【特集】アルプス技研 Research Memo(1):2021年12月期上期は増収及び経常増益を確保
アルプス技 <日足> 「株探」多機能チャートより
■要約
1. 会社概要
アルプス技研<4641>は、機械、電気・電子、ソフト・IT、化学などの分野において大手製造業各社に高度技術サービスを提供する総合エンジニアリングアウトソーシング企業である。経営理念である“Heart to Heart”「人と人との心のつながり」を大切にしており、技術者としてのみならず社会人としても一流であるべしとの思いから、創業以来一貫して、技術力の強化に加え、ヒューマン教育にも注力している。これが同社の強みである人材を生み出す源泉となる企業組織文化となっている。2018年7月には創業50周年を迎えるとともに、第2創業期をスタート。新規事業分野参入(農業及び介護関連分野)を含め、SDGs(持続可能な開発目標)にも取り組みながら、次世代に向けた強みの創出(経営基盤の強化)を目指している。
2. 2021年12月期上期の業績
2021年12月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比7.4%増の18,770百万円、営業利益が同3.0%減の1,732百万円、経常利益が同8.2%増の2,314百万円と増収及び経常増益を確保した。売上高は、2020年7月に連結化した(株)デジタル・スパイスの上乗せや農業関連分野等を手掛ける(株)アグリ&ケアの伸びを含めて、グループ各社が増収に大きく寄与した。同社単体についても、稼働人数の拡大や稼働工数の回復により増収を確保した。損益面でも、増収による収益の押し上げに加え、販管費の抑制と、雇用維持を目的とした「雇用調整助成金」の営業外収入が加わったことから、計画を上回る経常増益となった。活動面でも、2021年7月に訪問介護サービスを展開する(株)アルプスケアハートを設立し、訪問介護事業へ本格参入した。さらに、アグリ&ケアを(株)アルプスアグリキャリアに社名変更するとともに、アグリ事業に特化する体制へと見直しを行った。
3. 2021年12月期の業績予想
2021年12月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比11.9%増の40,000百万円、営業利益を同9.9%増の4,000百万円と大幅な増収及び営業増益を見込んでいる。先端技術や次世代車等の堅調な顧客ニーズを背景として、本業は底堅く推移する見通しであり、稼働人数の拡大(稼働率の回復)が業績の伸びをけん引する想定となっている(一方、景気減速懸念を踏まえ、稼働工数については抑制傾向を想定)。またアルプスアグリキャリアについても、全国規模で拡大している農業関連分野の需要を取り込み、拡大傾向が継続する見通しとなっている。
4. 中長期の成長戦略
同社は中長期成長ビジョンとして、1)最先端技術への対応、2)新規事業の推進、3)グローバル展開、4)高技術サービスの提供、5)先行者メリット享受の5つの戦略テーマを打ち出している。特に第11次5ヶ年計画の定性目標で、「新産業革命時代に向けた経営資源の再投資」を推進する方針である。また社会的課題の解決に向けても、引き続き高度技術の提供をはじめ、人手不足が深刻な農業及び介護関連分野への貢献を通じて、企業価値のさらなる向上へつなげていく方針である。3ヶ年の中期経営計画(ローリング方式)では、2023年12月期の目標として売上高45,660百万円、営業利益4,900百万円、ROE20%以上を目指している。
■Key Points
・2021年12月期上期はコロナ禍の影響を一定程度受けたものの、稼働人数の拡大及び稼働工数の回復などにより増収及び経常増益を確保
・2021年7月には訪問介護サービスを展開する新会社を設立し、訪問介護事業へ本格参入
・2021年12月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、大幅な増収及び営業増益を見込む
・第11次5ヶ年計画の定性目標では、「新産業革命時代に向けた経営資源の再投資」を推進。時代に先駆けた外国人材活躍推進により、農業・介護関連分野などのSDGs(持続可能な開発目標)にも積極的に取り組む方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《EY》
提供:フィスコ