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【特集】藤代宏一氏【様変わりの日経平均、ここからの見通しと戦略】(1) <相場観特集>

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト)

―3万円台乗せから新高値が目前、上昇トレンドは続くか―

 週明け13日の東京株式市場は前週末の欧米株安を受けて、利益確定売り圧力が顕在化したが大引けにかけ切り返す強さをみせた。日経平均は前週末まで2週間で2700円以上の上昇をみせ、3万円大台まで一気に駆け上がっただけにその反動も余儀ないところ。しかし、下値では押し目買い意欲旺盛で容易に下がらない。ここから日経平均は更に上値を目指すのか、それとも再び下値を探る展開が待っているのか。今後の相場展望と物色の方向性について、先読みに定評のある市場関係者2人に意見を聞いた。

●「新型コロナ感染者減少が上昇要因、経済再開に向け内需株に期待」

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト)

 東京株式市場では、日経平均株価の上昇が続いている。この要因として、新政権への期待とみる声が多いが、実際は新型コロナウイルスの感染者数の減少が相場を押し上げている面は無視できないと思う。

 新型コロナ感染者数は8月下旬から増加ペースが鈍っている。日経平均株価が底を打ったのは先月20日であり、菅首相が9月3日に退陣を表明する前から、相場は動き出している。新型コロナワクチンの接種拡大の効果はあるだろう。欧米から数ヵ月遅れでようやく経済再開に向けた機運が出ている。もたついていた内需も10月から11月にかけ、好転の見通しはみえてくると思う。経済再開に向け、欧米のようなお祭り気分は出にくいが、方向性は見え始めた。政治面では、追加経済対策への期待が大きいだろう。

 足もとで海外投資家が買い姿勢をみせているが、これも経済再開を期待してのものだろう。更に、中国の経済指標には下げ止まりを示すものも出てきたほか、米国のテーパリング(量的緩和縮小)も9月に実施されることは、ないとみられることも追い風だ。

 こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均株価は、3万1000円前後まで上昇することもあり得るとみている。下値は2万9500円程度だろう。相場を主導するのは内需株で、非製造業セクターの外食小売りなどに注目している。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ふじしろ・こういち)
第一生命経済研究所経済調査部・主任エコノミスト。担当は金融市場全般。2005年4月、第一生命保険入社。08年、みずほ証券出向。10年4月第一生命経済研究所出向、同年7月内閣府経済財政分析担当へ2年間出向。12年7月副主任エコノミストを経て、15年4月より現職。

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