーム事業は営業赤字だったが、これは人員の増強やプロダクトの継続開発など中長期的な成長に向けた投資が影響したためで、利用医療機関数は増加している。

●JMDC、子会社が製薬向けチャットボット開始

 JMDC <4483> [東証P]は保険者が保有するデータの分析サービスなどを手掛けるヘルスビッグデータ事業が主力で、遠隔医療事業や調剤薬局支援事業なども行っている。各事業ともに順調に推移しており、9日に発表した23年3月期第1四半期(4-6月)の連結営業利益は前年同期比31.3%増の10億8100万円で着地した。加えて、子会社の医薬情報ネットが、製薬・医療機器メーカー向けチャットボット「ファーマボット」の提供を開始したことにも注目したい。

●エムスリー、ファインデなどにも注目

 このほかでは、国内最大級の医療専門サイト「m3.com」を運営するエムスリー <2413> [東証P]、レセプト特定健診のデータからデータヘルスのPDCA(計画、実施、チェック、再計画)サイクルのすべてを提供するデータホライゾン <3628> [東証G]、病院やクリニック向けのソリューションを手掛けるファインデックス <3649> [東証P]、医療情報クラウドサービスを扱うテクマトリックス <3762> [東証P]、医療情報システムサービスを展開するサイバーリンクス <3683> [東証P]、医療情報システムの開発・販売に強みを持つUbicomホールディングス <3937> [東証P]、医療・看護・介護に特化したクラウドサービスを提供するカナミックネットワーク <3939> [東証P]などのビジネス機会も増えそうだ。

 また、直近ではアイリックコーポレーション <7325> [東証G]がJMDCグループのflixyと医療機関の問診票における光学的文字認識(OCR)機能の共同普及を開始すると発表したほか、TDSE <7046> [東証G]は医療DXの推進強化を目的にシミックホールディングス <2309> [東証P]のグループ会社であるシミックソリューションズとAIプラットフォーム「Cognigy」の販売パートナー契約を締結。アドバンスト・メディア <3773> [東証G]は医療現場向け記録作成支援サービス「アミボイス アイノート ライト」の最新バージョンの提供を開始し、日本システム技術 <4323> [東証P]は筑波大学と医療ビッグデータを用いた傷病対策の背景にある市民行動の発見に関する共同研究を開始している。

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