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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─政局転換で関門を突破!離れ業を演じた東京市場(訂正)

株式評論家 植木靖男

「政局転換で関門を突破!離れ業を演じた東京市場」

●全般底上げ、日経平均は3万円奪回が目標に

 日経平均株価は戻り相場の“肝”となる2万8700円処を上抜き、9月に入って一目均衡表の雲の上に躍り出るという離れ業をみせた。結局、8月30日~9月5日の週は5日間連続上昇した。極めて珍しいケースだが、いずれにしても久しぶりの騰勢局面といえよう。

 こうした局面の中で、市場にいくつかの大きな変化があったことに注目したい。1つは、株価上昇は難しいとみられた中で、チャート上の“肝”をあっさり上抜いた理由だ。それは政治の前進である。具体的には、自民党幹事長の交代説である。なぜ幹事長交代で株価が上昇したのか。人気が落ち目の現政権が人事刷新に手をつけたことが好感されたのは事実だ。さらに週末、菅首相退陣の報道がこの流れに拍車を掛けた。きっかけは先物取引だ。つまり、海外筋の買いのようだ。政変劇を促した本当の黒幕は誰か。諸説が飛び交う。

 もう1つの変化、これは市場内部要因にある。昨年3月安値から本年2月までの大金融相場では、米国はGAFAMに代表されるグローバル株の独壇場であった。金融相場ならではの主役だ。これに対し東京市場では、ソフトバンクグループ <9984> やファーストリテイリング <9983> などのいわゆる成長株が急騰した。だが、直近の上昇相場は、いわゆる全般底上げ相場の様相を強めていることが特徴だ。すなわち、バリュー株の台頭だ。

 よって、日経平均株価よりもTOPIXに陽が当たることになる。日経平均株価は寄与度の高いソフトバンクグループやファーストリテイリングが本年高値から30~40%の厳しい下げをみせ、上昇し難くなっている一方、バリュー株の多いTOPIXの方が上昇しやすい。実際、TOPIXは足元で年初来高値を更新したのに対し、日経平均株価は本年高値から5%も下にある。

 当面は、グロース株からバリュー株に物色が転換するプロセスにあるだけに、グロース株とバリュー株の交互物色となろうが、米国でテーパリング(金融緩和の段階的な縮小)開始の時期が来れば、市場はその先を読み込む段階に入ろう。

 このようにみると今後、自民党の新しい総裁のもと、株価は堅調に推移するものと予想される。なによりも、ここへきて5日連騰をみせたことが先高感の高まりを示唆している。日経平均株価は3万円奪回が目標となろう。

●注目は異彩を放つ機械株、鉄鋼株にも妙味

 当面の物色はどうみればよいのか。政変劇がはっきりした週末3日の業種別の騰落(東証1部)をみると、上昇率トップは鉄鋼。午後に入って急台頭してきたのが5位の医薬品だ。菅首相が対コロナ対策に全力投球したいと表明したことが影響しているのかもしれない。そして、異色の動きをみせてきたのが4位の機械だ。

 このような点を踏まえて、今回はまず機械、それも 工作機械に注目したい。7月の工作機械受注は前年同月比93.4%増となり、2018年12月以来、2年7カ月ぶりの高水準となった。株価がここへきて急台頭しているツガミ <6101> 、牧野フライス製作所 <6135> 、不二越 <6474> などが注目されよう。また、風水力事業の好調などで今期業績予想を上方修正した荏原製作所 <6361> も妙味大だ。

 バリュー株の代表といえる鉄鋼もまだ面白い。日本製鉄 <5401> 、東京製鉄 <5423> なども目先的に妙味がありそうだ。

 医薬品ではテルモ <4543> 、協和キリン <4151> などの出直りに期待したい。

2021年9月3日 記

株探ニュース

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