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【特集】【緊急特別版】日経平均暴落、リーマン再来か買い場到来か(2)大塚竜太氏 <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―泥沼化するウクライナ情勢と株式市場、この先に待つものは―

 週明け7日の東京株式市場は日経平均株価が一時1000円近い急落で2万5000円割れ寸前まで売り込まれるという波乱展開となった。ロシアのウクライナ侵攻が続くなか、先行き不透明感が募る一方、制裁による西側諸国経済への反動も警戒されている。前週末に続く急落で、日経平均はリーマン・ショックの再来も意識されるような難局に遭遇している。ここからの東京市場や米国株市場の見通しを、第一線で活躍する市場関係者3人に話を聞いた。

●「2万5000円から下は買い向かえ」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 東京市場は日経平均株価が一時900円を超える急落をみせるなど、波乱展開を強いられているが、当面はウクライナ情勢を横にらみに上下に値動きの激しい不安定な展開を余儀なくされるだろう。前週末に発表された米雇用統計はウクライナ情勢にかき消された格好となっているが、内容的に今の相場にポジティブに作用する要素はなかった。それ以上に足もとの原油高騰などが経済に与える影響が警戒され、株式市場も海運資源、食糧関連の一角を除き買いは入れにくい状況となっている。

 ウクライナ情勢は早期に決着、もしくは落としどころが見えてくると思われたが、ここにきて泥沼化しそうな気配が漂っている。ロシアとウクライナの停戦交渉が複数回行われているが、両国の隔たりは大きく、話がまとまるとは到底思えない。西側諸国がウクライナに武器を支援していることで、首都キエフもそう簡単に陥落しない可能性が出ているが、ロシア側も全くひるむ気配はない。これは株式市場にとって今後も不透明材料として覆いかぶさってくることが予想される。

 原油価格の高騰は仮需、即ち投機資金のマネーゲーム的な要素が強い。商品市況も含めて、これらコモディティ価格が落ち着きをみせない限りは株式市場も通常モードには戻りにくい。ただし、一方的に弱気に傾く必要はなく、大きく下値に突っ込んだ局面では空売りの買い戻しやリバウンド狙いの買いも入ってくることが予想される。

 当分の間、東京市場は欧米株を横目に上下に荒い値動きが想定され、明確な下値メドは見えにくいが、個人的な感覚では日経平均が2万5000円を下回って推移するような場面は押し目買い好機と捉えておいてよいのではないかと考える。その際には、バリュエーションから売られ過ぎているハイテクセクターなどを中心に、資金を分散して買い下がるというスタンスが有効であると思う。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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