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【特集】上昇復帰へ余力十分、今が狙い目の「最高益&バリュー株」6銘柄精選 <株探トップ特集>

22年3月期は製造業を中心にコロナ禍からの回復基調が続く見通しだ。ここでは好決算発表で大きく買われた後、調整を強いられている最高益見通しの低PER株を6社選出した。

―22年3月期に最高益予想も割安評価、見直し余地大きい6社リストアップ―

 3月期決算企業の決算発表シーズンが終わった。21年3月期の本決算発表は5月13日と14日に集中し、両日だけで全体の半数にあたる約1200社が発表するという怒濤の決算発表ラッシュとなった。21年3月期は新型コロナウイルスの感染拡大による大打撃を受けてスタートしたが、7-9月期以降は中国や米国の需要が徐々に戻り、自動車や電気機器といった製造業を中心に急回復をみせた。多額の投資利益を出したソフトバンクグループ <9984> の押し上げ効果もあって、21年3月期は全社ベースで経常増益となった。続く22年3月期は前期後半からの流れを引き継ぎ、収益改善基調が続く見通しだ。

 ここでは、22年3月期に経常利益段階で最高益更新見通しを示している企業の中から、株価指標面で割安感が強く、株価の水準訂正余地が大きいとみられる銘柄を探った。

●22年3月期は製造業中心に回復続く

 17日までに21年3月期決算を発表した企業のうち、前期実績とともに22年3月期の経常利益予想を開示した2067社を集計したところ、経常利益の合計額は前期に比べ16%増える見通しとなった。業種別では、輸送用機器や機械、電気機器、鉄鋼、化学など製造業の強さが目立つほか、前期に軒並み赤字に陥った鉄道は黒字化を目指す企業が大半を占めた。一方、ゲーム関連や家電量販店、ドラッグストア、食品などはコロナ特需の一巡で減益を見込む企業が多くみられる。22年3月期の業績計画は、新型コロナウイルス感染拡大の収束が見えないことから慎重な見通しを立てる向きが強く、好決算でも市場コンセンサスに届かない場合は利益確定売りに押されるケースが相次いだ。

 こうしたなか、今回は決算が評価され株価が大きく買われた後に調整を強いられている銘柄の押し目買い候補として、株価指標が割安圏にあるものに照準を合わせた。以下では、22年3月期に経常利益ベースで過去最高益を見込んでいる企業のうち、株価が1株あたり利益の何倍まで買われているかを示す「PER」(株価収益率)が低位で、株価の水準訂正が進むことが期待できる割安成長株を6社紹介していく。

●山洋電は高成長路線をまい進、押し目買い候補として注視

 冷却ファンやサーボモーターを主力とする山洋電気 <6516> の21年3月期業績は、新型コロナウイルスを起因とする世界的な不況の影響を受けて第1四半期は赤字に転落した。ただ、その後は中国で5G関連機器のインフラ投資が拡大するなか、ロボット半導体製造装置向けを中心にサーボシステムの販売が大きく伸びたほか、冷却ファンの需要も増加に転じ、税引き前利益は49億9600万円と前の期比5.1倍に膨らんだ。続く22年3月期は米国と中国をはじめとする設備投資需要の回復を背景に、同利益は前期比2.1倍の107億円と高成長が続く計画だ。決算発表を受けて株価は連日急騰し、6日に約2年11ヵ月ぶりの高値8160円をつけたが、その後は利益確定売りに押される展開となっている。予想PERは11倍台と割安圏にあり、押し目買い候補として注視したい。

●中央発條はトヨタの生産回復で4期ぶり最高益へ

 中央発條 <5992> はトヨタ自動車 <7203> が筆頭株主の自動車ばねメーカー。足もとでは主力製品であるシャシばねの競争力強化に加え、電気自動車(EV)関連製品の開発や自動車以外のビジネス拡大に注力姿勢をみせる。21年3月期業績は新型コロナウイルス感染拡大の影響で自動車生産が大幅に落ち込み、上期は赤字に沈んだものの、下期は一転して大幅増益となった。7月以降に自動車生産台数が想定より早く回復したことに加え、費用低減活動の進展や期末にかけて為替の円安が進んだことも追い風になった。22年3月期はトヨタの生産回復などを背景に2ケタ増収を計画するほか、前期に実施したコスト改革の効果も継続し、経常利益37億円(前期比63.9%増)と4期ぶりの最高益更新を狙う。指標面では予想PER10倍台、PBR0.4倍台と割安感が強く、見直し余地は大きい。3月末を基準日に1株から4株への株式分割を実施しており、需給妙味も高まっている。

●メイコーの22年3月期は業績高変化と大幅増配を計画

 プリント基板大手のメイコー <6787> [JQ]は、設計・製造から部品実装までワンストップで提供することを強みに、アジアを中心に需要を取り込んでいる。21年3月期業績は、昨年5月の段階では経常利益25億円と前の期と比べ半減する予想だったが、2回にわたる上方修正を経て、着地は56億9700万円と一転して2ケタ増益を果たした。スマートフォン向け基板が5G需要の立ち上がりを背景に大幅に増加したほか、車載分野の採算改善も利益を押し上げた。22年3月期はスマートフォン向けで利益率の高い5G用途の増勢が続くうえ、自動車の生産回復や電装化の進展で車載向け基板も伸び、経常利益は前期比5割増の87億円に拡大する見通しだ。併せて、今期配当は前期比20円増の40円に大幅増配する方針も示している。予想PERは9倍台と低位にあり、上昇余力は大きいとみられる。

●アイホンは15期ぶり最高益と大復活見通し

 アイホン <6718> はインターホン業界でシェアトップを走る通信機器メーカー。21年3月期は集合住宅のリニューアル市場で新型コロナウイルス感染懸念による工期延期や活動制限が大きく影響し、売上高は減少したものの、全社を挙げて経費削減を進めたことで、経常利益は前の期比3割近い大幅増益を遂げた。続く22年3月期はトップラインの回復を背景に、経常利益46億円(前期比24.6%増)と15期ぶりの最高益復帰を計画する。今期はコロナ禍における在宅率の上昇で非対面やセキュリティーへのニーズが高まることが追い風になるほか、消防法に絡む分譲マンションの設備更新需要が増加する見込みだ。業績好調に伴い、今期配当は前期比13円の増配となる78円を予定する。配当利回りは3%後半と株主還元の切り口でも魅力が高い。

●リケンテクノスは低PER・低PBR・高配当の3拍子そろう

 リケンテクノス <4220> は塩化ビニル樹脂コンパウンド(複合材料)の最大手。顧客ニーズに合わせた製品開発力に定評があり、自動車、建築、医療、情報機器、電力インフラ、食品包装など幅広い分野で商機をつかんでいる。21年3月期はコロナ禍の影響で上期業績は減収減益だったものの、下期は抗ウイルスフィルムや業務用ラップの販売が好調だったほか、自動車分野が持ち直し、半期ベースで過去最高の利益水準をたたき出した。22年3月期は自動車用のワイヤーハーネスや内外装向けコンパウンドなどが回復し、経常利益65億円(前期比15.0%増)と3期ぶりのピーク益更新を見込む。株価指標は予想PER9倍台、PBR0.6倍台と割安水準にある一方、配当利回りは3%を超えており、投資妙味は大きい。

●デクセリは前期経常利益2.5倍化で今期も成長継続

 ニッチな領域でシェアの高い機能性材料を提供するデクセリアルズ <4980> は、デジタル化の進展で世界的に拡大するノートパソコンなどのモバイルIT製品の旺盛な需要を捉えている。21年3月期は反射防止フィルムや異方性導電膜、表面実装型ヒューズの販売が急増し、経常利益108億4400万円(前の期比2.5倍)と6期ぶりに最高益を塗り替えた。22年3月期は新製品である蛍光体フィルムが業績貢献するほか、車載向け反射防止フィルムなども伸び、売上高、経常利益ともに過去最高を更新する見通しだ。絶好調な業績を踏まえ、中期経営計画を見直し、最終年度である24年3月期の経営目標を売上高852億円(前回計画は800億円)、営業利益168億円(同100億円)にそれぞれ引き上げた。予想PERは17倍台と過去平均と比較して割安水準にある。

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