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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─神無月(10月)にかけて本格上昇も

株式評論家 植木靖男

「神無月(10月)にかけて本格上昇も」

●“青天を衝く”が如き騰勢、最大のリスクは米国株の動向

 東京市場は8月27日を境に、まさに“青天を衝く”が如き騰勢をみせた。日経平均株価は9月14日までの12日間、連続陽線となった。33年振りの快挙であり、珍しいケースだ。通常、8~9日連続陽線はしばしば経験するが、それ以上はなかっただけに、連続陽線が8~9日に達すると警戒されるものである。

 なぜこのような騰勢をみせたのか。上げ始めはよく理解できなかったが、徐々に理屈の後付けがなされるのはいつもの通りである。

 すなわち、1つめに、ワクチン接種の進捗。欧米に比べ周回遅れが指摘されていたが、あっという間に追いついてしまったこと。2つめに、企業業績の改善期待。さらに3つめに、自民党総裁選後の新政権による経済対策期待。この3本柱である。

 とはいえ、12陽連ともなると、あとはそう容易に上げ続けることはない。9月15日、16日には利食い売りも出て一服となった。

 では、これからどう展開するとみればよいのか。目先的には罫線(チャート)に頼るしかない。9月17日は「初押しは買い」の経験則通り反発したが、重要なことはまず3日連続安を回避したことが大きい。このことから、上昇気流に変調が出たということでなく、基調は不変である可能性が示された。すでにTOPIXも日経平均株価も年初来高値を更新している。あとは月内に高値更新となるかだ。そうなれば理想的である。

 ただし、楽観は禁物だ。山を登るとき、上ばかり目指して一気に駆け登るが、ふと立ち止まって下をみたとき、思いもかけぬ高さに足が震えることがある。それと同じで株価の水準に平常心を保てず利食い売りを急ぐ投資家もいるのだ。

 また、こういう時に限って、リスク要因が気になるのだ。いまでいえば最大のリスクは、これまで世界の株式市場の牽引役だった米国株価、特にNYダウが軟調な値動きをみせていることだ。史上最高値の更新からすでに20日以上経過しても、まだ高値更新ができないのだ。戻りの肝となる3万5400ドル処を上抜くことが可能であれば、高値更新のチャンスが高まる。逆に3万4000ドルを下回るようであれば、もはやそのチャンスは遠ざかったと判断される。

●物色人気は消去法的に中低位材料株へ

 さて、新規材料が浮上するとみられる9月22日のFOMC後のパウエルFRB議長の記者会見、また29日の自民党総裁選、つまり月内の最大イベントあたりまでの物色対象はどうみるか。

 市場全般が上昇に向かっても二進一退、あるいは祝日2日、土日を挟むことで小幅もみ合いということを前提にすれば、株価の高い銘柄ほど警戒感が強まることが考えられる。つまり、こうした銘柄は機関投資家にとって格好の利食い売りの対象となりやすいのではないか。

 結局、消去法的に中低位の材料株の物色人気が強まるとみたい。チャート的にも、また業績的にも不安のない銘柄で注目されるのは、家賃債務保証を手掛け時流に沿うジェイリース <7187> 。次いでエンビプロ・ホールディングス <5698> 。グローバルな資源リサイクル事業を展開し、同社も時流に乗りそうだ。情報セキュリティ対策のサービスを提供するアセンテック <3565> などが面白そうだ。

2021年9月17日 記

株探ニュース

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