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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】政策関連のテーマ性ある銘柄に物色は絞られるか?!

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

「政策関連のテーマ性ある銘柄に物色は絞られるか?!」

●荒い値動きが継続、内需系にシフトへ

 日経平均株価は6月20日に2万5500円水準まで急落したが、5月安値とのダブルボトム形成が意識されるなか上昇に転じ、6月25日には2万7000円を回復した。ただ、節目の水準に達したことで、目標達成感が台頭。また、5月の米個人消費支出が消費の伸び悩みを示す内容だったことを受けて、世界景気後退への警戒感が高まり、週末には2万6000円を割り込んできた。足元の東京市場は短期的な売買が中心であり、米経済指標の内容などに一喜一憂する形で荒い値動きが続いている。また、これまで成長期待から買われていた半導体企業についても、成長鈍化の懸念が高まってきており、これも指数の重荷となった。

 米国では来週8日に6月の雇用統計の発表を控えているほか、7月中旬から決算発表が本格化してくるため、引き続き荒い値動きが継続しそうである。国内でも半導体株への利益確定の動きが強まっており、東京エレクトロン <8035> [東証P]は年初来安値を更新している。指数インパクトの大きい値がさ株の弱い値動きにより、相対的にTOPIX型および内需系にシフトしやすいだろう。また、7月に入り次第に参院選への関心が高まるとともに、物価高対応や脱炭素といった政策に関連したテーマ性のある銘柄などに物色が絞られてくる可能性もありそうだ。

●今後活躍が期待される「注目5銘柄」

◆カプコン <9697> [東証P]
6月3日にシリーズ最新作「バイオハザード RE:4」を2023年3月に発売すると発表したが、想定の範囲内として材料視されず、株価は6月1日につけた3740円を高値に調整を強め、17日には3015円まで売られた。その後は切り上がる75日移動平均線に支えられる形でリバウンドを見せており、上値抵抗の25日線を捉えてきた。大阪府が実施する「夏の交通事故防止運動」の啓発デザインに人気シリーズ「モンスターハンター」が採用されるなど、同社のコンテンツへの評価は高い。また、パソコン向けなどのダウンロード販売が広がり、旧作のゲームソフトが好調である。メタバースビジネスにおいても成長期待は大きいだろう。25日線突破からのリバウンド加速により6月高値を上回る3800円をターゲットとするトレンド形成に期待したい。

◆関電工 <1942> [東証P]
コロナ禍で抑制されていた電力設備投資の回復が見込まれるほか、民間建設投資においても生産拠点の国内回帰に向けた工場建設などの需要が見込まれよう。中期経営計画では、データセンター 半導体分野といった成長市場への注力を掲げており、エンジニアリング力の活用による受注拡大が期待される。また、更新期を迎えたオフィス・商業施設の建て替え需要なども引き続き底堅く推移するだろう。株価は6月17日につけた791円をボトムにリバウンド基調を強めており、6月8日の戻り高値847円を突破し、3月末以来の水準を回復。25日、75日線のゴールデンクロスが接近しており、テクニカル面でのシグナル好転も手掛かり材料になりそうだ。870円辺りに位置する52週線をクリアしてくると、昨年9月高値の984円がターゲットとして意識されてくるだろう。

◆アスクル <2678> [東証P]
足元では、6月度(5月21日~6月20日)の単体売上高が前年同月比6.6%増と3カ月ぶりに増加したことが材料視された。個人向け通販「LOHACO」の販促キャンペーンを実施したほか、経済活動が正常化に向かうことで、オフィスに人が戻ってきたことも売り上げに寄与したようだ。今後もコロナ禍で停滞していたオフィス向け商品の需要は回復してくるだろう。なお、7月1日の大引け後に決算を発表。22年5月期の連結経常利益は前の期比3.0%増の142億円で着地した。続く23年5月期は前期比0.2%増の143億円を見込み、3期連続で過去最高益を更新する見通しで、年間配当も前期比1円増の32円に増配する方針。株価は直近のリバウンドで上値抵抗線として意識されていた75日線を突破。週末こそ反動安となったものの、75日線を支持線としたリバウンドに期待したい。

◆ユーグレナ <2931> [東証P]
6月17日~19日に開催された「日本抗加齢医学会総会」で、微細藻類ユーグレナの継続的な摂取により、加齢に伴う記憶力の低下を抑えることを示唆する研究結果を発表。老齢マウスを用いた検証によるもので、認知症の発症予防につながる可能性を持つ成果として注目される。また、同社が製造・販売する環境負荷の低いバイオジェット燃料「サステオ」について、代替ジェット燃料としての需要期待は大きい。業績面では手掛けづらいものの、テーマ性の高さから注目に値する。株価は950円辺りが心理的な上値抵抗となる一方で、切り上がる75日線が支持線として機能しており、押し目を狙いたい。

◆日東工業 <6651> [東証P]
ENECHANGE <4169> [東証G]が6月29日、EV(電気自動車)充電サービスを新ブランド「ENECHANGE EV CHARGE」に一新し、27年までにEV充電器3万台設置を目指して最大300億円を投資すると発表。日東工業はENECHANGEと業務提携しており、ENECHANGEが設置するEV充電器を提供している。株価は6月8日の高値2413円と29日高値の2396円による短期ダブルトップを形成しつつあるが、週末は支持線として機能する25日線水準で踏みとどまった格好。EV充電器の需要拡大期待を背景に、押し目買い意欲は強そうである。直近高値突破からの一段の上昇に期待したい。

(2022年7月1日 記)

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