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【特集】次世代車載電池の有力候補、「ナトリウムイオン電池」急浮上で狙える妙味株 <株探トップ特集>

次世代車載電池の開発は、EV市場の争奪戦のカギを握る。現在主流のリチウムイオン電池の有力な代替候補となりそうなのが、コスト面などに優れるナトリウムイオン電池だ。

―レアメタル不使用でコスト面に魅力、低温性能、急速充電などで優位性誇る―

 脱炭素化に向けた電気自動車(EV)の世界的な開発競争が激化している。そのEV開発に向けて、航続距離などでのカギを握るのが車載蓄電池だ。現在はリチウムイオン電池 が主流となっているが、その車載電池の有力候補に「ナトリウムイオン電池」が急浮上している。ナトリウムイオン電池は、価格が高騰するリチウムなどレアメタルを使用せずコスト面で優位性を発揮するほか、急速充電などでの強みを持つ。市場の脚光を浴びるナトリウムイオン電池関連株を探った。

●世界最大手、中国CATLの発表が関心集める

 世界は「ガソリン車からEVへの移行」を目指す大きな潮流の中にある。そんなEVの中核を担っている部品、それが「リチウムイオン二次電池(バッテリー)」だ。リチウムイオンバッテリーは、鉛酸バッテリーやニッケル水素バッテリーと比較して、エネルギー密度の高さが1つの特徴となる。周知の通り、これまで長い期間をかけて、自動車メーカー各社が技術開発に精を出してきた。日産自動車 <7201> を例に挙げれば、同社EVの航続距離は2010年の200キロメートルから約10年後の19年には458キロメートルと実際に大幅に延びている。しかし、そんなEVの主流とも呼べる「リチウムイオンバッテリー」に挑戦する次世代車載電池が足もとで急速にその存在感を増している。

 次世代車載電池に関して、直近で市場の関心を集めたのが、車載電池最大手である中国の寧徳時代(CATL)だ。7月29日に同社は「(第1世代)ナトリウムイオン電池」を発表した、と中国メディアが伝えている。その報道によると、同社創業者の曾毓群会長は、ナトリウムイオン電池について「低温性能、急速充電、環境への適応性などの面で独自の優位性を持つ」と利点を指摘。更に同社は「ナトリウムイオン電池の産業化展開に着手しており、23年には基本的な産業チェーンを形成する計画だ」という。日本経済新聞の報道では、中国工業情報化省もナトリウムイオン電池の規格構築に乗り出す方針としており、新技術を柱にEVの領域で世界をリードしたい中国政府の思惑が透ける。

●レアメタル使用せず大幅なコスト優位性を誇る

 急速に存在感を増してきた次世代車載電池とは、まさにこの「ナトリウムイオン電池」のことである。現在主流となっているリチウムイオン電池では、リチウムと冠する名の通り、主要部材に「レアメタル 」を用いている。一方、ナトリウムイオン電池ではこれを用いないため、CATLの創業者が言及した利点以外に、大幅なコスト優位性を持つことが魅力ともなっているのだ。もちろん、現段階では容量の問題などの課題もあるとはいえ、今後の技術開発が大いに期待されている分野であることは間違いない。

●日本では民間に加え大学で研究成果が出る

 日本でも東北大学の研究グループが6月28日、ナトリウムイオン電池の実用化に向けて、課題となっている高性能電極の開発促進につながると期待される発表を行った。更に、豊橋技術科学大学の研究チームも7月に入り、高伝導性と電気化学安定性を兼ね備えたナトリウム固体電解質を開発したと発表。民間企業だけではなく、「学」の領域でも、盛んな研究の成果が出始めている。

 トヨタ自動車 <7203> を筆頭にガソリン車などで世界的にこれまで大きな存在感を示してきた日本も、EVにおいてもその位置づけを死守するために、中長期的には「官」の協力が今後期待されてくることになるだろう。株式市場での物色という観点からは、まだ直接的な対象となる銘柄はそれほど多くはない。しかし、技術開発が進み、市場が育つにつれ、化学・材料メーカー参入への思惑にもつながり、物色対象が次第に広がっていくことになろう。そこで今回は、今後注目を集める可能性のあるナトリウムイオン電池関連銘柄を紹介する。

●日電硝や住友化、クラレ、北興化学など注目

日本電気硝子 <5214> ~正極材に結晶化ガラス、電解質に酸化アルミニウム素材を用いた全固体ナトリウムイオン二次電池の開発を進めており、20年には実用レベルの性能を得られることを実証している。

クラレ <3405> ~ナトリウムイオン二次電池の負極材となるハードカーボン(難黒鉛化性炭素:商品名クラノード)を手掛けている。充放電に伴う体積変化が黒鉛よりも小さく、電池の長寿命化に寄与するほか、環境負荷の低い植物を原料としている。

北興化学工業 <4992> ~殺菌剤や殺虫剤などの農薬事業と電子材料、医薬品原料といったファインケミカル事業を主力とする。ファインケミカルにおいて各種複合酸化物の合成などを手掛けており、各種電池の中間材料などにも用いられていることから、正極材の材料を手掛ける関連銘柄の一角として思惑が高まろう。

セントラル硝子 <4044> ~半導体や光学用途向けに高純度無機塩・フッ化物を手掛けている。現在はリチウムイオン二次電池用電解液、キャパシタ用電解液を手掛けており同分野に注力している状況である。電池関連の一角として物色の矛先が向かいやすいと考えられる。

ニッポン高度紙工業 <3891> [JQ]~電池用セパレータを国内外の電池メーカーに供給。リチウムイオン電池用セパレータにおいては、植物由来の高性能セルロース系セパレータを開発しており、車載用途や産業用電池に使用されている。現段階ではナトリウムイオン電池向けは手掛けていないが、関連銘柄の一角として人気化しやすい。

グンゼ <3002> ~金属集電体を使わず、金属集電体より高い電気抵抗を持ち、フィルムの導電性を制御する樹脂集電体を開発しており、全樹脂電池の量産化を促進している。現在は次世代型リチウムイオン電池向けだが、ナトリウムイオン電池の市場が拡大するうえでは、集電体など複合化学製品の一角として思惑的な動きが強まりやすいだろう。

住友化学 <4005> ~総合化学メーカー。エネルギー・機能材料部門では、リチウムイオン二次電池用部材(セパレータと正極材)を手掛けており、同時にナトリウムイオン電池に関する特許出願も多数ある企業だ。

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