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【特集】GセブンHD Research Memo(7):2022年3月期は7期連続で増収増益が続く見通し

GセブンHD <日足> 「株探」多機能チャートより

■今後の見通し

1. 2022年3月期の業績見通し
G-7ホールディングス<7508>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比7.0%増の175,000百万円、営業利益で同4.8%増の7,400百万円、経常利益で同5.4%増の7,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同3.0%増の5,000百万円と7期連続の増収増益が続く見通し。コロナ禍の影響が長引いており、2021年4月下旬から9都道府県(大阪、兵庫、京都、東京、福岡、愛知、北海道、岡山、広島)で緊急事態宣言が再発出されるなど景気の先行きが見通し難くなっているものの、2021年3月期と同様に業務スーパー事業や精肉事業の新規出店を積極的に展開し、各グループ店舗における生産性向上に取り組むことで増収増益を見込んでいる。また、オートバックス・車関連事業についても、「オートバックス」既存店舗の売上回復により増収増益を見込む。

新規出店計画はグループ全体で49店舗、このうち「業務スーパー」で12店舗、「お肉のてらばやし」で14店舗となっている。また、「miniピアゴ」については不採算店舗のスクラップ&ビルドを推進していく予定にしている。2022年3月期末のグループ店舗数は前期末比49店舗増の635店舗を目指している。


業務スーパー、精肉事業は積極的な出店を継続、「miniピアゴ」はスクラップ&ビルドによる収益性改善に取り組む
2. 事業セグメント別見通し
(1) オートバックス・車関連事業
オートバックス・車関連事業のうち、主力のG-7・オート・サービスは売上高で前期比6.8%増、経常利益で2ケタ増益を見込む。「オートバックス」の新規出店の予定はなく、既存店の売上回復で増収増益を目指すことになる。2021年3月期はコロナ禍の影響による来客数の減少が減収要因となったが、2022年3月期はコロナ禍の影響を受けた2021年3月期との比較となるため、コロナ禍によるマイナス影響(営業時間の短縮等)が一段と深刻なものとならないこと、冬用タイヤが前期並みの水準で推移することを前提とすれば、増収増益は可能と弊社では見ている。同社では引き続き、板金・塗装や車検サービスなど収益性の高いサービス部門の強化を進めるほか、従業員1人当たりの生産性向上に取り組むことで、利益率の改善を図っていく計画だ。

新たな取り組みとしては、「オートバックス」店舗敷地内にEVステーションや水素ステーションの設置を順次進めていく計画にしている。補助金を活用するため、投資負担もさほど大きくない。当面は無料サービスとするが、いずれは有料サービスにしていく予定だ。EVステーションなどを設置することで、集客力の向上につなげていく。そのほか新業態の「FIELD SEVEN」については、2021年6月に福井県に1店舗出店するほか、収益モデルを確立した段階で関東エリア(千葉県、茨城県)への店舗展開も視野に入れている。オートキャンプの需要は根強く、コロナ禍が収束に向かえばシナジーが期待される。

そのほか、G-7バイクワールドでは「バイクワールド」を3店舗出店する計画となっており、増収増益を見込んでいる。また、海外の「オートバックス」「バイクワールド」については、2021年6月にマレーシアに各1店舗をリニューアルオープンする。業績への影響は軽微だが、将来的には東南アジアでの成長も取り込んでいく考えで、その基盤づくりとなる。また自動車輸出販売事業については、主な販売先となるマレーシア向けが直近でもほとんど動いていないことから、アフリカやオセアニア向けへの販売拡大に取り組み、売上高で30億円程度を目指していく。

(2) 業務スーパー事業
業務スーパー事業の売上高は前期比1ケタ台の増収増益を見込んでいる。新規出店やリニューアル出店を積極的に行う予定で、店舗数は前期末比12店舗増の177店舗を見込んでいる。出店余地が大きい九州のほか、愛知県や首都圏、北海道でも出店を進めていく計画だ。既存店舗の売上高については2021年3月期の第1四半期にコロナ特需があった反動もあり、横ばい水準で見込んでいる。

(3) 精肉事業
精肉事業の売上高は前期比1ケタ台の増収増益を見込んでいる。「お肉のてらばやし」は「業務スーパー」との同時出店等で14店舗の出店を計画しており、期末店舗数は157店舗まで拡大する。2021年春より新卒社員の採用を新たに開始するなど、出店戦略を支える人材の強化も進めている。2021年3月期にコロナ禍で厳しい収益状況だったアンデス食品事業部についても、2022年3月期は第3四半期以降の回復を見込んでいる。

(4) その他事業
その他事業についても増収増益となる見通しだ。99イチバの「miniピアゴ」は、現在店舗の約4割が若干ではあるが不採算店舗となっている。特に、集客力の低いビジネス街の店舗を閉め住宅街に出店するなどスクラップ&ビルドを進めていく方針となっている。期末店舗数については、前期末比6店舗増の78店舗を計画している。店舗の収益力向上施策としては、商品廃棄ロスの削減に取り組んでいく。現状の廃棄率は売上高の約2%で「業務スーパー」と比較して高く、同水準まで引き下げたい考えだ。具体的な施策として、発注システムの見直しや外国人スタッフの教育に注力していく。また、将来的にはセルフレジシステムの導入による店舗当たり人件費の削減も視野に入れているようだ。

また、同社は「miniピアゴ」について首都圏で早期に100店舗体制を構築し、売上高で200億円規模まで拡大していくことを目指している。現在はユニー( 株 )の物流網を利用しているが、2023年以降は契約により利用できなくなり、物流コストの低減を図るためにも店舗網を拡充しておく必要があると考えている。また、現在取り扱っているユニーのPB商品の販売も同時期に終了するため、今後はG7ジャパンフードサービスが開発・製造するPB商品やグループ会社の商品(精肉、青果物)を販売していく予定にしており、シナジーによって収益力も一段と向上するものと期待される。首都圏で100店舗体制を確立し収益力が向上した段階で、名古屋など新規エリアへの進出も視野に入れている。

「めぐみの郷」については新規出店で5店舗を計画している。出店エリアは関西圏や中部圏、首都圏で「業務スーパー」と同時出店を進めていくことになる。九州や北海道については物流ネットワークがまだ整備されていないため、現状は進出予定がない。業績については商品流通額の拡大に伴う委託販売収入の増加により、増収増益を見込んでいる。

G7ジャパンフードサービスの食品事業は、地域のこだわり食品の発掘と百貨店など顧客先の開拓に取り組むことで増収増益を見込んでいる。女性向けフィットネスクラブの「カーブス」については、5店舗を新たに取得して30店舗に拡大する計画となっている。コロナ禍で現状は厳しいものの、中期的に健康サービス市場は安定成長が見込めるため、いずれは収益増に貢献するものと見ている。なお、M&Aについては候補案件の検討が進んでおり、2022年3月期中の契約締結を目指している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《EY》

 提供:フィスコ

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