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【特集】鈴木英之氏【波乱含みの日経平均、新年度に向けた投資戦略は】(1) <相場観特集>

鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

―日銀のETF買い、日経平均連動型の除外で広がる波紋―

 週明け22日の東京株式市場は日経平均株価が前週末に続き急落。一時700円近い下落をみせるなどリスク回避の売りに晒された。前週末まで開かれていた日銀の金融政策決定会合では、ETF買い入れについてこれまでの年6兆円の下限を撤廃し、日経平均連動型を除外すると発表、これが波乱相場の引き金を引いた。3月期末を目前に控えるなか、全体相場はここからどう動くのか。経験豊富なベテラン市場関係者2人に見通しを聞いた。

●「やや波乱含みの展開も、配当権利取りに注目」

鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

 4月下旬に向けた今後1ヵ月程度の日経平均株価の想定レンジは下値が2万7500円程度、上値は3万500円前後を予想している。全体相場は、やや波乱含みの展開となる可能性もあるだろう。

 直近では、3つの点で相場に変化が起きている。第1には、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後も米長期金利の上昇が続き、株価が調整していることだ。これまでの超低金利を背景に米グロース株が上昇する流れに変化が出ている。第2には、日銀がETF買い入れの年6兆円のメドをなくし、日経平均連動型を買い入れ対象から外したことだ。これが日経平均株価には逆風となっている。第3にルネサスエレクトロニクス <6723> の工場火災で、トヨタ自動車 <7203> などを含む自動車生産への影響が懸念されることだ。この3点が同時進行で起こり、株価の下落要因となっている。

 ただ、これで株式市場が本格調整に入るというわけではないと思う。米国の金利上昇は、日本株の本格的な悪材料にはならないだろう。日銀ETF買い入れの見直しも現状を追認したものに過ぎない。ルネサスの工場火災も、電気自動車(EV)への流れを止めるものではない。

 日経平均株価は下落しても、高値からの調整率は10%以内にとどまるとみている。ただ、上昇しても終値で先の高値を更新する程度にとどまるだろう。

 当面の投資戦略としては、29日の権利付最終日を視野に入れた配当取りに注目している。過去3年間の平均増配率10%以上の銘柄には三菱商事 <8058> やアサヒホールディングス <5857> 、SOMPOホールディングス <8630> 、三菱UFJリース <8593> 、T&Dホールディングス <8795> などがある。生損保など金融株も含まれており金利上昇にも強く、投資妙味があるだろう。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)

早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資調査部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。

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