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【特集】無料サービスもあり!「親の預金口座」の凍結対策はこれ~親が認知症になる前に知りたいシリーズ-その2

清水香の「それって常識? 人生100年マネーの作り方-第28回
清水香(Kaori Shimizu)
FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表
清水香1968年東京生まれ。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランナー(FP)業務を開始。2001年に独立後、翌年に生活設計塾クルー取締役に就任。2019年よりOfficeShimizu代表。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。一般生活者向けの相談業務のほか執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、テレビ出演も多数。 財務省の地震保険制度に関する委員を歴任、現在「地震保険制度等研究会」委員。日本災害復興学会会員。

前回記事「『困った! 認知症の親の預金が引き出せない』、にどう備える」を読む

本人の認知判断能力が一定程度低下した場合、たとえ家族であっても本人の資産を動かすことは原則できなくなります。たとえATMでの小口の現金引き出しでも、資産はあくまでも本人のもの。本人の意思確認なしに取引はできないのです。

一定程度認知判断能力が低下してしまったら、成年後見人を立てて取引を行う以外にお金を引き出す方法はありません。しかし成年後見人制度には種々の課題があり、利用者が伸び悩んでいる現状も。前回記事でご紹介したとおりです。

現在、成年後見制度を申し立てする動機の4割近くが、預貯金等の管理や解約です。

本人の認知能力の衰えとともに医療費や介護費の負担が膨らみ、あるいは施設入所時に発生する多額の費用について家族が困り果てた結果、申し立てに至るケースもあるのでしょう。認知機能の衰えた親の資産凍結は、子世代にとって不安でしかありません。

しかし、本人が元気なうちであれば、成年後見人以外に打てる手がいくつかあります。今回、事前準備で預金を引き出せる方法について、具体的にご紹介します。

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問題は「本人の意思確認ができるか」

そもそも、認知症と診断されると即、取引ができなくなる、というわけではありません。ポイントは、取引に必要になる本人の意思確認が可能かどうか。窓口でのやり取りでそれが確認できれば、取引は可能、ということになります。

逆に、認知症と診断されていなくても、本人の意思が確認できないと、取引はできません。その場合、銀行は成年後見人を介して取引をするよう、制度の案内をすることになるでしょう。本人の大事な資産を、万が一にも悪用されないようにするには、銀行としても慎重に対応せざるを得ないのです。

銀行によっては、成年後見制度を利用しなくても、家族が本人に代わり取引を行えるようにするサービスを提供しています。ただどのしくみも、判断能力を失う前に、本人が手配する必要があります。

メガ3行は家族に「代理人カード」を発行

たとえば、メガ3行には、生計を一にする家族1人がATM等で本人の口座に入出金ができる「代理人カード」の発行を受けられるサービスがあります。

本人が来店、窓口で代理人キャッシュカードの発行手続きをして代理人にキャッシュカードを渡せば、すぐ使うことができます。

みずほフィナンシャルグループ<8411>のみずほ銀行はカード発行手数料が税込みで1100円になりますが、その場でみずほマイレージクラブ(年会費無料)の会員になれば手数料はかかりません。

三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>の三菱UFJ銀行、三井住友フィナンシャルグループ<8316>の三井住友銀行は手数料無料です。

ATMでの引き出しは、原則1日50万円までですから、代理人カードでは日常生活費の出し入れに限定されます。親の施設入居などで必要になる多額のお金を引き出すことは難しいでしょう。

各行の「任意代理」のサービス

認知症でなくても、本人が入院中などして来店できないときは、銀行に「委任状」を差し入れれば代理人が取引できます。

「任意代理」という方法ですが、委任状をその都度作成する方法のほか、本人があらかじめ委任状を作成して金融機関に提出しておき、代理人が継続的に取引できるようにすることも可能です。

任意代理の手続き方法や、代理できる取引内容は金融機関によって異なります。具体的な内容は取引先の銀行に確認が必要です。

たとえば三井住友銀行の「代理人指名手続」は、本人が2親等以内の親族を代理人としてあらかじめ指名しておくと、代理人が窓口で本人の預金を引き出せます。

一方、三菱UFJ銀行の「予約型代理人」は、認知判断能力が低下して取引ができなくなる将来に備えるサービス。本人が代理人を指定、その後本人の取引が困難になったら、指定された代理人が銀行指定の診断書を提出、代理人による取引・資産管理が開始します。

代理人に指定できるのは、原則として配偶者または2親等以内の血族のほか、その他親族やパートナーも可能。代理できる手続きは、円預金の入出金や解約、外貨預金や投資信託、株式の売却や解約、住所や電話番号の届け出や残高発行など。

サービス利用料は無料です。同じ三菱UFJフィナンシャル・グループに属する三菱UFJ信託銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券でも同じサービスが提供されています。

有料で提供されている信託銀行のサービス

また、いくつかの信託銀行では、認知症向け信託が有料で提供されています。

三菱UFJ信託銀行の「つかえて安心」は、本人が認知症や入院などでお金の管理が難しくなったときに備えるもの。3親等以内の親族などから代理人を設定しておき、代理人が本人に代わってお金を引き出せるようにする仕組みです。

スマートフォンアプリを活用するのが特徴で、代理人が領収書を撮影、アプリを通して払い出し請求をすると、指定口座に払い出されます。

払い出し履歴は閲覧者として設定したほかの家族にもアプリで通知されるので、いつ、どのような目的でお金が払い出されたかを家族で共有できます。

信託設定時・追加入金時にかかる信託報酬は、5000万円未満の部分について信託金額の1.65%、5000万円超の部分について同1.1%です(信託報酬の下限・上限あり)。月額管理手数料は月528円です。

ほかにも、本人の資産を金銭信託で運用しつつ、本人が認知症になった後は指定した代理人が一定の払い出しを行える「認知症サポート信託(みずほ信託銀行)」、「人生100年応援信託<100年パスポート>(三井住友信託銀行)」などがあります。

取引先の金融機関にこうした商品があるか、確認してみるといいでしょう。

代理権のない家族も、一定条件のもとお金を引き出せるように

これら任意代理は、あらかじめ本人が指定した代理人が取引できるもの。ですが全国銀行協会(全銀協)はこのほど、法的な代理権のない親族であっても、条件付きで預金引き出しを認める指針を公表しました。

認知機能が衰える前に準備ができず、本人の預金口座は凍結。医療費や介護費、施設入居費などを家族が立て替えることに。しかし専門家への報酬の支払いや裁判所の監督を受ける法定後見の申し立てもためらわれ…。こんなふうに困り果てる家族もいます。

そこで全銀協は、こうした場合は成年後見制度の利用が基本であるとしつつ、本人のために使う資金であることを確認できれば、一定条件のもと、法的な代理権のない家族などの預金引き出しを例外的に認めるとしました。

その条件とは、



 

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