【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「下放れたが、1月後半安は想定内」
株式評論家 富田隆弥
◆相場が下がると懸念材料が次々に出てくるのがこの世界。米国ではインフレ懸念が強まり、長期金利が1.8%台に上昇。グロース株主体のナスダックが11月高値から10%超調整すると、半導体など電子部品の在庫積み増し懸念(企業業績のピークアウトを警戒)、5G通信が航空機に影響する恐れ、地政学リスク(中東・ウクライナ情勢)、原油の7年ぶり高値(日本にも打撃)と懸念要因が次々に表れる。日本でも新型コロナウイルスの第6波が猛威を振るうほか、トヨタ自動車 <7203> の生産台数の計画未達見通し、マイクロソフト<MSFT>がソニーグループ <6758> の主力事業であるゲーム事業で攻勢かけるなど、日本の中核銘柄に浮上した懸念材料が追い打ちをかけた。
◆これらを背景に、1月19日の日経平均株価は一時942円安と急落、790円安の2万7467円で取引を終え、昨年8月から続く三角保ち合い(下限2万7900円処)を下放れてしまった。保ち合い放れの方向には多くの投資家が注目していただけに、下放れたことで見切り売りが集中したことも、日経平均株価の下げ幅を広げた一因だろう。理由はともあれ、日経平均株価の三角保ち合い下放れ、ナスダックの200日線(19日時点1万4733ポイント)割れは「陰転信号」であり、注意が必要になった。
◆ただ、年末年始の宴で上げた相場が1月20日頃まで調整を入れるのはよくあることで、そのあと2月(節分)にかけて切り返すケースも珍しくない。上述したように19日の急落は悪材料が重なり、売りも集中して値下がり銘柄数は2111(値上がり数はわずか58)を数えた。ちょっとしたセリングクライマックスである。
◆日経平均株価は翌20日に安値2万7217円を付けたが、引けは305円高の2万7772円と切り返した。日足は「切り込み線」を描き、ここから戻りを試す可能性もある。三角保ち合いの下値支持線であった2万7900円処を突破するなら、移動平均線の集まる2万8000円台後半から上値抵抗線の走る2万9000円処を再度試す可能性も出てくる。今週は1月25日~26日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)が目先のポイントだが、日経平均株価がリバウンドに入るかどうかに注目しておきたい。
(1月20日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース