【市況】米国株式市場見通し:相場の下値は限定的か、企業決算が本格化
連休明け、企業決算が本格化していくため注目だ。航空会社や旅行関連などでは、予約状況がパンデミック前の2019年を上回る程に強い勢いがあると楽観的な見解も多く聞かれており、春夏にかけてリオープニング(経済再開)関連株の一段の回復が相場を支えるだろう。また、18日には2021年分の確定申告の締切を迎える。税還付金による株式市場への新規投資も見込まれ、追加の相場支援要因になりそうだ。
市場ではFRBの急速な引き締めにより景気後退入りが避けられないと、悲観的な見方が少なくない。ロシアとウクライナの停戦交渉も行き詰まり、西側諸国は対ロ追加制裁を次々と発表すると同時にウクライナ支援を強化している。激戦が長期化、深刻化する可能性も懸念材料となっており、新規株式投資を躊躇する投資家も多い。JPモルガンのダイモンCEOもいつになく経済に悲観的だ。経済専門局が行った世論調査で、現在が株式投資の好機と見ていると答えた回答者は全体の28%で、統計開始した2008年以降で最低だったという。ただ、こうした悲観的な見方がすでに市場に浸透しつつあることを考えると、逆説的ではあるが下値は限定的だろう。
経済指標では4月NAHB住宅市場指数(18日)、3月住宅着工件数・建設許可件数(19日)、3月中古住宅販売件数(20日)、週次新規失業保険申請件数、4月フィラデルフィア連銀景気指数、3月景気先行指数(21日)、4月製造業PMI(22日)などが予定されている。住宅ローン金利の上昇により、住宅関連指標は軒並み悪化が予想されている。パンデミック下において経済の成長をけん引してきた住宅市場は、金利上昇に加えて供給不足も影響するなか先行きが懸念されており、注目だ。また、FRBは20日に地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表する。この結果は次回5月のFOMCでの金融政策決定において重要な材料になる。特に物価上昇の著しさや新規雇用が困難などのコメントが目立つと、5月の0.5ptの利上げをさらに濃厚にするため注目だ。
主要企業決算では、金融のバンク・オブ・アメリカ(18日)、製薬会社のジョンソン・エンド・ジョンソン、動画配信のネットフリックス、防衛のロッキード・マーチン、コンピューターソリューションのIBM(19日)、電気自動車メーカーのテスラ、消費財メーカーのプロクター・アンド・ギャンブル、航空会社のユナイテッド、油田サービス会社のベーカーヒューズ(20日)、投資会社のブラックストーン、通信のAT&T、カジノ経営のラスベガス・サンズ(21日)、クレジットカード会社のアメリカン・エキスプレス、靴メーカーのスケッチャーズ(22日)に加え、航空会社でユナイテッド(20日)、アメリカン、スピリット(21日)などが予定されている。
航空会社は先頭を切って決算を発表したデルタが、旺盛な需要を背景に黒字転換の可能性を示すなど楽観的な見方を持っており、同業他社の好決算にも期待したい。なお、自動車展示会のニューヨーク国際自動車ショーが3年ぶりに15日から24日まで開催される。世界的な環境規制強化を背景に電気自動車(EV)が主流となるもようで、注目材料となろう。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ