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【特集】田部井美彦氏【「1月相場」の波乱は続くか、今後のポイントと注目株は】<相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

―インフレ懸念が相場左右、今春に向けた上昇局面への期待も浮上―

 2022年の新年相場を迎えるとともに、株式市場は値の荒い展開が続く。米国でインフレ懸念が台頭するなか、ハイテク株を中心とするナスダック指数などは高値波乱状態にある。東京市場も日経平均株価が先週末14日には一時2万8000円を割り込むなど不安定な相場が続く。25~26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されるなか、これからの展開をどうみればよいのか。今後の相場の展望と注目銘柄について内藤証券の田部井美彦氏に聞いた。

●「徐々に相場切り上げに、大学ファンド絡みの物色機運も」

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

 22年の相場は、前半が高く後半に調整に入るとみている。足もとでは値の荒い展開が続いているが、これは、米連邦準備制度理事会(FRB)が早期にバランスシート縮小に着手する可能性が浮上したことが大きいと思う。

 利上げ局面で最悪なのは、FRBがインフレを後追いする状況になることだ。この場合、2000年のITバブル崩壊のようなことも起こり得る。ただ、足もとの米国はそんな状況ではない。欧米での新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大も徐々に落ち着いていくことも期待され、そうなれば再び消費なども盛り返す展開が予想できる。ニューヨークなど海外市場も今春に向けて値を戻す展開が見込めると思う。物色対象はバリュー株とグロース株が相互に物色される展開が見込める。

 特に、東京市場は3月にも運用開始との観測が出ている「大学ファンド」に絡む展開が期待できる。同ファンドは10兆円規模で4%程度の利回りが目指される、ともみられている。同ファンド絡みの資金流入で春にかけ、資産内容の良い高配当利回りの大型株などが強含む展開も予想される。

 こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均株価のレンジは2万7500~2万9500円前後を見込む。2万8000円割れの水準は拾い場で徐々に下値を切り上げる展開を予想する。

 個別銘柄では、足もとでバリュー株物色や電気自動車(EV)関連でトヨタ自動車 <7203> が買われているが、トヨタ系の自動車部品会社であるアイシン <7259> には出遅れ感があるとみている。また、原油価格の上昇でINPEX <1605> 、同じく商品市況上昇の追い風を受ける高配当利回りの三菱商事 <8058> には投資妙味がある。それにソニーグループ <6758> やSUMCO <3436> などの押し目は拾い場になるとみている。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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