市場ニュース

戻る
 

【市況】需給要因の改善で上値も軽くなってきたか!?/後場の投資戦略

日経平均 <1分足> 「株探」多機能チャートより

日経平均 : 29484.57 (+307.87)
TOPIX  : 1997.46 (+13.30)


[後場の投資戦略]

 週明けの日経平均はまずまずのスタート。前週は75日移動平均線がしっかりサポートとして意識される形で週末にかけて戻り基調となった。前週末の米株高の流れを引き継いだ本日も流れに乗って25日線を捉えてきている。買い一巡後には一旦失速し同線を割り込む場面も見られたが、前引けにかけて再び同水準を大きく上回る動きとなった。2月16日および3月18日と高値を切り下げてきているだけに、テクニカル的にはここが正念場となりそうだ。

 複数の好材料を背景に東京エレクトロンなどの半導体製造装置関連が賑わっている。半導体については、次世代通信規格「5G」や電気自動車(EV)など旺盛な需要を背景に足元の実体が伴っていることや、シクリカル(景気循環)な性格を併せ持っているということもあるが、つい先日まで米長期金利の動向が警戒されていたことを考慮すればしっかりとした動きと評価できよう。

 その警戒されていた米長期金利も、前週から1.6%台での落ち着いた動きが見られていることに加えて、上場投資信託(ETF)の買い入れ対象を東証株価指数(TOPIX)型のみに絞るとした日銀の政策修正に対する動揺なども既に大分和らいでいるようだ。そのほか、年度末に伴う機関投資家によるリバランス売りが一巡してきたことも好影響を与えていると考えられる。

 さらに、本日は配当・株主優待の権利付き最終売買日であり、権利取りを狙った売買が相場を下支えしている面もあろう。反対に、明日は配当落ちでマイナス要因にはなるが、一方で、指数連動のパフォーマンスを目指すインデックスファンドによる配当金投資に伴う先物買いが本日の大引けと明日の寄り付きにおいて発生する見込みだ。日経平均型やTOPIX型のほかMSCI指数型なども含めると1兆円程にもなるという予想もあり、目先の相場を下支えしそうだ。

 こうした要因から、この先も堅調な地合いが続きそうだが、新年度相場となる4月に入るまではニューマネーの流入も期待しにくく、目先は堅調ながらもやや上値は重いか。また、対照的な見方にはなるが、近年では、新年度入り直後に機関投資家の益出し売りが集まりやすくなっているとの指摘も聞かれ、昨年からの日経平均が大幅上昇していることから、警戒感が強まりそうだとの声も聞かれている。こうした点も考慮すると、4月入り早々に新規買いは想定しづらく、小売業など内需系企業の決算が本格化し始める4月第2週あたりからが転換局面となりそうか。

 なお、前週末26日にはマージンコールに伴う要請に応えられなかったヘッジファンドが、百度(バイドゥ)などの中国ハイテク企業や米国メディア大手の株式ロングポジションを強制的にクローズさせられたとのニュースが市場でちょっとした話題になっていた。ちなみに、マージンコールとは、口座の資金額がポジションを保有し続けるために必要な最低金額を下回っていることを金融機関が投資家に知らせる緊急時の対応のことである。

 また、米国顧客との取引に起因した多額の損害に関する野村HDの報道なども同タイミングで出てきた。憶測に過ぎないが、万が一、米テスラなどテクノロジー株に集中投資し、個人投資家からの人気も高いキャシー・ウッド氏率いるアーク・インベストメントファンドなどにも同様の動きが連鎖的に波及するといったことがあると、マーケットへのインパクトも甚大となる可能性がある。今のところは問題ないが、テールリスクとして留意しておきたい。
《AK》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均