【通貨】為替週間見通し:もみ合いか、米大統領選前で動意薄となる可能性も
米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより
【今週の概況】
■ドル弱含み、米追加経済対策の早期成立への期待後退
今週のドル・円は弱含み。米追加経済対策の早期成立への期待が広がったことや、9月の住宅着工件数や住宅建設許可件数の改善を好感して、10月20日に105円75銭まで買われた。追加経済対策を巡って、民主党のペロシ下院議長が楽観的な見通しを示したこともドル買い材料となった。しかしながら、欧州での新型コロナウイルスの感染拡大を警戒してリスク回避の円買いが観測されたことや、追加経済対策についてトランプ政権とペロシ下院議長(民主党)との間に顕著な相違があることから、追加経済対策の早期合意へ期待は後退。21日の欧米市場でドル・円は一時104円34銭まで下落した。
23日のニューヨーク外為市場でドル・円は、104円88銭まで買われた。この日発表されたマークイット10月米製造業PMIとサービス業PMI(速報値)は、いずれも9月実績を上回ったことから、ドル買いが優勢となった。しかしながら、ムニューシン米財務長官が「ペロシ下院議長による譲歩なく、著しい相違が残っている」との見方を伝えたことから、ドル買いは縮小し、ドル・円は104円70銭でこの週の取引を終えた。今週のドル・円の取引レンジは104円34銭から105円75銭となった。ドル・円の取引レンジ:104円34銭-105円75銭。
【来週の見通し】
■もみ合いか、米大統領選前で動意薄となる可能性も
来週のドル・円はもみ合いか。米大統領選挙を11月3日に控え、共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン候補(前副大統領)の世論調査がクローズアップされそうだ。直近の世論調査によると、バイデン候補の支持率はトランプ大統領を依然として上回っている。バイデン候補は大規模投資のための財源確保として増税を計画しているが、現時点ではインフラ関連の大規模投資への期待が勝っており、株高の要因となっているようだ。ただ激戦州の一部で両者の支持率は拮抗しており、トランプ陣営の巻き返しで逆転の可能性もあるため、外為市場では様子見ムードが広がりやすい。
追加経済対策協議を巡ってトランプ米大統領とムニューシン財務長官は、「経済対策の合意には民主党のペロシ下院議長の妥協が必要」との認識を示したことから、早期合意への思惑は後退したが、大統領選の直前に米国株式が急落する可能性は低いとみられている。10月29日発表の7-9月期米国内総生産(GDP)は、コロナの打撃を受けた4-6月期の記録的な下げを帳消しにする大幅な伸びが見込まれており、市場予想を上回る高い成長率となった場合、米長期金利は上昇し、ドル買い・円売りが強まる可能性もある。
【米・7-9月期国内総生産(GDP)速報値】(29日発表予定)
29日発表の7-9月期国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率+32.0%と、4-6月期の大幅な落ち込みを帳消しにする急激な回復が見込まれる。米大統領選の結果にも影響を与える可能性があるため、指標発表後に米国株式や長期金利が上昇した場合、ドルは売りづらい。
【米・9月コアPCE】(30日発表予定)
30日発表の米9月個人消費支出(PCE)のコア価格指数は前年比+1.7%と、前回の+1.6%を上回る見通し。コロナまん延で伸びの鈍化は織り込み済みだが、消費意欲の減退が材料視されれば株売り・長期金利の低下でドル売り材料に。
予想レンジ:103円50銭-106円00銭
《FA》
提供:フィスコ