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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ 日本株出番のタイミングが迫る!

経済評論家 杉村富生

「日本株出番のタイミングが迫る!」

●米国集中投資に警戒の声が台頭!

 アメリカの景気は急浮上をみせている。1-3月期のGDP成長率はプラス6.4%となったが、4-6月期は続伸し2019年10-12月期の水準を上回るという。コロナショックはほぼ克服された。企業業績は絶好調だ。S&P500指数採用企業の増益率は1-3月期が51.9%(実績)、4-6月期が59.9%(予想)である。

 こうした状況を背景に、NY市場、およびNYダウ平均は堅調だ。世界の投資マネーを集めている。ただ、バロンズ誌は「S&P500指数はテクノロジー、通信サービスのウエートが約5割を占めている。エネルギー、素材、銀行、資本財の比率は27%にすぎない」と。これはどういうことか。

 ベンチマークのS&P500指数を対象とした投資は景気循環型の銘柄が少ないだけに、「景気回復局面においては将来の利益を薄める可能性がある」とし、「他市場、具体的にはイギリス株に目を向けるべきだ」と主張している。この考え方は理解できる。とはいえ、世界的な景気敏感セクターとしての日本株を忘れている。

 とはいうものの、外国人にとって日本株の存在感は乏しい。MSCIインデックスの採用企業数(昨年11月に21銘柄、今年5月に29銘柄→この処理は27日の売買代金が5.6兆円と激増、すでに終わっている)にみられるように、地盤沈下は著しい。ただ、このインデックスは過去のデータに基づいて算出される。

 それに、コロナワクチンの接種率次第では認識が変わるだろう。緊急事態宣言の解除後は景況感が劇的に改善に向かうはずだ。アメリカ、ドイツ、中国のケースがそれを端的に示している。

●主軸株の“核”はトヨタ自動車!

 コロナ禍にもかかわらず、日本企業の業績は好調だ。21年3月期は3割経常増益になったようだが、今期は4割増益が見込まれている。27日現在の日経平均株価の1株利益(予想ベース)は2061円(実績ベースは1616円)である。これは27.5%増益だ。最大のポイントは2019年の水準(1750円前後)を上回ること。

 すなわち、企業は業績面ではコロナショックを乗り越えている。早晩、この好実態を評価する場面が訪れるだろう。ちなみに、日経平均の予想ベースのPERは13.85倍だが、実績ベースは17.66倍だ。仮に、1株利益2061円を17.66倍に評価すると、3万6400円絡みになる。

 さて、ここでの狙い目は? 自社株買いを発表している浜井産業 <6131> [東証2]、KeePer技研 <6036> 、共同ピーアール <2436> [JQ]、BEENOS <3328> は揃って好業績だ。このほか,中国向けEC(電子商取引)のアクシージア <4936> [東証M]、電子部品のメイコー <6787> [JQ]に注目できる。

 主軸株では引き続いて、史上最高値圏、9月末に1対5の株式分割を行うトヨタ自動車 <7203> を軸に、半導体関連のI-PEX <6640> 、山洋電気 <6516> 、デクセリアルズ <4980> などに妙味があろう。

2021年5月28日 記

株探ニュース

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