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【特集】嵐の中で本領発揮、成長&株高への未来図描く「極撰・好業績5銘柄」 <株探トップ特集>

強い北風に晒されている東京市場だが、売り対象となっているハイテク株以外で、際立つ好業績をバネに株高が期待できる銘柄を厳選した。

―グロース株売りの流れも怖くない、抜群の実態評価で株価水準訂正が濃厚な新成長株―

 東京株式市場は足もと強い北風に晒されている。新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株の感染が世界的に加速しているにもかかわらず、これまで政策的に投入された“コロナマネー”が収縮するという厳しい経済環境がマーケットを不安に陥れている。つまり、新型コロナによる経済活動への影響が再び懸念される局面にありながら、各国政府の財政出動は頭打ちの状態にあり、また、FRBを筆頭に各国中央銀行は、金融緩和というマネー供給の蛇口を締める方向でアクションを起こそうとしている。株式市場から安全重視の債券市場へと投資資金のローテーションが起こるなか、これまで相場を牽引していた主力株をはじめ幅広いエリアで株価水準を切り下げる銘柄が相次いでいる。

 こうした局面では、嵐が過ぎるまで「待つ」というのがひとつの投資作戦として有効である。しかし、株式市場におけるすべての銘柄が崩れ落ちるわけではない。逆に言えば今の波乱相場は、中身のある銘柄とそうでない銘柄を篩(ふるい)に掛けているという見方もできるのだ。この篩から落ちなかった銘柄は、全体相場が落ち着きを取り戻してからも輝きを失うことは決してない。果たして、その候補に挙がる5銘柄とは何か。

●インフレ加速を受け逆回転し始めた歯車

 世界株市場は2020年の2月下旬から3月中旬にかけて大暴落に見舞われた。未知の敵であった新型コロナの感染が急速に広がり、ロックダウンなどで経済がフリーズ化したことが背景にある。しかし、危機は政策の母というように、各国は同時進行的にカンフル剤として潤沢なマネーを注ぎ込んだ。政府は大規模な財政出動による経済対策、そして中央銀行は未曽有の量的緩和と超低金利政策に舵を切った。

 その結果、20年3月下旬以降の株式市場の戻り足をみれば明らかなように、強烈な株価上昇トレンドが形成された。その先頭集団を率いたのが米国株市場で、NYダウナスダック総合株価指数 S&P500指数ともに史上最高値圏を走る展開となり、NYダウとS&P500指数については22年の年明け早々にも最高値を更新したばかりである。

 ただし、一方で実体経済には新たな敵が生まれていた。昨年来コモディティ価格の上昇など原料コスト上昇を背景に物価上昇圧力が顕在化し、サプライチェーン問題なども重なって、インフレ警戒感が急速に高まった。FRBは当初、インフレは一過性であるとの立場を貫いていたが、最近になってそれを修正しハト派からタカ派へと豹変してみせた。バイデン米政権がインフレを放置しているとの理由で、支持率を急低下させているという現実もパウエルFRB議長の変節を促した可能性がある。

 いずれにしてもこれが、株式市場の潮流を変え、グロース株からバリュー株への資金シフトを巻き起こした。更にその先には安全資産である債券市場への資金シフト、グレートローテーションの逆バージョンの動きに発展するというシナリオも無視できなくなっている。

●来週のFOMCに身構えるマーケット

 ポイントとなるのは来週25~26日の日程で行われるFOMCだ。市場関係者によると「資産価格の上昇が現在のインフレを止まらなくさせているという見方も出ており、今回のFOMCでは資産価格の上昇をいかに抑えるかという課題が俎上に載る可能性がある。つまり、不動産や株式の上昇が悪役視されるケースも意識されているようだ」(ネット証券マーケットアナリスト)という。FRBが株を敵視するなどということはマーケットの側からすれば青天の霹靂(へきれき)で、もしそれを示唆するような内容が開示された場合には、かなりのネガティブサプライズとなり得る。

 一方、仮にこれが杞憂であったとしても、政策金利の引き上げと量的引き締めの前倒しの可能性についての言及は覚悟しておくところで、ある程度は事前に織り込みが進んでいるとしても、FOMC通過後の株式市場のムードを確認するまでは、今は積極的な買いは入れにくい時間軸にある。

●ハイテク株以外の好業績株見直しへ

 とはいえ、今の下げは戦略的な空売りによる圧力も無視できない。東京市場でいえば、相場の牽引テーマであった 半導体関連を崩せば全体指数は崩れる。ヘッジファンドの手口として、そのシンボルストックである東京エレクトロン <8035> やレーザーテック <6920> に売りを浴びせれば、機関投資家のポジション整理の動きと合わせて下げが加速する。当然、その周辺の半導体関連銘柄にも買いは入りにくくなる。他方、内需株の一角では調整十分の好業績銘柄を素直に拾う動きも観測されている。嵐の中でも雨風に打たれている銘柄とそうでない銘柄の見極めが必要となる。ハイテクセクターではなくても実態面で輝きを放つ銘柄は少なくない。

 週末21日の東京株式市場は日経平均が朝方安くスタートした後、次第安の展開で9時40分過ぎには640円あまりの急落で2万7100円台まで売り込まれたが、その後は下げ渋った。後場寄りには再びインデックス売りで下げ幅を広げたものの、その後大引けにかけてじりじりと戻り歩調を示し結局2万7500円台で引けた。前日にリバウンドで上げた分は、八割方持っていかれた格好だが、日経平均2万7000円ラインというのは心理的なフシ目として機能している。相場の自律神経はまだ失われたわけではない。

 2月のSQに向けて全体相場の動向は予測が難しい局面にあるが、だからこそそうした環境下での個別株戦略は、基本に立ち返り業績の良好な銘柄に照準を合わせるのが王道といえよう。今回のトップ特集では、FOMC通過で仮に相場が波乱となっても、押し目があれば喜んで買えるような中身の濃い5銘柄をエントリーした。

●次にスポットライトを浴びる5銘柄はこれだ

◎キャリアリンク <6070>

 大手企業などを主要顧客にBPO(業務プロセスの一括受注)人材派遣を手掛けており、官公庁向けでも高い実績がある。足もとの業績は、新規開拓の推進や既存取引先のシェア拡大に向けた努力が結実、中核人材の積極的な採用やIT技術を活用したBPO運用システムの導入効果などにより会社側計画を上回る好調な推移をみせている。官公庁案件ではマイナンバー関連などの需要獲得が顕著だ。22年3月期営業利益は従来予想の28億3000万円から37億円(前期は2月決算で27億2900万円)と大幅上方修正しており、株価指標面でも時価予想PERは7倍台と割安感が際立っている。株価は昨年2月に3475円の高値をつけた後、長期下降トレンドを余儀なくされていたが、今年に入り1月7日の昨年来安値1181円で大底を確認しリバウンドに転じており、波動転換の兆し。大底離脱の初動で信用買い残も増えているが、戻り売り圧力は十分に吸収可能とみられる。

◎アイホン <6718>

 インターホン業界のトップメーカーであり、創業70年以上の実績と信頼を強みに更新需要を取り込んでいる。国内だけでなく海外にも展開し、世界的なセキュリティー意識向上やコロナ下で非対面ニーズが高まるなか、住宅向けを主軸にテレビドアホンで高水準の受注を獲得。特に近年は新型コロナの影響でeコマース市場が拡大し宅配貨物の取扱量が急増していることから、同社の収益機会が増幅されている。非接触対応商品の開発にも抜かりがない。22年3月期営業利益は従来予想の45億円から50億円(前期比38%増)に増額され、07年3月期以来、15期ぶりに過去最高利益更新が見込まれている。更に23年3月期も国内外ともに同社製品への引き合い旺盛で2ケタ成長の公算が大きく、連続最高益更新が濃厚だ。この成長力にして、株価指標面ではPER8倍台、PBR0.6倍台と割安感が際立つ。株主還元に前向きで今期配当は前期実績から23円の大幅増配となる88円を計画、配当利回りは4%を超える。

◎リソー教育 <4714>

 首都圏を地盤に個別指導塾「TOMAS」を主力展開し、家庭教師派遣や幼児教育分野などにも力を入れている。新型コロナ感染症対策を徹底し、個別指導の需要開拓に成功、新校舎やリニューアルが寄与する形で生徒数の増加が会社側の想定を上回る状況となっている。昨年10月には不動産投資事業を手掛けるヒューリック <3003> との資本・業務提携を強化し、ヒューリックはリソー教育の筆頭株主に浮上、教育事業を軸に協業による業容拡大路線が鮮明だ。22年2月期業績予想は期中2度にわたる増額修正を経て、売上高が前期比19%増の300億円、営業利益は同3倍の30億1000万円と急拡大を見込む。また、好調な業績を背景に株主還元にも積極的な姿勢をみせ、今期年間配当(期末一括)は従来予想に2円上乗せし16円(前期実績は9円50銭)とすることを発表している。配当利回りは4%を超える。2月相場ではインカムゲイン狙いの買いも加速しそうであり、株価は強調展開が期待できる。

◎タカラトミー <7867>

 玩具大手でミニカーの「トミカ」や着せ替え人形「リカちゃん」などをはじめ定番商品が多く、安定した収益基盤を持っている。コロナ禍にあっても玩具出荷の伸びが顕著であり、業績は好調に推移している。22年3月期売上高は前期比10%増の1550億円、営業利益は同13%増の80億円を見込むが、会社側計画は保守的で上振れが有力視される。営業利益は上期(21年4-9月)時点で59億3500万円(前年同期比3.2倍)に達していることから、通期は110~120億円程度に大幅増額修正される可能性がある。株式需給面では日々の売買高と比較して信用買い残は軽く、戻り売り圧力が小さい点もポイントだ。株価は昨年12月下旬に連続陰線で調整を入れたものの1000円トビ台では押し目買い意欲が旺盛であり、目先的には75日移動平均線近辺まで下押したことで拾い場となっている可能性がある。中長期的には19年12月の高値1600円近辺を目指す展開も。

◎竹内製作所 <6432>

 ミニショベルを主力に小型建機を手掛けており、その商品競争力は高い。小型ブルドーザーに位置づけられるクローラーローダーはぬかるんだ場所での作業安定性を強みに米国での需要を囲い込んでいる。このほか深礎掘削機などでも実績が高い。同社の最大の特徴は海外販売比率が97%に達していることだ。欧米のインフラ需要拡大が強力なフォローの風となっており、22年2月期はトップライン、利益ともに2度にわたる上方修正を行っている。直近修正後の今期売上高は前期比25%増の1400億円、営業利益は同26%増の167億円を見込んでいる。年間配当計画も2度の増額修正を経て68円とし、前期実績の53円から15円の大幅増配となる。株価は1月14日に3300円の上場来高値を形成した後、急反落しているが2800円近辺は買い場と判断。PER10倍台と割安感があり、ファンダメンタルズ評価で仕切り直しの買いを呼び込む可能性は高い。

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