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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】プライム条件を満たす「非東証1部」銘柄に注目

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

「プライム条件を満たす『非東証1部』銘柄に注目」

●経済活動の正常化に向けて引き締めに動く各国中銀

 2022年寅年相場は、大発会で日経平均株価が500円を超す上昇で始まり、幸先のよい滑り出しを見せた。ただし、その後は調整基調が強まり、14日には一時2万8000円を割り込むなど、昨年12月半ば以降のリバウンド分を帳消しにしている。その要因の1つとして挙げられるのは、経済活動の正常化に向けた各国中央銀行による金融引き締めの動きである。

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が「積極的な金融緩和策は必要ない」との見解を示していることに加え、このところFRB高官が相次いで年内4回の利上げ実施について言及している。株式市場は3月の利上げ開始を概ね織り込んでいると見られるが、ここ数年間の世界的な金融緩和を背景に株式市場へと流入した資金を引き揚げる動きが強まってきている。

 特にその対象となるのが、相場をけん引してきたグロース株である。国内においてもグロース株の上昇が昨年の日経平均株価3万円乗せに貢献したのだが、これまで大きく上昇してきたこれらの銘柄に対する利益確定の動きが強まっている。もっとも、これは金融不安からくる日本株売りではなく、あくまでも利益確定の動きであるため、まずは米国の3月の利上げ実施後の市場反応を見極める必要がありそうだ。

 そのほか、東京証券取引所の市場再編を巡る投資家の期待感がハシゴを外された格好となったことも調整要因の1つであろう。上場企業の移行先の公表によりインデックスへの組み入れに伴う個別銘柄の売買が活発になることが期待されたが、東証1部の8割にあたる企業がプライム市場に残る状況となったことは新鮮味を欠き、海外投資家にとっても新たにポジションを取りに向かわせるほどの魅力とは受け止められなかったようだ。

 一方で、公表された資料では東証1部以外の市場からプライムへ移行する企業は確認できなかったものの、プライムへの変更審査中で審査結果待ちの場合も、スタンダードまたはグロース上場として発表されるため、今後、東証1部以外からプライムに移行する企業が現れる可能性がある。条件を満たしていると見られる銘柄については、押し目狙いのスタンスで注目しておきたいところであろう。そのため、今回はプライム移行の条件に該当すると見られ、かつテーマ性のある銘柄に着目した。

●来週の活躍期待「注目5銘柄」

◆ベルテクスコーポレーション <5290> [東証2]
コンクリート二次製品をコアに、下水道や道路、鉄道、住宅分野において、インフラ整備や防災対策に関連する事業を展開する。自然災害のリスクに備えるため、災害対策・国土強靱化に取り組む必要性が叫ばれ続けており、公共投資は底堅く推移している。株価は高値保ち合いを継続。3000円処での底堅さが意識されるなか、昨年9月高値3515円を窺うトレンド形成に期待したい。

◆フルヤ金属 <7826> [JQ]
プラチナグループメタル(PGM)のなかでイリジウム、ルテニウムの持つ高い機能性に着目し、高度な技術で高純度・高品質の製品開発や、オリジナル技術を用いたPGMの回収などを行う。イリジウム、ルテニウムは情報通信・ 半導体を中心としたエレクトロニクス製品に欠かせない金属である。また、イリジウムは水から水素を作るための電解技術で電極として使用されるなど、環境分野においても注目は高まっている。株価は利食いをこなしながら強いトレンドを継続しており、足元では切り上がる13週移動平均線が支持線として機能している

◆ニッポン高度紙工業 <3891> [JQ]
アルミ電解コンデンサ用セパレータなどで高い世界シェアを誇る。車載や通信、環境関連などの市場で成長が期待される、導電性高分子固体コンデンサ用セパレータ、リチウムイオン電池用セパレータ、電気二重層キャパシタ用セパレータを重点3製品として注力する方針を中期事業計画で示している。株価は昨年8月高値4250円をピークに緩やかに調整しており、13週移動平均線に上値を抑えられている。足元では13週線を巡って攻防を見せており、抵抗線の突破に期待したい。

◆東洋合成工業 <4970> [JQ]
半導体回路形成に使用されるフォトレジスト用感光性化合物などを手掛ける。感光性材料事業は、5G対応スマートフォンやPC、デジタルトランスフォーメーション(DX)データセンター向けの半導体需要の拡大を背景に好調が続く。足元の業績は、22年3月期通期計画に対する第2四半期累計(4-9月)の連結営業利益の進捗率は66.7%に達する。株価は昨年11月22日につけた1万9270円を高値に調整を継続しているが、52週移動平均線を割り込んできており、修正リバウンドの動きに期待。

◆NITTOKU <6145> [JQ]
大量生産向けの多軸・全自動システムなどを手掛けており、省人化・自動化設備、新規製品向け設備が主要なマーケットとなる。経済活動が正常化に向かうなかで企業の省力化投資は一段と高まると見られる。また、非接触ICタグカードの引き合いも旺盛である。株価は昨年9月の戻り高値である4500円水準から調整トレンドを継続しているものの、8月安値に接近してきたことで2点底形成からのリバウンドを想定。

2022年1月14日 記

株探ニュース

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