【市況】国内株式市場見通し:日経平均は騰勢一服、25000円台固めに
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
■ワクチン開発進展し日経平均29年ぶり25000円台
今週の日経平均は、1991年11月以来29年ぶりとなる25000円台を回復した。米大統領選挙の大勢判明と米製薬大手による新型ウイルスワクチン臨床試験の好結果を好感し、週間では2週連続の大幅上昇となった。週初9日の日経平均は日本時間8日にバイデン米大統領候補が「勝利宣言」を行ったことを好感して5日続伸した。前週末6日のNYダウは新型ウイルス感染者数の増加を警戒して5日ぶりに反落したものの、アジア株高も支援材料となり、日経平均は後場に上げ幅を一時600円超高に広げた。物色面では、バイデン候補の勝利が濃厚となったことを受けて再生エネルギー関連株が人気化した。9日のNYダウは米大統領選の結果に目処がつき、新型ウイルスワクチンの開発進展を好感して834.57ドル高と急反発し、終値で9月2日以来となる29000ドル台を回復した。これを受けて10日の日経平均は一段高で始まると、取引時間中に1991年11月以来29年ぶりとなる25000円台に乗せた。米長期金利の上昇に伴いグロース株が売られ、日経平均は一時マイナス圏に転じる場面もあったが大引けにかけて持ち直した。東証1部の出来高は5月29日以来の20億株超に膨らんだ。10日の米国市場はナスダック総合指数が続落、NYダウは続伸と高安まちまちだったものの、11日の日経平均は終日プラスゾーンで推移し7日続伸した。新型ウイルスワクチン開発期待を受けた景気見通しの改善が期待され景気循環株の買い戻しが続いた。個別では決算発表を手掛かりにDeNA<2432>、カシオ<6952>などが大幅高をみせた。新型ウイルス感染者数の増加に伴う規制再強化などが嫌気され、11日のNYダウは3日ぶりに反落。一方、12日の日経平均は2019年9月以来となる8日続伸となった。ラガルドECB(欧州中央銀行)総裁が追加金融緩和に前向きな姿勢を示したことなどが好感された。ただ、ワクチン開発進展への過度な期待が後退し、景気敏感株を中心に売りが出て、日経平均は後場に入り一時マイナス圏に転じるなど荒い値動きとなった。大引けの日経平均は前日比171.28円高の25520.88円と8連騰し、バブル崩壊後の戻り高値を連日で更新した。13日の日経平均は9日ぶりに反落。12日のNYダウ、ナスダックともに新型ウイルス感染再拡大の警戒感から下落した流れを受け、前日までの連騰からの反動もあり、利益確定売りが優勢となった。日経平均は終日マイナス圏で推移し、前日比135.01円安の25385.87円で大引けた。
■クリスマスラリーに向けた踊り場形成か
来週の日経平均は、騰勢一服で25000円台を固める動きが見込まれる。11月に入り日経平均は2日から12日にかけての8連騰で2543.75円の上昇幅を記録し、22000円台から29年ぶりの高値となる25000円台までに水準を一気に切り上げた。短期的な過熱感と週末を控えていたことからすると13日の一服は許容範囲だろう。同様に米国市場でも、バイデン米大統領候補の「勝利宣言」に加えて、米ファイザー社がワクチンの臨床試験で「9割を超える予防効果がある」との暫定結果を発表した9日にNYダウは一時29,933.83ドルと3万ドル大台に肉薄し、その後はやや伸び悩んで調整に転じた。新型ウイルスの新規感染者数の再拡大は欧米だけでなく国内でも顕著となってきており、経済に与える影響を警戒する動きも強まってきている。しかし、日経平均がスピード調整となっても相場全体が一気にリスクオフとなる状況ではなさそうだ。TOPIX(東証株価指数)は1月20日の年初来高値1,745.95ポイントを未更新状態であるほか、買われすぎ売られすぎを表す騰落レシオ(25日ベース)は12日の時点で「買われすぎ」を示す120%からは遠い88.15%にとどまっている。また、需給的にみても海外投資家の投資スタンスに大きな変化が出てきている。東証が12日に発表した11月第1週(2日-6日)の投資部門別売買動向(現物)によれば、海外投資家の買越額は3493億円と買い越しに転じ、現物と先物の合算では1兆円規模の買い越しにまで転じた。第2週も膨らんでいることは濃厚で、クリスマスラリーと年末高に向けた期待が残っている。さらに、主要企業の4-9月期決算発表も13日で一巡したが、業績予想を上方修正する企業が多いことなども株価下支え要因となっている。翌週に3連休を控えた11月第3週(16日-20日)の日経平均は、新型ウイルスの感染者数動向と米国市場、為替相場などを睨む形で踊り場を形成していくことが予想される。
■好業績銘柄の選別買いと新興市場銘柄の再動意に期待
物色的には、決算発表の一巡を受けて、改めて業績内容を手掛かりとした好業績銘柄の選別買いが意識されてきそうだ。また、新型ウイルスの感染者数増加を受けてマスクなど衛生用品などの関連銘柄などに再び注目が集まる可能性がある。このほか、引き続き25日移動平均線に頭を抑えられてはいるものの、調整していたマザーズ指数も13日にかけて3日続伸し、切り返しの動きを強めてきている。11月に入りはじめてのIPOも11月19日に予定されるほか、例年急増する12月IPO銘柄のスケジュール発表も活発化してくることが刺激材料となり、新興市場や中小型株にも改めて物色資金が回帰してくる可能性があろう。
■7-9月期GDP、中国10月小売売上高、米10月小売売上高
来週の主な国内経済関連スケジュールは、16日に7-9月期GDP速報値、18日に10月貿易統計、10月訪日外客数、19日に10月首都圏新規マンション発売、20日に10月全国消費者物価指数、10月の主要コンビニ売上高が予定されている。一方、米国など海外主要スケジュールは、16日に中国10月工業生産・小売売上高、中国10月都市部固定資産投資、米11月NY連銀製造業景気指数、17日に米10月小売売上高、米10月輸出入物価、米10月鉱工業生産・設備稼働率、米11月NAHB住宅市場指数、18日に米10月住宅着工件数、米10月建設許可件数、19日に米11月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米10月中古住宅販売件数がそれぞれ予定されている。このほか、20日にAPEC首脳会議、21日に20カ国・地域首脳会議(G20サミット、22日まで)がオンラインで開催予定となっている。
《FA》
提供:フィスコ