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【特集】馬渕治好氏【週明け反発、2万6000円台回復で次の局面は】(1) <相場観特集>

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

―米国株市場を支配する弱気ムードは果たして払拭できるか―

 ここ下値模索の動きを強めていた日経平均株価だが、週明け4日の東京株式市場は、前週末の米株高を受けて反発に転じ、2万6000円台を回復した。しかし、手探り状態の戻り相場で上値も重い。米国株市場の動向を横にらみに当面は不安定な値動きが続きそうだ。今後の相場展望について、ブーケ・ド・フルーレット代表の馬渕治好氏に話を聞いた。また、ここ不安定な為替市場についても、外為オンライン・シニアアナリストの佐藤正和氏に今後の見通しを聞いた。

●「相対的強さ発揮し2万8000円台視野」

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

 全体相場は強弱観対立のなか、ボラティリティは高いものの方向感がいま一つ定まらず、日経平均はボックス圏での往来が続いている。米国株市場の動きに左右されることは否めないものの、東京株式市場は相対的に強い動きが期待できるとみている。肝心の米国株市場についても、足もとやや悲観に偏り過ぎている嫌いがある。FRBの金融引き締め強化の動きを背景に、景気後退局面に陥るのではないかとの思惑が高まっているわけだが、それが現実化するところまで、株価は既に織り込んで売られてしまっているフシも否めない。

 景気を冷やしもしないし、過熱させることもない中立金利が2.5%前後と試算されているが、現状はまだそこにも達しておらず、仮に7月のFOMCで政策金利が一気に0.75%引き上げられたとしても、ようやく肩を並べる程度である。もちろん、中立金利を超えたからといって、景気を抑制させることはあってもいきなりリセッションに直結するような乱暴な話ではない。

 米国株市場についてミクロの視点からアプローチした場合はどうか。アナリストは米国企業の見通しを大幅に下方修正しているわけではない。例えばS&P500を対象とした22年12月期のEPSは現状で前期比10.1%増予想と2ケタ成長を見込んでいる。これをマクロ的見地から、株価が下げているのだから企業業績も悪化するにきまっているという論調があるが、これは行き過ぎた悲観論であると思われる。早晩、この行き過ぎた悲観の修正が株価をリバウンド局面に向かわせる公算が大きい。

 向こう1ヵ月のタームでみて、NYダウは3万2000ドル台後半から3万3000ドル台を目指す方向を想定している。また、もう少し長い期間でみて、年末までには3万5000ドル台を回復している可能性も十分にあるとみている。

 日本株については、2020年3月のコロナショックによる暴落後の急激な戻り相場をみても分かるように、下落時は海外投資家の売りが集中してドラスチックな下げとなるが、戻り足もその分だけ速く、今回の相場回復局面でも米国株市場を上回るパフォーマンスを上げることが予想される。企業のPERなども日本株は割安感がある。また、18年以降のトランプ関税や、その後のコロナ禍で抑制されていた反動から設備投資需要が上乗せされる可能性も考慮して、相対的な日経平均の上値余地は大きい。当面は2万8000円台に再チャレンジする展開となり、年末までには3万円大台ラインを突破しているだろう。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(まぶち・はるよし)
1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程修了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。最新の書籍は「コロナ後を生き抜く 通説に惑わされない投資と思考法」(金融財政事情研究会)。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。

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