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【市況】明日の株式相場に向けて=物色の流れは「バリュースマッシュ」に

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(25日)の東京株式市場は、日経平均株価が496円高の3万168円と急反発。日経平均は前日に480円あまりの急落に見舞われ、安値引けのおまけ付きで3万円台を割り込むという、本来であれば買い方にとって冷や汗ものの展開だったが、きょうはその下げ分を帳消しにするブーメラン相場となった。結果オーライで、やはり「今の相場はそう簡単に崩れない」と胸をなでおろす展開となったわけだが、それでも相場の中身は少しずつ変化しており、ここから先、従前のごとくハイテク株が主導する形での一本調子の上げは見込みにくい雰囲気も漂い始めている。

 きょうは、ひとことで言えばワクチン普及への期待感が一段と強まったことがひとつ。そしてもう一つは、前々日に上院で発言したパウエルFRB議長が一夜明けて下院委員会に臨み、「物価の目標達成には3年以上かかるかもしれない」とコメントしたことが材料視された。「金融緩和政策におけるFRBの姿勢はこれまでと同じでこの発言自体にあまり新味はない」(生保系エコノミスト)とするが、金融緩和政策の長期化の可能性にパウエル議長が改めて言及したという受け止め方で株式市場には追い風となった。

 直近、米ジョンソン&ジョンソン製のワクチンも普及局面入りが見込まれ、アフターコロナが一段と意識される段階に入っている。ジョンソン&ジョンソンのワクチンは1回の接種で済み、一般的な冷蔵庫での保存が可能な普通の風邪のアデノウイルスを使った“昔ながらのワクチン”であり、これは英アストラゼネカ製のワクチンと同じ範疇に入る。米ファイザーや米モデルナのメッセンジャーRNAを使った遺伝子ワクチンとは性質が異なるが、接種する側にとっては未知の怖さというものがない。効き目が限定的であったとしても、昔ながらの方を好むニーズも当然出てくると思われ、接種する側にしてみれば朗報だ。いずれにしても新型コロナウイルスとの戦いは、これに対抗するワクチンが次々と日の目を見る段階に入ったことで、人心や経済、そして株式市場に流れ込むマネーフローに少なからぬ影響を及ぼし始めている。

 足もと東京市場ではコロナ耐性の弱い銘柄、いわゆる景気敏感セクターに属しリアルな人の流れを必要とするビジネスモデルを持つ銘柄群に買い戻しの動きが活発だ。代表的なのは日本航空<9201>やANAホールディングス<9202>などの空運株が象徴的だが、これらを第一陣とすれば第二陣、第三陣はどこかという“次を探す”動きに発展している。もちろん、これまでウィズコロナでも業績を伸ばしてきた半導体や電子部品株の相場が終了形にあるということでは全くないが、株式市場に流入する資金は常に新しいものや変化を好むという性質があり、さながら、今はバリュー系の銘柄から上値余地の大きいものに照準を合わせる「バリュースマッシュ」が、旬な投資戦略というステージに入っている。

 前日に取り上げた明和地所<8869>やジオスター<5282>などはその新しい流れに乗る銘柄だ。コモディティ価格の上昇が顕著となるなか、総合商社で出遅れの双日<2768>も大型株ながら比較的足の軽い動きを示した。これらの銘柄は押し目買いを念頭に置いて引き続き値動きをウォッチしておく価値がありそうだ。内需系銘柄では今月13日に福島、宮城県を中心に観測された地震の被害が伝わるなか、改めて国土強靱化というテーマにマーケットの関心が向いている。大成建設<1801>、大林組<1802>をはじめとしたゼネコンの株価を刺激しているが、相場が比較的新しいこともあり中小型株も併せてマークしておくところ。もとより、国土強靱化には5年間で15兆円規模の対策が掲げられている。前述したジオスター以外では橋梁補強のエスイー<3423>や長谷工系土木の森組<1853>なども株価に値ごろ感がある。

 このほか、株価3ケタ台の銘柄では21年12月期の業績回復に期待の大きい消費関連の千趣会<8165>やアルミ2次合金地金のトップメーカーで自動車販売回復の恩恵を受ける大紀アルミニウム工業所<5702>。また、ホットヨガやリゾートホテル事業を展開するアールビバン<7523>などもマークしてみたい。

 あすのスケジュールでは、1月の鉱工業生産指数速報値、1月の建機出荷額、1月の住宅着工など。また、東証マザーズにcoly<4175>、ジャスダック市場に室町ケミカル<4885>が新規上場する。海外では、1月の米個人所得・消費支出、2月の米シカゴ購買部協会景気指数、2月の米消費者信頼感指数確報値(ミシガン大学調査)など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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