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【市況】明日の株式相場に向けて=「待つ」ことの難しさ

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 週明け7日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比764円安の2万5221円と大幅反落。前週末の欧米株安を受けて、リスクオフが加速したが、日経平均は欧米株市場に先立って600円近い急落をみせていたので、きょうは売られても押しは浅いとのムードが寄り前は漂っていた。しかし、そうではなかった。前引け段階で日経平均は800円超の下落、一方TOPIXは53ポイント水準を切り下げ下落率は2.88%に達した。2%ラインを大きく上回る下落率であったことから、後場は日銀のETF買いが発動されたはずである。しかし、後場入りこそ下げ渋ったが、その後は再び売り直す動きが観測された。「外国人投資家が保有株ポジションを低める実需の売りが出ている」(ネット証券マーケットアナリスト)という指摘があった。

 『ガルガンチュア物語』で有名な、かのラブレーいわく「待つことのできる者はすべてがうまくいく」。さながらの今の相場は投資家にとって「待つ」ことがチャンスを極大化するための勇気ある選択肢といえる。

 下値模索局面での逆張りは難しい。“落ちてくるナイフは掴むな”と先人は教えたが、これは言い得て妙というべきで、焦る気持ちを上手く戒めている。例えば全体相場に連動するNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信<1570>=日経レバを投資対象として考えてみる。あえて分かりやすく日経レバの価格ではなく、日経平均株価の方を引き合いに出すと、2万9000円台では押し目があっても手を出さず、2万9000円割れで初めて腹2分目の買い。更に2万8000円割れで腹5分目の買い。それでも成果が上がらず、2万7000円割れで今度こそ本気買いと、キャッシュポジションゼロにして買い向かったとする。これで身動きがとれなくなるのが相場の怖さだ。

 東京市場は22年の年明け以降に潮の流れが変わった。これはFRBが超金融緩和策を終了するという方向性が明確になったからではなく、インフレに対する恐怖がネックとなっている。だから、過去の相場を振り返って金融引き締め局面でも株価は上昇しているという事例を引き合いに出して、今回も大丈夫、とするのは少しずれている。

 20年3月下旬以降の大相場形成では、コロナバブルが発生したという認識を持たなければいけない。実際そうみていた市場関係者も多かったはずだ。過剰流動性によって売り方が担ぎ上げられた相場。何よりもオリエンタルランド<4661>が史上最高値圏をひた走るという、実際の収益状況を考えたら、およそ理解不能な需給相場が象徴している。その反動が今出ている。ロシアのウクライナ侵攻はもちろん予測不能だったが、バリュエーションで買えると判断できない土壌が既に出来上がっていた。このままでは、金融相場から業績相場への移行が困難であることをマーケットは語っている。インフレで金融引き締めが急務となっているが、景気が低迷した状態でそれをやらざるを得ないという“逆バブル状態”を読み込んでいる。したがって、逆説的になるが、景気が失速することによってインフレ圧力が低減するまで本当の買い場は訪れない。

 怪しいと思ってもつい手を出してしまうのは、時価よりも高いコストで株を保有している時にありがちな話だ。保有する株が引かされた時に、これはイレギュラーな下げで当該株の実力を評価していないと解釈してしまい、ナンピンして株数を増やすことでその後のリバウンドを勝手に想定して利益を積み上げた気になってしまう。ところが、実際はナンピンしたことで傷口を広げてしまっている。

 ただ、短期的には全体相場はきょう2万5000円トビ台まで売り込まれ、2万4000円台突入かと誰もが思ったところで、首の皮一枚残して戻り足に転じた。その後、空売りのショートカバーで一気に巻き戻されるという展開ではなかったものの、売りがいったん出切った感もある。目先は自律反発局面に移る可能性もある。

 あすのスケジュールでは、1月の国際収支、1月の毎月勤労統計調査、1月の景気動向指数(速報値)、2月の景気ウォッチャー調査のほか、5年物国債の入札も予定される。海外では、ポーランド中銀が政策金利を発表、1月の米貿易収支、1月の米卸売在庫・売上高、米3年物国債の入札など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2022年03月07日 17時04分

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