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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─日本株は売られすぎゾーンに突入!

経済評論家 杉村富生

「日本株は売られすぎゾーンに突入!」

●世界的な株価暴落の要因とは…?

 先物主導、およびヘッジ売り、カラ売り(11月26日のカラ売り比率は51.5%)、リスク資産の圧縮(VIX指数にリンク)、ロスカット、裁定解消売り、信用取引の投げなどを巻き込んだクラッシュ的な崩落商状はほぼ一巡したのではないか。

 日経平均株価は12月1~2日の夜間取引(大証先物)が2万7450円、シカゴ日経平均先物(CME)が2万7455円の安値をつけた。ここがとりあえず、テクニカル的に目先のボトムになったと思う。12月10日のSQまでは波乱含みだが、下値不安は無用だろう。

 実際、投機筋は「2万7500円以下を売るのはリスクが大きい」と語っている。確かに、この水準のPERは13倍そこそこ、PBRは1.23倍だ。一段と売り込むのは怖い。基本的に、ヘッジファンドなどの投機筋は臆病である。まあ、売買はマシン(コンピューター)が執行しており、感情はないが…。

 さて、今回の世界的な株価暴落は、(1)新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」の出現、(2)FRB・パウエル議長のタカ派変節(テーパリングの加速、利上げ時期の前倒し)、(3)中国景気に対する不透明感、(4)年末に向けての持ち高調整圧力…などによって、引き起こされたとされている。

 日本市場の場合、発足以来の岸田政権の成長戦略の乏しさ、改革路線の後退を外国人が嫌気、MSCIの指数採用銘柄の見直し(日本株は新規採用2銘柄、除外15銘柄→2200億円の資金流出)、9月期末の配当金(約5.7兆円)の再投資に絡む先物の売買などの特殊要因があった。前述の4要因に加え、そこを投機筋(先物)に狙われたのだろう。

●NY市場には11.6兆ドルの待機資金!

 次に、懸念材料の検証を行っておこう。まず、「オミクロン」についてはアフリカ、ヨーロッパを中心に感染拡大が進んでいる。おそらく、数カ月以内に「デルタ」に取って代わるだろう。しかし、「オミクロン」は重症化リスクが特別高いというデータは現段階では出ていないし、12月中旬にはDNA解析が完了、来年2月にはワクチン投入が可能になる。

 それに、ドイツのバイオ医薬品ベンチャーのビオンテック<BNTX>(ファイザー<PFE>とワクチンを共同開発)のサヒンCEOは「既存のワクチンによって重症化する可能性は低くなる」とコメントしている。もちろん、日米欧ともに、3回目の接種(ブースター)を加速する。

 ともあれ、日本は南アフリカとの直行便がないなど、往来が少ない。まさに、島国の強みである。もとより、2020年1~3月とは状況(ワクチン接種率は75%超、医療体制の充実、豊富なマスク、アルコール消毒液など)が違う。

 FRBの金融政策は12月14~15日のFOMCが焦点だ。利上げの時期は来年7月以降→4月以降に前倒しされるだろう。中国は景気対策の余地を残している。景気失速を許すはずがない。外国人はずっと、日本株を売り越している。持ち高調整の圧力は働きにくい。結果的に、株価は下げ止まる。

 なお、アメリカ市場には4.6兆ドル(約518兆円)のMMF(いわゆる、待機資金)がある。さらに、S&P500社ベースの現・預金は7兆ドル(約800兆円)に膨らんでいる。これは2022年の自社株買い、M&A資金になる。MMFは年内に動き始めるだろう。

 狙い目は? テーマ的にはEV(電気自動車)リチウムイオン電池関連の田中化学研究所 <4080> [JQ]、日本電解 <5759> [東証M]、三井ハイテック <6966> 、ニッポン高度紙工業 <3891> [JQ]、キョウデン <6881> [東証2]、好業績の商船三井 <9104> 、明治海運 <9115> などに注目できる。

 投げ売り、利益圧縮(損出し)の売りに直撃された深押しのバリオセキュア <4494> [東証2]、グローバルキッズCOMPANY <6189> 、ペイロール <4489> [東証M]、ヤマシンフィルタ <6240> 、ZOA <3375> [JQ]、学情 <2301> などは突っ込み買いのチャンスとなろう。

2021年12月3日 記

株探ニュース

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