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【特集】日経平均747円安の背景、真冬控え「南ア変異株」の脅威台頭か? <株探トップ特集>

新型コロナウイルスの南アフリカ・変異株に対する警戒感が、日経平均株価の急落をもたらした。市場には売られ過ぎの声もあり、株価の反発を期待する見方も出ている。

―新型コロナの影に再び警戒売り、不透明要因多く状況の見極め必要―

 26日の東京市場で日経平均株価は前日比747円安と急落した。南アフリカで検出された新型コロナウイルス変異株への警戒感が台頭し、相場は全面安となった。南ア変異株の登場は、新たな脅威となるとの見方が強まった。ただ、この日は前日の米国の休場で荒い値動きとなりやすいなか、仕掛け売りが流入したとの観測も浮上。なお不透明要因は多く、状況を見極めることが必要との声が出ている。

●英国は南アなど航空機乗り入れ禁止措置も

 週末26日の日経平均株価は前日比747円66銭安の2万8751円62銭と急落。下落率は一時3%を超え2万8600円割れに迫る場面もあった。前日は米国が感謝祭の休日だったこともあり、この日の東京市場は値動きの乏しい展開を予想する向きが少なくなかった。しかし、予想に反しての大幅安に見舞われた。

 相場急落の要因となったのは、南アフリカで新型コロナの新たな変異株が検出されたと報道されたことだ。この変異株は免疫反応回避などの特徴を持ち、深刻な懸念をもたらす可能性があるとの見方が広まった。特に、英国の保健当局は「最も懸念される変異」との見解を示し、英政府は南アフリカを含めアフリカ6ヵ国の航空機乗り入れの一時禁止を発表した。

●米国休場で東京市場に仕掛け売りの観測も

 「もともと欧州では新型コロナの感染再拡大が続いていた。そこへ南アの変異株が登場したことでリスクのレベルが一段と上がったのだろう」とフィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は、この日の急落を分析する。「年末が接近し利益を確定したいファンドなどが新型コロナに絡むリスク回避の売りを出したのではないか」と同氏はみる。また、寄り付きからの日経平均株価の下げに関して、市場関係者からは「米国の休日で市場参加者が限られるなか、先物を中心にした仕掛け売りの動きもあったと思う」との見方が出ている。

 いずれにせよ、今後をみるうえでは、南アの変異株がどこまで深刻な脅威をもたらすのかを確かめる必要がある。「既に新型コロナの飲み薬も出始めようとしており、経済再開に向けた動きは変わらないのではないか」(市場関係者)との声はあるが、これから北半球は真冬に突入するだけに、感染再拡大に対する懸念は膨らみやすい状況といえる。また、「新型コロナ感染再拡大に限らず米国のインフレ懸念や米中摩擦の拡大懸念など、不安材料は少なくない」(笹木氏)。それだけに、これら懸念材料が年末にかけての上値を抑える要因となる警戒感は強い。

●グローバルリスクオフ広がるかが焦点に

 とはいえ、この日の場中でNYダウ先物が1%強下落したのに対して日経平均株価は一時3%強下落した。この動きに対して、「さすがに売られ過ぎでは」との声も少なくない。証券ジャパンの大谷正之調査情報部長は「足もとの2万8000円台半ばの水準が目先の下値となることも考えられる」という。52週移動平均線は2万8680円近辺の水準にあるほか、一目均衡表でも2万8500円前後は雲の上限にあたる。目先、日本株は十分売り込まれた可能性もある。

 日経平均株価の急落は、米国の感謝祭で市場参加者が限られたことが、下落幅を増幅させた面は否めない。ただし、この日は香港ハンセン指数が急落したほか原油や銅の先物も売られるなどグローバルリスクオフが広がる兆しもみられている。新型コロナ変異株に加え、米国のインフレ懸念などの不安要因も抱えるだけに、目先、株価は上下の振れの大きな展開も予想される。来週にかけてのNYダウの動向などが大きな焦点となりそうだ。

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