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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─当面はグロース株優位の展開へ

株式評論家 植木靖男

「当面はグロース株優位の展開へ」

●チャートの関門、6月9日高値の突破なるか

 日経平均株価は大転換をみせ始めたようだ。7月20日に待望の2万7000円大台を明確に上抜いた。同水準は6月中旬以降、上値抵抗つまり壁となっていた。しかも、20日の上昇幅は718円と久々の上げ幅となった。これは前日のNYダウが754ドル高と急反発したことを受けたものだ。

 なぜ、これほどNYダウは大きく上昇したのか。多くの市場関係者は首を傾げる。FOMC(米連邦公開市場委員会)における1%利上げ観測の後退、世界経済の減速懸念の和らぎなどを指摘する声があったが、これといった好材料が顕在化したわけではない。材料が出て株価が上昇するのは当たり前。では、なぜ? これは株価自身の意思表示とみてよい。こうした上げ方は先行きによい影響を及ぼすのだ。

 かくして、日経平均株価は米国株の急反発に背中を押される格好で2万7000円の大台を突破した。ちなみに、7月入りしてからの日経平均株価の騰落状況は21日現在で11勝3敗、NYダウは7勝7敗だ。日本株の優位性がうかがえる。

 当面、6月9日の2万8389円がターゲットになるが、この水準に向けて戻り相場の肝となるラインを突破してきただけに、2万8000円大台の奪回は近いとみたい。週末22日も上昇し、日経平均株価は連騰日数を「7日」に伸ばしたが、これまでの経験則では9連騰が一つの節目となりやすい。

 いずれにしても株価は大転換したとみられるが、唯一気になるのは週足で一目均衡表の「雲」を1月第2週以降、一度も突破していないことだ。週足の「雲」上限は現在2万8420円に位置しており、これをクリアするためにはやはり6月9日高値の2万8389円を明確に突破する必要がある。

 市場環境からは先行き米国景気は悪化するのか、はたまた過剰貯蓄をテコに消費は落ちず、景気は大きく落ち込まないのか、この論争が尽きない。ただ、悪材料は相当程度、この1~2カ月で織り込んだとみてよいだろう。

●円安基調への復帰が鍵を握る

 日本株では、円安の流れが今後の焦点となる。これまで「円安=株高」で推移してきた。岸田政権は物価高対策に必死だが、一方で日銀は金融緩和政策を維持して景気を煽ろうとしている。本来、物価の番人は日銀であるはずなのに……。

 こうしたなか、当面の物色対象をどう捉えるか。結論からいえば、グロース株に注目したい。足元、米国ではナスダックの上昇が際立っており、すでに戻り相場の肝となる水準を突破している。底値波乱を脱却しつつあるといえる。米長期金利は大きく低下し、これまで上昇を維持していたドル指数も高値をつけたようにみえる。国際商品をみても、原油や銅、小麦などが6月に入って急落していることなど、これまでとは株価を巡る景色が大きく変わってきた。さらに、企業の4-6月決算が本格化するなか、やはり好調なのはグロース株だ。過去のケースからも株価が大天井を打つと、3~5カ月経過して底打ちすることが多い。つまり、戻り相場入りだ。当面1~2カ月はグロース株優位の展開が期待できるのではないか。

 問題は日本株だ。仮に円安が当面、もみ合いに転じるとすれば、株式市場も暫くはもみ合い入りする可能性があろう。株価が騰勢を維持するには、早期に為替がもみ合いから再び円安基調に戻ることが望まれる。ここ数日がヤマ場となろう。週明けにもドルが再騰に転じることを祈るばかりだ。

 いずれにせよ、当面は日米ともにグロース株の戻り相場に賭けたい。

 今回はまずルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]に注目したい。車載向けマイコンの大手だが、需要は堅調で今来期は増収増益が期待される。

 次はJSR <4185> [東証P]。半導体材料がデジタルインフラ需要に支えられて順調。今期2ケタの増収増益へ。

 最後にイー・ガーディアン <6050> [東証P]に注目したい。ITの技術革新が進む一方で、セキュリティ面での脅威は年々深刻化しており、サイバーセキュリティ事業の成長に期待。今期10%前後の増収増益へ。

2022年7月22日 記

株探ニュース

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