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【特集】巨大資本が動き出す、「EV関連」春の陣 躍動前夜の“新星6銘柄” <株探トップ特集>

「脱炭素社会」の実現に向けた取り組みが進むなか、自動車業界もまた同じステージに立っている。400兆円産業を舞台にEV新時代の幕が上がった。

―アップル、バイドゥなど虎視眈々、パラダイムシフトで見えてくる次の巨大市場―

●歴史的転換点が訪れた自動車産業

 地球温暖化防止の観点から「脱炭素社会」の実現に向けた取り組みがグローバル規模で活発化している。新型コロナウイルスによってフリーズ状態に陥った世界経済も、各国政府の財政出動や中央銀行による金融緩和政策が奏功し、急速に復元される方向にある。環境保全に早くから取り組む欧州では、環境に重点を置いた投資で景気回復を図る「グリーンリカバリー」を打ち出しているが、その概念は既に世界のコンセンサスとなっている。そうしたなか、米国では今年1月に発足したバイデン政権が、再生可能エネルギーなどクリーンエナジーに4年間で2兆ドルという規模の資金を注ぎ込む計画を明示しており、2050年までに温室効果ガス排出のネットゼロを実現することを宣言している。

 こうした世界的なカーボンフリーの流れを受けて、400兆円ともいわれる超巨大市場を有する自動車産業も歴史的転換点を迎えつつある。脱炭素 に向けてガソリン車から電気自動車(EV)へのシフトはもはや不可逆的で加速の一途をたどることが予想されるが、これは早晩、素材やエレクトロニクスなども巻き込み産業構造のパラダイムシフトの原動力となり得るインパクトがある。

●GM、VW、そしてトヨタの戦略は

 米国ではゼネラル・モーターズ(GM)が35年までにすべての乗用車をEVなどのゼロエミッション車に切り替えることを発表しているほか、ドイツではフォルクスワーゲン(VW)が30年に販売の60%をEVに変える方針を明示している。VWは直近、30年までにEV用の電池工場を6ヵ所欧州に建設し、約500万台分相当を自社で生産できる体制を整備する計画にあることも報じられた。

 日本国内に目を向けても大手自動車メーカーの動きが急だ。自動車業界の盟主トヨタ自動車 <7203> は電動車の基幹部品である次世代電池への取り組みで先駆しており、EVではキーテクノロジーとなる全固体電池分野でも特許出願数で群を抜く。また、同社は20年代前半に10車種を超えるEV投入を計画していることが伝えられており、来月下旬に開催される上海国際自動車ショーでは初めてSUVタイプのEVも公開する予定だ。ちなみにハイブリッド車(HV)を含めた電動車の販売台数では日本は世界首位の座を占めるが、これはHV技術で先駆するトヨタの実績が反映された部分も大きい。

 ホンダ <7267> もEV開発に余念がなく、昨秋に21年のシーズン限りでF1から撤退し、経営資源をエンジンからEV分野に集中させる方針を発表している。新型EV「Honda e(ホンダ イー)」を昨年10月末に発売、初年度販売台数は1000台を計画している。また米GMとの協業体制でEV開発を進めている点もポイントだ。日産自動車 <7201> のEV戦略は「リーフ」で先行している感があるが、SUVタイプの新型EV「アリア」を今年の年央にも発売の予定で注目を集めそうだ。

●EV時代の黎明期に現れたモンスター

 株式マーケットの視点では、米国株市場において良くも悪くもEV大手テスラ株への注目度が抜群に高い。その株価の変貌ぶりはEV時代の申し子というよりなく、昨年に約8倍化し、時価総額もトヨタを軽く抜き去ったどころか、日本国内の自動車メーカーすべての時価総額を足しても届かないレベルに達した。それもあっという間の出来事であり、ただ唖然と見つめていた機関投資家も多かったと思われる。

 そのテスラの株価も今年に入ってからは頭打ちとなり、2月中旬以降は大幅な調整に見舞われ、900ドルの高値から500ドル台前半まで約40%の急落を余儀なくされた。しかし、それでも26週移動平均線近辺でしぶとく下げ止まり、バランスを立て直す兆しをみせている。目標株価を1200ドルに掲げているアナリストもいるほどで、同社株に対する強弱観は今なお対立している。

●異業種の巨人たちもついに動き出す

 テスラの株価が果たしてバブルであるのかどうかは見方が分かれるところだが、それがたとえアダ花であったとしても、400兆円という巨大な自動車産業の歴史的なパラダイムシフトをEVが担うという近未来を暗示している可能性は高い。

 米アップルや中国バイドゥといった異業種の巨人たちもEV参入を相次いで宣言するなど、世界的に巨大資本が地響きをあげて動き出している。東京株式市場でもEV関連株への物色の矛先は今一段と先鋭化する公算が大きい。ここは再びアンテナを高くして有望株発掘に努めたい。今回はEV関連相場のネクストステージで株価の評価を高めていくことが予想される新リスト6銘柄を厳選エントリーした。

●EV関連の最強ニューフェース6銘柄

◎三益半導体工業 <8155>

 シリコンウエハー の研磨加工の先駆で筆頭株主の信越化学工業 <4063> からの受託業務を主力としており、電子部品や半導体装置関連の販売も行っている。EVのモーター製造に使用される大口径シリコンウエハーや、EV向けで旺盛な需要のあるパワー半導体向け製造装置など高採算商品が収益に貢献、今後一段と拡大する見込みだ。21年5月期業績は減収ながら営業利益は60億円と前期実績を小幅に上回る見通し。株価は今月9日に下ヒゲでつけた2380円をターニングポイントに緩やかな戻り波動を形成中。5日・25日移動平均線のゴールデンクロスでトレンド転換を示唆、2800円ラインが当面の上値のフシとして意識される。

◎竹内製作所 <6432>

 ミニショベルなどを主力に小型建設機械を手掛けている。クローラーローダー開発などでも持ち前の技術力の高さを発揮している。欧州や北米向け中心に売り上げの99%が海外向けという異色企業で、「脱炭素」のテーマにも積極的な取り組みをみせている。ESGなどの観点から排気ガスを出さないEV建機の開発に注力している点は、海外機関投資家の視線を集め、株式組み入れニーズを喚起しそうだ。21年2月期は営業利益段階で従来予想の111億円から131億円に大幅増額し一転して増益を確保したもよう。今夏にも電動ショベル投入が見込まれている。株価は18年9月につけた上場来高値3120円を奪回し青空圏への突入を果たしている。

◎日本電気硝子 <5214>

 FPD用ガラスや電子デバイス用ガラス、車載用ガラス繊維などを手掛ける。車載用ガラス繊維は世界的な新車販売の回復でフォローの風が強い。また、液晶ディスプレーや有機ELディスプレーの基板として使用されるFPD用ガラスは台湾、中国、韓国の液晶メーカー向けに需要が拡大している。車載用ではホンダの新車EV「ホンダ e」にディスプレー用カバーガラスが採用されている。ハンマーで叩いても割れない高強度のガラスで、今後も自動車業界向けに需要開拓が期待されている。21年12月期は営業2ケタ増益が濃厚。株主還元にも前向きで4%近い配当利回りは魅力。株価は昨年来高値圏を走り3000円台活躍を目指す。

◎東光高岳 <6617>

 電力機器や計量器などを製造販売する。変電・配電設備や監視制御設備など電力インフラで重要な役割を担うほか、EV用の充電インフラでも今後中期的に活躍の機会を広げていくことが予想される。直流出力で充電を行う急速充電器で業界を先駆し、トップシェアを獲得している点を評価。また、EV用のパワーコンディショナーでも高い商品競争力を有している。21年3月期第3四半期累計の営業利益は前年同期比7.2倍の19億2100万円と急拡大、通期23億円予想に対する進捗率は83%に達している。年間配当50円を続けているが、配当利回りは3%前後と高い。一方でPBRは0.5倍台に放置されており、昨年12月の高値1949円更新が期待される。

◎明電舎 <6508>

 重電メーカー中堅で水処理制御システムや自動車用試験装置で優位性を持っている。EV用モーターやインバータの開発を1980年代から手掛けており、EV駆動システムの先駆として存在感を示す。EV用自動車試験装置でも強みを有し、EV駆動用バッテリーをリユースした定置型蓄電システムの構築やこれを活用したバーチャルパワープラント実証試験などでも実績を示している。21年3月期は大幅減益見通しながら、営業利益は期初予想の70億円から77億円に上方修正している。既に業績は底入れ反転局面にあり、22年3月期は100億円の大台に再び乗せてくる公算が大きい。今年1月14日につけた高値2927円奪回から3000円台指向。

◎大豊工業 <6470>

 軸受けやアルミダイカスト製品、金型製造などを手掛け、摩擦工学分野の深い知見が強み。EV向けバッテリー、モーター、パワーコントロールユニットなど電動化製品への取り組みに余念がなく、トヨタグループに属していることもポイントとなる。EVと並行して燃料電池車(FCV)とも密接で、トヨタが販売する“新型ミライ”向けにアルミダイカスト製品を供給している。21年3月期は営業7割減益見通しながら株価には織り込まれており、世界的な新車販売回復を背景に22年3月期は利益を急激に復元させる可能性が高い。ここ戻り足に拍車がかかっているが、有配企業にしてPBRは依然0.5倍前後と割安。株価は4ケタ台を地相場とする展開が想定される。


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