市場ニュース

戻る

【特集】横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」― (5)市場再編の波に揺れる株主優待、リスク回避のために知っておくべきこと

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆業績・財務と株主優待コストを確認する

 株主優待コストの調べ方ですが、具体的には企業が発表した決算短信から、「貸借対照表」の「負債」の項の「引当金」を見ることで株主優待を実施するにあたってかかっている費用を見ることができます。

 新型コロナウイルス感染症の流行で厳しい経営を強いられている飲食店の代表銘柄として、「すかいらーく <3197> 」を例に確認しておきましょう。

 すかいらーくはブランドのリモデル体制をとっていて、そろそろその成果が出てきそうかなというタイミングで、新型コロナウイルス感染症の流行に見舞われました。2020年5月に、20年12月期第1四半期の連結税引き前損益が赤字に転落すること、そして、従来9円を計画していた上期配当を見送り、下期配当を未定に変更することを発表しました。

●図3 すかいらーく <3197> の業績推移
【タイトル】

●図4 すかいらーく <3197> の財務、悪化傾向を辿る自己資本比率
【タイトル】

 経営状況の悪化により返済不要の自己資本が減り、自己資本比率は悪化傾向をたどります。業種的にもある程度の経営悪化は仕方がないことだとは思いますが、株主優待の縮小や廃止など制度の行方に注目が集まる中、2020年9月に株主優待カードの贈呈金額を減額すると発表しました。株主優待ラバーにとっては優待の縮小は残念なことかもしれません。しかし、同社が背負う株主優待コストはこれによって減少します。新型コロナウイルス感染症の流行で売上高の減少が続くなか、地道な経費削減を行っている様子がうかがえます。

●図5 すかいらーく <3197> 、「株主優待制度の変更」(2020年9月10日開示情報より)

【変更前】
保有株式数 贈呈金額
(年間合計)
贈呈金額
(6月末基準日)
贈呈金額
(12月末基準日)
100株~299株 6,000円 3,000円カード×1枚
(3,000円)
3,000円カード×1枚
(3,000円)
300株~499株 20,000円 3,000円カード×3枚
(9,000円)
3,000円カード×2枚
5,000円カード×1枚
(11,000円)
500株~999株 33,000円 5,000円カード×3枚
(15,000円)
3,000円カード×1枚
5,000円カード×3枚
(18,000円)
1000株以上 69,000円 3,000円カード×1枚
5,000円カード×6枚
(33,000円)
3,000円カード×2枚
5,000円カード×6枚
(36,000円)

【変更後】
保有株式数 贈呈金額
(年間合計)
贈呈金額
(6月末基準日)
贈呈金額
(12月末基準日)
100株~299株 4,000円 2,000円カード×1枚
(2,000円)
2,000円カード×1枚
(2,000円)
300株~499株 10,000円 5,000円カード×1枚
(5,000円)
5,000円カード×1枚
(5,000円)
500株~999株 16,000円 3,000円カード×1枚
5,000円カード×1枚
(8,000円)
3,000円カード×1枚
5,000円カード×1枚
(8,000円)
1000株以上 34,000円 2,000円カード×1枚
5,000円カード×3枚
(17,000円)
2,000円カード×1枚
5,000円カード×3枚
(17,000円)

 同社はブランドのリモデル体制をとっていますから、株主優待をサービスの一環としてうまく活用している企業の一つだとは個人的にとらえています。優待コストについては、上述したように企業が発表した決算短信から、「貸借対照表」の「負債」の「引当金」を見ることで株主優待を実施するにあたってかかっている費用を見ることができます。一般的に、株主優待の使用期間は長期にわたる場合が多いですから、企業の年度で計上できないものも出てきます。すべての数字を確認するようにしてください。

●図6 すかいらーく <3197> の貸借対照表(2020年12月期 第1四半期決算短信)
【タイトル】

 株主優待が楽しみで好きだけど、数字を読むことが面倒と考えている人も多いかもしれません。しかし、株主優待を負担に感じている企業の中から、市場再編の波に乗じて、今後、しめしめと株主優待を廃止もしくは縮小する企業が表れて、結果、個人投資家には株価下落という状況がもたらされる可能性があります。株式投資は儲けられなければ、負けでしかないのです。

 なお、私も子供が小さい頃は金券やゲーム関連を中心に株主優待を取ってお小遣い代わりに利用していました。しかし、値上がり益をメインに、チャートが崩れれば売却する投資スタイルのため、中長期で保有することを前提としていません。また、せっかくの優待も利用できずに終わってしまうことが多いので、積極的に株主優待を取ることを今はしていません。最近は日々の株価の動きに右往左往するのもしんどくなってきたので、「定期収入を受け取れる配当金もいいものだなー」と思い始めるようになっています。次回は配当金について解説していきたいと思います。


<    >


株探ニュース

日経平均