【市況】「強弱感交錯」から「様子見」へ?/後場の投資戦略
日経平均 <1分足> 「株探」多機能チャートより
日経平均 : 27365.46 (+116.59)
TOPIX : 1936.03 (+10.04)
[後場の投資戦略]
前場の日経平均は一時200円あまり上昇したものの、その後やや伸び悩む展開となった。日足チャートを見ると、1月27日取引時間中の安値26044.52円から2月2日取引時間中の高値27564.62円まで急ピッチのリバウンドを見せたのち、ここ数日は27000円台前半でのもみ合いが続いている。本日は27300円台に位置する5日移動平均線水準を維持しようとする動き。売買代金上位では高配当の海運株、米金利上昇が材料視される金融株の買いが続き、その他全般に小じっかりという印象だ。値がさグロース株は反発しつつも、上値の重い印象が拭えない。前引けの日経平均が+0.43%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は+0.52%。ここまでの東証1部売買代金は1兆5000億円弱と先週に比べやや減っている。
新興市場ではマザーズ指数が-0.89%と4日続落。日経平均の反発につれて前場中ごろまで上昇する場面もあったが、米金利の高止まりで新興グロース株の先行きに対する個人投資家の警戒感はなお強いのだろう。新興市場銘柄では本日、マザーズのJTOWER<4485>やジャスダックのハーモニック<6324>が決算発表を予定している。また、IPO(新規株式公開)では明日9日、ライトワークス<4267>が新規上場する。ここまでリカバリー<9214>、セイファート<9213>と2社続けて公開価格割れスタートを強いられており、個人投資家のセンチメントをはかるうえでもライトワークスの株価動向を注視したい。
さて、日経平均はここまで1日の当欄「早々に戻り売り目線?」での「目先26000~27000円台でもみ合う展開」という予想に沿った値動きと言えるだろう。値動き的には一段高への期待を残す格好となっており、1月25~26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)にかけて積み上がった売り持ち高の買い戻し、それに新型コロナ感染減少や堅調な企業決算も支えとなる。一方、引き続き主要中央銀行による金融引き締めへの懸念も強く、グロース株の買い意欲が高まりづらい。それに全体として戻り売り目線の投資家も多いだろう。
日経平均と同様、米国でもNYダウが戻り一服後、35000ドル近辺でもみ合う展開となっている。個別株では決算を受けた動きがあるとはいえ、日米とも株価指数の方向感に乏しくなり、市場参加者からは「どうにもやりようがない」などといった嘆き節も聞かれる。現物株、先物とも徐々に売買が落ち着きつつあるのは、市場のムードが「強弱感交錯」から「様子見」へ変わってきたことを映しているのかもしれない。
前日の米市場で原油先物相場(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI3月物)は1バレル=91.32ドル(-0.99ドル)と7日ぶりに反落したが、米金融大手ゴールドマン・サックスは商品市況について「何もかも欠乏して」おり、「今のような市場は見たことがない」などと指摘したと海外メディアが報じている。コストプッシュによるインフレへの懸念も拭えず、10日発表の米1月CPIへの注目度が一段と高まりそうだ。
また、国内でも本日はソフトバンクG、明日はトヨタ自と注目企業の決算発表が相次ぎ、これらの内容を見極めたいとの思惑も出てくるだろう。アジア市場で香港ハンセン指数や上海総合指数が反落していることもあり、後場の日経平均は上値の重い展開が続くとみておきたい。(小林大純)
《AK》
提供:フィスコ