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【市況】「4月株高」のアノマリーの行方は? そのカギを握るもの <東条麻衣子の株式注意情報>

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

 日経平均株価は4月に入り3万円の大台が壁となり、薄商いの中、膠着が続く。4月は1年間で最も高いパフォーマンスが期待できる株高のアノマリーを持つ月なのだが、今年はいまのところ異なる様相を呈している。

 4月株高のアノマリーの背景だが、『海外勢は配当にかかる税金を嫌い、3月末にかけて日本株を売る傾向にあるが、4月に売った株を買い戻す傾向がある』『海外投資家の税還付があり、買い意欲が高まりやすい』などと言われており、海外勢の動向が関係しているとされる。

 海外勢が日本株を今月買ってくるのかを見る上で、筆者が個人的に注目しているデータがあるので紹介したいと思う。

■TOPIX先物、欧州系の手口は語る

 日経平均株価が東証1部上場銘柄のうち225銘柄で構成されているのに対し、TOPIX(東証株価指数)は東証1部の全銘柄を対象とする株価指数であることから、その動きはより日本株の実態を表すと言われている。

 そのTOPIXを対象とした株価指数先物であるTOPIX先物(6月限)の日中取引で、欧州系海外勢(バークレイズ・UBS・BNPパリバ・HSBC・ドイツ・クレディスイス・ABNクリア・ソジェン・フィリップ)の手口情報をみると、3月SQの前日である3月11日から4月14日までの間、買い越しだったのは4月6日の689枚のみであり、日々1000~3000枚程度の売り越しが続いている。

 3月11日 1596枚の売り越し
 3月12日 1623枚の売り越し
 3月15日 3252枚の売り越し
 3月16日 2121枚の売り越し
 3月17日 2218枚の売り越し
 3月18日 2790枚の売り越し
 3月19日 4861枚の売り越し
 3月22日 6315枚の売り越し
 3月23日 2571枚の売り越し
 3月24日 2715枚の売り越し
 3月25日 2171枚の売り越し
 3月26日 3747枚の売り越し
 3月29日 4175枚の売り越し
 3月30日 4725枚の売り越し
 3月31日 1522枚の売り越し
 4月1日 1283枚の売り越し
 4月2日 2737枚の売り越し
 4月5日 1741枚の売り越し
 4月6日 689枚の買い越し
 4月7日 484枚の売り越し
 4月8日 943枚の売り越し
 4月9日 2507枚の売り越し
 4月12日 1630枚の売り越し
 4月13日 449枚の売り越し
 4月14日 1400枚の売り越し

 もちろん、この売りには利益確定売りも含まれていようが、日本市場が開いている時間帯に欧州系海外勢がTOPIX先物を売り続けている状況では、日本株式市場の上値が重いのもうなずける。

 一方で、米国系海外勢(モルガンスタンレー・ゴールドマンサックス・BofA・JPモルガン・シティグループ)の手口を見ると、同期間では欧州勢ほど偏った手口ではないものの買い優勢となっている。この米国系海外勢の買いに支えられて底堅い展開となっているとも言えるだろうが、TOPIXの上昇、下落に関わらず、日中、連日で先物を売り越している欧州勢の動きは気にかかる。

■理由として考えられること

 4月初めに発表されたIMF世界経済見通しで、日本の今年の成長率見通しは3.3%と先進国の成長率5.1%を下回っている。加えて、ワクチン接種率は欧米に比べて極端に低く、さらに東京、大阪などへの「まん延防止等重点措置」の適用により成長率見通しが今後下方修正される懸念が浮上してもおかしくはなく、海外勢にとって日本株を積極的に買いにくい状況にあるのかもしれない。

 また、既に決算発表を行ったファーストリテイリング <9983>や安川電機 <6506>の決算はコンセンサスに届かなかったとはいえ良好なものであった(安川電機は増配も発表している)。にもかかわらず、ともに株価は軟調に推移している。それだけに、投資家心理として決算発表前に利益確定を急ぐ動きが出やすいことも、日本株の上値の重さにつながっている可能性があろう。

 いずれにせよ、欧州勢のTOPIX先物の売り越しが続く限りは、連年通りの「4月の株高」とはならず、上値の重い展開が続く可能性があるのではないか。筆者はこのように考えている。


◆東条麻衣子
株式注意情報.jpを主宰。投資家に対し、株式投資に関する注意すべき情報や懸念材料を発信します。

株式注意情報.jp http://kabu-caution.jp/
Twitter https://twitter.com/kabushikichui

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