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【特集】急増する「敵対的TOB」、大再編時代に狙われる株を探せ <株探トップ特集>

M&Aが活発化するなか、国内大手企業間での「敵対的TOB」も目立ち始めている。株主の支持を確保するためにも、上場企業は一段の株高政策が求められる状況にある。

―国内の大手企業間の買収増加、アクティビストの活動も活発化―

 今年2月に日経平均株価は30年半ぶりとなる3万円台を回復した。足もとでは米長期金利の上昇もあり、株価は軟化しているが、この株高の背景として日本企業の業績拡大に加え、コーポレートガバナンス(企業統治)の改善による収益性の向上などが指摘されている。日本企業はM&Aを活用し事業の選択と集中を進めているほか、足もとでは敵対的TOBも急増しており、より一段と株主重視の経営を迫られていることも、株高を促す要因に働いている。そんななか、市場では次のM&A候補を探す動きが活発化している。

●20年のTOB買付金額は過去最高水準に

 日本企業によるM&Aが注目を集めている。M&A助言のレコフによると、2020年の日本で届け出があったTOBの買付金額は5兆1739億円と19年に比べ8割増加し過去最高水準となった。TOBの件数は57件と19年比で9件の増加だった。NTT <9432> によるNTTドコモの完全子会社化に伴う超大型案件などが寄与した。更に21年に入っても1~2月で9330億円とすでに17年の年間金額(7281億円)を上回っている。M&A市場全体では、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたが、年後半は復調した様子だ。

●日本製鉄による敵対的TOBは日本企業の変身を象徴

 日本企業によるM&A増加の背景には、日本市場のコーポレートガバナンスへの意識の高まりがある。企業は株主価値の向上が求められるほか、機関投資家は株主総会などで説明のつかない非合理的な議決権行使は難しくなった。政策保有株の削減が求められるなか、保ち合い解消が進行している。これらの状況を背景にM&Aに絡む「アクティビスト(物言う株主)」などの活動も活発化しており、敵対的TOBも目立っている。

 とりわけ、これまでタブー視されてきた大手企業間の敵対的TOBが増えてきた。19年には伊藤忠商事 <8001> によるデサント <8114> に対する国内主要企業同士では初の敵対的TOBが成立した。続く20年は前田建設工業 <1824> が敵対的TOBにより前田道路 <1883> を子会社化したほか、コロワイド <7616> は大戸屋ホールディングス <2705> [JQ]に対して、外食業界で初めてとなる敵対的TOBを成立させた。

 また、21年には日本製鉄 <5401> による東京製綱 <5981> に対する敵対的TOBも成立した。日本を代表する企業の1社である日本製鉄が国内の同業他社へ敵対的TOBに踏み切ったことは、”日本株式会社による経営姿勢の変化の象徴”とも受け止められた。TOB成立後の日本製鉄の出資比率は19.9%と低いため、更なる比率引き上げへの思惑も出ている。加えて、昨年にはニトリホールディングス <9843> が島忠に対するDCMホールディングス <3050> のTOBに割って入り、対抗TOBを実施。結局、ニトリが島忠を傘下に収めている。

●アクティビスト保有銘柄や親子上場銘柄に投資機会

 アクティビストによるTOBも活発化している。足もとでは、旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスが日本アジアグループ <3751> に対して敵対的買収を仕掛けた。これに対し日本アジアGが買収防衛策を講じており現在、熾烈な攻防が展開されている。独立系運用会社のストラテジックキャピタルも京阪神ビルディング <8818> に敵対的TOBを実施したが、成立はしなかった。エフィッシモ・キャピタル・マネージメントはサンケン電気 <6707> の出資比率の引き上げを狙い24日までTOBを実施している。

 今後のTOB候補を探ることは難しいが、日本企業は積極的な事業再編を実施しており、親子上場の解消絡みや合理化余地の大きな企業などがM&Aの対象として浮上することは予想される。また、アクティビストの保有株などが注目される。

 シティインデックスイレブンスは、西松建設 <1820> や大豊建設 <1822> などに投資しているほか、同じく旧村上ファンド系のレノはヨロズ <7294> や東洋建設 <1890> などの大株主となっている。ストラテジックキャピタルは有沢製作所 <5208> や極東貿易 <8093> 、淺沼組 <1852> 、世紀東急工業 <1898> に投資している。外資系のシルチェスター・インターナショナルは双葉電子工業 <6986> やニッパツ <5991> 、きんでん <1944> などを保有している。

 また、親子上場絡みでは日立製作所 <6501> グループの日立金属 <5486> 、富士通 <6702> グループのFDK <6955> [東証2]や新光電気工業 <6967> 、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> の三菱UFJリース <8593> 、イオン <8267> グループのイオンフィナンシャルサービス <8570> 、商船三井 <9104> グループのダイビル <8806> などをTOB候補に挙げる見方も出ている。


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