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【特集】バーチャルウォーズ勃発、「サイバーセキュリティー夏の陣」厳選7銘柄 <株探トップ特集>

デジタル化時代の到来とともに忘れてならないのは、激化するサイバー攻撃への対応である。サイバーセキュリティーは今や戦闘機などの実戦力と同等に国家にとって重要な課題となっている。

―激化する政府機関や大手企業へのサイバー攻撃、ハッカー集団との国家レベルの戦い始まる―

 デジタル化時代の到来が言われて久しいが、新型コロナウイルスの感染拡大を背景としたリモートワーク市場の急成長や、高速通信規格5Gの商用サービスが本格離陸したことなどを背景に、扱われる情報データ量も飛躍的に拡大する状況にある。それに伴いセキュリティー面の充実も強く求められる時代となっている。

 国際的な見地に立っても政府機関や大手企業を狙ったサイバー攻撃は激化の一途をたどっており、もはやバーチャル空間における国際戦争の様相を呈している。もちろん日本も例外ではない。

●日本のサイバーセキュリティーの転換点

 4月22日に開催された警察庁の松本光弘長官の定例記者会見は、日本の サイバーセキュリティーに関する対外的な姿勢変化を示す重要な転換点であった。中国、ロシア、北朝鮮といった国々のハッカー集団による日本企業に対するサイバー攻撃被害は近年多発していた。基本的にはやられ放題といった有様で、公式に警告メッセージをこうした国々に対して発するようなことはこれまでなかった。しかし、ついに「中国が国家レベルでサイバー攻撃に関与した疑惑が強い」との見解を今回初めて示した。

 松本長官がこうした見解を示したきっかけとなった事件は、2016年から17年にかけて発生した、JAXA(宇宙航空研究開発機構)など約200の企業及び研究機関が狙われたサイバー攻撃だ。「Tick」と呼ばれる集団によってこれらの攻撃が実行され、中国人民解放軍の「61419部隊」がその背後にいる可能性が高いことに言及している。

●防衛予算も「宇宙」や「サイバー」領域に対応

 国の安全保障という観点から、サイバーセキュリティーは今や戦闘機などの実戦力と同等に重要な課題として位置づけられているが、同盟各国との一段の連携強化なども含めて、対応が更に進んでいくことになる。岸信夫防衛相も大手経済メディアとのインタビューの中で、防衛費の予算要求について国内総生産(GDP)比で1%の枠にこだわらず増やす方針を明らかにした。ここには「宇宙」や「サイバー」といった新しい領域へ対応していく意思が内包されている。

 また、ビジネスの世界においてもデータ集積によるサービスの開発・改善の仕組みは既に一般化しており、データは競争力の源泉となっている。実際に「データ」が人質とされ、身代金要求の対象になるようなケースも世界中で頻繁に起こっている。加えて、足もとではマッチングアプリの運営企業が、不正アクセスによって最大約171万人分の運転免許証などの情報流出が発生した可能性があると発表して、株式市場だけでなく社会全体を大きく騒がせた。

 更に、現在政府が進めている「デジタル庁」や「マイナンバーの活用」といった面からも、個人情報の厳格な保護という意味でサイバーセキュリティーの重要性は必然的に増していくことになるだろう。そうしたなか、今回の特集では、今後の活躍が期待されるサイバーセキュリティー関連の有望7銘柄を厳選した。

●ここから注目のサイバー関連7銘柄選出

◎野村総合研究所 <4307>

 野村総研グループの情報セキュリティー専門会社であるNRIセキュアテクノロジーズでは、ゼロトラストに関して、現状評価から全体設計、ソリューションの導入、更には運用監視まで、実装を全方位でサポートする。また、野村総研グループの総合力を生かしたゼロトラストに関する多面的な提案やソリューションも提供可能だ。株価は3月安値と5月13日安値とのダブルボトム形成後のリバウンドを見せており、75日移動平均線を突破してきている。

◎SBテクノロジー <4726>

 ソフトバンクファミリーの中でICTサービス事業を担う。Microsoft 365 E5 Securityを中心としたゼロトラストセキュリティーソリューションを活用した導入支援サービスを提供している。要件定義や設計期間を短縮、最短1ヵ月で環境構築できるサービスであり、セキュリティー専門担当者不在でもすぐにゼロトラスト環境の運用開始が可能だ。株価は5月17日につけた2870円を安値に大勢トレンド転換へ。

◎アセンテック <3565>

 仮想デスクトップ(VDI)用シンクライアント「Resalio Lynx(レサリオリンクス)」について、セキュリティーベンダーが提供するゼロトラスト・ネットワークアクセス(ZTNA)に対応したシンクライアントソフトウエアの開発に注力している。VDI接続に加え、SaaSアクセス端末としても高いセキュリティー機能を実装したゼロトラスト・シンクライアントを発表した。株価は昨年10月高値をピークに調整が続いているものの、5月17日につけた1252円を安値に反騰局面へ。

◎アイビーシー <3920>

 ネットワークシステム性能監視ツールSystem Answerシリーズを提供。脆弱性管理ツールからSSL証明書の販売、セキュリティーアセスメントサービスの提供を行う。米ゼットスケーラー<ZS>が提供するクラウドセキュリティーソリューション「Zscaler(ゼットスケーラー)」を販売。株価は5月13日につけた925円を安値にリバウンドを強めてきており、25日移動平均線を突破し、75日線を捉えている。

◎ラック <3857> [JQ]

 セキュリティー対策技術を核としたITトータルソリューションを提供。米マイクロソフト<MSFT>の日本法人・日本マイクロソフトと、ゼロトラストのIT基盤をベースに、情報を収集して分析する際の指針として「ゼロトラスト時代のSOC構築と運用ガイドライン」を共同作成している。また、最近では都市や街の生活空間におけるICTの利活用や情報セキュリティー上の可用性を確認するための実証試験の推進で、長崎県長与町、長崎県立大学との三者協定を締結している。株価は5月17日につけた967円を安値に反転基調に。

◎トレンドマイクロ <4704>

 企業向けエンドポイントセキュリティー製品のほか、コンシューマー向け及び官公庁・自治体・教育機関でのエンドポイントセキュリティー製品で高いシェアを誇る。スレットインテリジェンスを活用した動的なアクセス制御でゼロトラストを実現するセキュリティープラットフォーム「Trend Micro Vision One」を提供。サイバー攻撃の全体像と対処が必要な対象を可視化し、より迅速にサイバー攻撃に対応する。株価は昨年8月戻り高値を起点とした緩やかな調整を続けていたが、足もとの上昇で13週移動平均線を突破しトレンド転換へ。

◎シグマクシス <6088>

 デジタルトランスフォーメーション(DX)人財育成サービスや企業向けクラウド・データプラットフォーム支援、アジャイル開発マネジメントサービスなどを手掛けている。「SDP(Software Defined Perimeter)」の導入を通じてゼロトラストを実現し、企業のDXを支える次世代ネットワークセキュリティー環境の構築を支援する。株価は3月安値をボトムに上昇トレンドを継続。直近での調整も25日移動平均線が支持線として機能している。

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