【特集】利益成長“青天井”銘柄リスト【総集編】第1弾 37社選出 <成長株特集>
川崎汽 <日足> 「株探」多機能チャートより
本特集では、7月下旬から8月中旬までの決算発表集中期間に配信した「利益成長“青天井"銘柄リスト」を、“全期間”を対象に再構成した総集編をお届けします。今回は総集編 第1弾として、時価総額2000億円以上の東証1部銘柄を対象に、21年4-6月期に四半期ベースの過去最高益を更新し、かつ今期も最高益を見込む、いわゆる利益が“青天井”状況になっている銘柄をリストアップした。
下表では、本決算月にかかわらず、4-6月期に経常利益が全四半期ベースの過去最高益を更新した銘柄をピックアップ。さらに、会社側が今期(通期計画)も過去最高益見通しを示している37社を選び出し、4-6月期の過去最高益に対する上振れ率が大きい順に記した。
上振れ率トップとなったのは、カプコン <9697> 。21年4-6月期(第1四半期)の経常利益は過去最高益を2.0倍も上回る238億円に拡大し、実に49四半期ぶりとなる最高益更新を果たした。5月に投入した大型タイトル「バイオハザード ヴィレッジ」に加え、前期末に発売したニンテンドースイッチ向けソフト「モンスターハンターライズ」や過去のシリーズ作を中心としたリピートタイトルなど、利益率の高いデジタル販売が好調だった。
2位に入った川崎汽船 <9107> の4-6月期(第1四半期)は旺盛な輸送需要が継続するなか、コンテナ船事業で持ち分法適用会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)の業績が大幅に改善し投資利益が急増したほか、ばら積み船や自動車船がコロナ禍の影響から回復したことも収益拡大に貢献した。ONEに共同出資する日本郵船 <9101> と商船三井 <9104> もそれぞれ4位、36位にリスト入りした。3社とも好調な業績を踏まえ、22年3月期通期の経常利益予想を大幅上方修正している。
3位のサイバーエージェント <4751> はゲーム事業で2月にリリースしたスマートフォン向け育成型ゲーム「ウマ娘プリティーダービー」の課金収入が大きく伸びたうえ、インターネット広告事業が昨年の緊急事態宣言による需要減少から急回復し、4-6月期(第3四半期)は2四半期連続の最高益更新を遂げた。業績好調に伴い、21年9月期通期の経常利益を大幅上方修正し、従来の5期ぶりの過去最高益予想をさらに上乗せした。
5位のタカラバイオ <4974> は新型コロナウイルスの感染拡大で、試薬や機器などPCR検査関連製品の販売が拡大し、4-6月期(第1四半期)は4四半期連続となる最高益更新を果たした。続く6位のDOWAホールディングス <5714> は自動車生産の回復や金属相場の上昇が追い風となったほか、持ち分法適用関連会社の藤田観光 <9722> で資産売却益が発生したことも利益拡大の要因となった。
7位のミスミグループ本社 <9962> は設備投資需要や自動化需要の回復が本格化するなか、FA事業、金型部品事業、製造業向けインターネット通信販売を展開するVONA事業の収益がいずれも急拡大した。また、前期から実施している収益体質改善の効果も寄与し、4-6月期(第1四半期)は16四半期ぶりに経常利益の過去最高益を塗り替えた。併せて、22年3月期通期の業績見通しを上方修正したことも好感され、株価は青空圏を快走する展開となっている。
選出リストには、利益成長“青天井”に加え、株価も上場来高値圏で推移しているものが目立つ。8位にリストアップされた新光電気工業 <6967> の4-6月期(第1四半期)は、パソコンやサーバー向けフリップチップタイプパッケージの販売が大幅に増加したほか、自動車市場の回復を背景にリードフレームが好調だった。また、旺盛な半導体需要に支えられ半導体製造装置向けセラミック静電チャックの販売も伸び、2四半期連続の最高益更新を達成した。株価は14日に上場来高値4225円をつけている。
新光電工をはじめ半導体関連は8月下旬から上昇基調を強めている銘柄が多くみられる。半導体製造装置の国内トップメーカーである東京エレクトロン <8035> 、シリコンウエハー世界トップの信越化学工業 <4063> 、半導体製造用フォトレジストで世界大手の東京応化工業 <4186> 、半導体マスクブランクス検査装置で世界シェアを独占するレーザーテック <6920> がリスト入りを果たし、いずれも最高値街道をまい進している。
半導体関連以外で海外売上高が大きい企業をみると、米求人情報サイト「インディード」が収益を牽引するリクルートホールディングス <6098> のほか、ダイキン工業 <6367> 、マキタ <6586> 、シマノ <7309> が決算発表後に上場来高値を更新した。一方、内需系ではインターネットイニシアティブ <3774> 、オープンハウス <3288> 、エスエムエス <2175> 、森永乳業 <2264> が過去最高値を塗り替えている。
┌─ 四半期 経常利益 ─┐ ┌── 通期 経常利益 ──┐ 予想
コード 銘柄名 上振れ率 4-6月期 過去最高 上振れ率 今期予想 過去最高 PER
<9697> カプコン 104 23899 11701 20.5 42000 34845 23.9
<9107> 川崎汽 89.8 88441 46589 118 275000 125867 2.6
<4751> サイバー 71.6 44770 26097 183 100000 35341 27.7
<9101> 郵船 64.7 153620 93250 132 500000 215336 3.4
<4974> タカラバイオ 63.7 8579 5240 20.8 17100 14159 33.5
<5714> DOWA 58.4 28222 17819 32.8 66000 49717 6.9
<9962> ミスミG 45.0 14436 9959 30.3 45200 34679 41.3
<6967> 新光電工 40.3 14569 10385 13.2 39500 34887 20.0
<6134> FUJI 31.4 9232 7026 23.2 29000 23538 15.3
<4516> 日本新薬 31.1 16598 12661 6.5 28500 26760 30.8
<6976> 太陽誘電 30.3 15174 11642 32.1 54500 41247 23.9
<8012> 長瀬産 28.2 10660 8317 16.4 31000 26643 10.7
<8035> 東エレク 28.0 142630 111451 57.7 508000 322103 23.0
<6098> リクルート 28.0 105407 82336 27.2 305000 239814 50.5
<6201> 豊田織 27.2 101302 79631 7.2 225000 209827 18.3
<6367> ダイキン 24.5 111859 89826 4.7 290000 277074 43.7
<8439> 東京センチュ 20.7 30533 25307 9.7 100000 91126 13.5
<7272> ヤマハ発 17.7 62220 52856 6.6 165000 154826 9.7
<9364> 上組 14.9 8460 7361 1.1 26700 26407 15.6
<3291> 飯田GHD 14.8 40278 35093 4.4 125000 119685 9.9
<3774> IIJ 11.3 5350 4808 23.3 17300 14035 31.2
<4063> 信越化 11.2 130831 117694 19.5 500000 418242 24.1
<3288> オープンH 10.6 30021 27150 20.2 93000 77357 11.9
<7203> トヨタ 10.2 1257220 1141174 4.2 3110000 2983381 12.0
<2175> エスエムエス 10.0 3319 3018 10.5 7352 6653 72.4
<6586> マキタ 10.0 29865 27141 0.9 88000 87199 29.4
<2531> 宝HLD 9.6 12742 11628 32.2 29000 21929 23.7
<2127> 日本M&A 9.2 5807 5317 4.0 17200 16540 100
<3769> GMO-PG 8.0 3888 3600 13.1 12426 10989 149
<6035> IRジャパン 6.4 1431 1345 47.2 5990 4070 64.7
<4684> オービック 6.3 14266 13420 6.5 56000 52600 52.4
<2264> 森永乳 5.2 10309 9800 5.6 31800 30109 10.3
<4186> 東応化 2.9 5099 4953 22.8 19800 16129 23.2
<4732> USS 2.0 10842 10626 2.8 39100 38039 18.8
<6920> レーザーテク 0.6 7477 7431 2.1 27000 26438 121
<9104> 商船三井 0.5 104268 103736 15.8 350000 302219 3.3
<7309> シマノ 0.0 36952 36948 27.2 128600 101110 34.5
※ 2020年1月以降に上場した企業と今期見通しを開示していない企業は除いた。四半期の過去最高益は原則、四半期決算の開示が本格化した2003年4-6月期以降の業績に基づいたものです。
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