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【特集】あなたの「GoTo」クーポン利用額は大丈夫? 目安は50万円と90万円 ~「コロナ禍の確定申告 その1」

清水香の「それって常識? 人生100年マネーの作り方-第23回
清水香(Kaori Shimizu)
FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表
清水香1968年東京生まれ。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランナー(FP)業務を開始。2001年に独立後、翌年に生活設計塾クルー取締役に就任。2019年よりOfficeShimizu代表。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。一般生活者向けの相談業務のほか執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、テレビ出演も多数。 財務省の地震保険制度に関する委員を歴任、現在「地震保険制度等研究会」委員。日本災害復興学会会員。

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先日、ある個人投資家の人から、「ドキっ」とする話を聞きました。といっても、投資に関する話ではありませんが、お金とは無縁ではない大事な話です。

ドキっとしたのは、その人が「GoToトラベル・キャンペーン」を活用して、結構な頻度で旅行に出掛けられていたからです。気がかりだったのは、感染リスクの拡大ではありません。旅行代金の大きさです。

1月に中断される前、GoToトラベル・キャンペーンを活用した際に、こんなふうに思った方はいるでしょうか。

キャンペーンで通常の旅行代金より負担額が減ったのは、政府が旅行会社に資金を提供し、それによって自分の代金が「割引」になった――。

そのように見えるのは不思議ではありませんが、制度上は違っています。旅行代金は割引されたわけではなく、実態は政府からあなた(旅行契約者)に代金の一部が給付され、その大部分が即座に旅行会社にわたったのです。

割引に見えて、実は「一時所得」

つまり割引に見えた金額の分だけ、あなたには所得が、厳密に言うと「一時所得」が発生したのです。「一時」と付くのは、仕事等ではなく、たまたま得た性格の所得を指すからです。たとえば、懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金、生命保険等の満期金などが、一時所得に該当します。

これらを合算して一定額以上になった場合、他の所得と合計して課税されます。これは会社員で源泉徴収されていても年末調整で処理できないため、会社員(給与所得者)も確定申告が必要です。

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後で詳しく述べますが、一時所得は、原則50万円を超えると申告が必要になります。年末調整のある会社員の場合は、50万円を超えても90万円以内であれば確定申告は不要です。

ですが、一時所得に該当する所得はいろいろとあるので、合計すると90万円を超えてしまうこともありえます。その点からも、まずは50万円を目安に考えておくのが無難です。

旅行代金は宿泊する施設や目的地、出かける時期によって変わるので、一概にはいえませんが、GoToトラベルで一時所得が50万円を超えるようなケースとはどのようなものでしょうか。

「1人1回あたり最大1泊2万円×7泊」を何度も使えるけれども

まず、GoToトラベルの仕組みをおさらいすると、旅行者の負担する旅行代金の35%が支給され、さらに旅行代金の15%がクーポンで付与されるので、旅行代金の実質負担額は5割になります。補助額は日帰りで1万円、1泊で2万円まで、1回の旅行では7泊までが上限です。利用する回数に制限はありません。

となると、夫婦で一人1泊4万円(補助額2万円)、7泊8日の旅行をすれば、実に28万円の給付を得ることに。そしてこの範囲なら、何度でも補助を受けられるのです。

通常なら夫婦で1泊8万円もする宿に半額換算で泊まれればと、ここぞとばかり高い宿に泊まりたくなるのが、「GoToトラベル」。しかし、こんな豪華なプランを2回利用すれば、給付額は軽々と50万円を超え、確定申告が必要になります。

自分はそんな豪華な旅行に利用しなかったから大丈夫と思っている人もいるでしょう。しかし、コロナ対策で一時所得が発生する可能性があるのは、GoToトラベルだけではありません。

感染防止に取り組みながら頑張る飲食店等を支える支援策、GoToイートによる給付も対象です。オンライン飲食予約サイトを通じて飲食をすると付与されるランチ500円、ディナー1000円のポイント、購入額の25%のプレミアムが付与されるプレミアム食事券の給付も対象です。

さらに、GoToイベントによる2割のチケット割引、付与されるポイントも同様です。

トラベルも、イートも、イベントもGoToと名のつくキャンペーンは大して利用していないから平気と思っている人もいるでしょう。

しかし、新型コロナ関連のほかにも、一時所得に該当する給付はいくつかあります。これらをすべて合算して一時所得の計算をすることになるため要注意なのです。

たとえば、収入775万円以下(めやす)の人が住宅を購入して最大50万円の「住まい給付金」を受け取っていたら、これも一時所得です。

「ふるさと納税」を行い、自治体から返礼品を受け取った場合も同様、合算しなくてはなりません。というのは、ふるさと納税は「寄付」だからです。

よって返礼品を受け取るための支出とはみなされず、寄付額の30%以内で受け取る返礼品相当額は、地方自治体からの寄付した人への「贈与」とみなされ一時所得となります。

あるいは、生命保険の満期金などが同年内に入るなら、これらも合算します。

マイナポイントも「一時所得」!?

そのほかにも、つい見逃しがちなのが「マイナポイント」です。政府が2021年3月末までを期限として、マイナンバーカード普及のために実施している一人当たり5000円上限で付与されるポイントです。

マイナンバーカードを取得、一定の手続きをすると付与される「マイナポイント」も、一時所得として所得税の課税対象になります。

とすると、通販サイトやドラッグストアや百貨店などで買い物をしたときに受け取る、「様々なポイントも一時所得になるの?」と不安になりますね。

しかし、心配は無用。購入代金に応じて付与されるポイントは、おおむね「通常の商取引の値引き」に該当すると解され、所得税の課税対象とはみなされません。

下の表は一時所得に該当する給付金などを、コロナ関連と通常のケースで分けたものです。リストを見て、もしかしたら、50万円を超えるような金額になったかもしれない場合、課税額はどれくらいになるのでしょうか。

■一時所得に該当する給付金などの例
コロナ関連 ・GoToトラベル事業のクーポン
・GoToイート事業のポイント・食事券
・GoToイベント事業のポイント・クーポン
通常 ・住まい給付金
・地方振興券
・ふるさと納税の返礼品
・懸賞や福引きの賞金品
・競馬や競輪の払戻金
・生命保険の一時金・損害保険の満期返戻金等
・法人から贈与された金品
・遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
・マイナポイント



 

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