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【通貨】為替週間見通し:米金融緩和長期化の思惑でドル買い抑制か

米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより

【今週の概況】
■米低金利政策長期化の思惑でドル安進行

今週のドル・円は弱含み。米国内で新型コロナウイルスワクチン接種が始まったほか、追加経済対策がいずれ成立するとの期待でドル買い・円売りが先行した。12月15-16日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では、政策金利の据え置きや現行の量的緩和(QE)の構成や資産購入ペースを変えないことが決定されたが、現行の低金利政策は長期間維持されるとの見方が改めて広がったことから、ドル買い・円売りは縮小した。

18日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時103円22銭まで下落した。議会で協議されている9000億ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策を巡って、与野党の意見は分かれているとの報道を受けて追加経済対策法案の年内成立は難しいとの見方が広がり、ドルの上値は再び重くなった。ドル・円は103円32銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:102円88銭-104円15銭。

【来週の見通し】
■米金融緩和長期化の思惑でドル買い抑制か

来週のドル・円は弱含みか。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和政策は長期化するとの思惑から、リスク選好的なドル買いは引き続き抑制されそうだ。FRBは15-16日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決定したが、資産買入れ規模は変更しなかった。ただ、2023年まで実質ゼロ金利政策維持の方針を改めて示したことから、金利先高観は後退しており、ドルは買いづらい見通し。

米国での新型コロナウイルスのまん延は深刻化し、感染状況を見極める展開でもある。1日の感染者数は増加傾向にあることから、大都市での制限措置が強化されている。経済活動縮小への懸念が高まり、投資家心理を圧迫する場面もあろう。ただ、ファイザー製ワクチンの接種は開始されており、モデルナが開発中のワクチンも緊急使用が認可されたことから、リスクオフのムードを弱める材料になりそうだ。

一方、米国議会超党派グループが提案する9000億ドル規模の追加経済対策について、失業者対策を中心に与野党協議の進展が期待されている。しかしながら、つなぎ予算を2日間延長する法案が上院で可決された場合でも、議会指導部が合意に達する保証はない。追加経済対策法案の年内成立については予断を許さない状況が続いており、リスク選好的なドル買い・円売りがただちに拡大する可能性は低いとみられる。

【米・7-9月期国内総生産(GDP)確定値】(22日発表予定)
22日発表予定の米7-9月期国内総生産(GDP)確定値は、速報値と改定値の前期比年率+33.1%を維持できるか注目される。下方修正された場合、ドル売り要因になりそうだ。

【米・11月耐久財受注】(23日発表予定)
23日発表予定の米11月耐久財受注は、前月比+0.6%と10月実績の+1.3%から伸び率は鈍化する見通し。市場予想を下回った場合、ドル売りにつながる可能性がある。

予想レンジ:102円00銭-104円50銭

《FA》

 提供:フィスコ

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