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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「原油価格は2008年以来、13年ぶりの水準に」

株式評論家 富田隆弥

◆世界が懸念を強めるロシア軍によるウクライナ侵攻。いまこの時代の出来事なのかと、目を疑う光景が日々繰り広げられている。3月3日に2回目の停戦交渉が行われ、その結果は本稿の執筆時点では不明だが、おそらく物別れとなりロシアの軍事攻勢は続くものと危惧される。

◆地政学リスクの高まりを背景に、マーケットの混乱が続く。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、2日の議会証言で「3月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で0.25%の利上げ方針」を明らかにした。これを受けて株式市場は不透明要因が一つ払拭されたとしてNYダウ(2日は前日比596ドル高の3万3891ドル)、日経平均株価(3日は184円高の2万6577円)がともに上昇し、株式市場は一旦落ち着きを見せた。ただ、日足はどちらもまだ25日移動平均線の下にあり、チャートに好転の兆しは見られない。

◆商品市場ではロシアの主要輸出品目である原油や天然ガスなどのエネルギー価格が急騰し、小麦などの穀物価格も上昇している。3日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)で、原油先物の国際的な指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近物は一時1バレル=116ドル台と、2008年7月以来13年半ぶりの水準に高騰している。株式市場では資源関連株が集中的に物色されている。

◆だが、WTIの長期チャートをみると、「そろそろ」という見方も浮上する。そして、13年前の2008年といえば「リーマン・ショック」の入り口であり、WTIの下落の始まりとともに金融不安が加速した。不安を煽るつもりなどないが、何が起こるか分からぬ時代。多くのマーケット関係者も「いまは予測しづらい」と本音を漏らす。3月は重要イベントが目白押しであり、不透明感が増す局面でもある。日経平均株価が75日移動平均線(3日現在2万8072円)を突破するなど、好転信号をみせるまでは「様子見も一法」だろう。

(3月3日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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