【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「膠着、放れに備える」
株式評論家 富田隆弥
◆「閑散に売りなし」か、それとも「嵐の前の静けさ」か。10月22日現在、東証1部の売買代金は9日連続で2兆円を割り込み、出来高も10億株を下回っている。日経平均株価(22日終値2万3474円)のチャートは2万3000円台で膠着し、日々の振幅は150円前後の小動きが続く。
◆「毎日、開店休業だ」と日経平均先物でデイトレを行っている知人が嘆いていたが、その知人は動かぬ相場に業を煮やし、日経225オプションを買ってみたという。コール(買う権利)とプット(売る権利)の両方を買う「ロング・ストラングル」で、膠着する日経平均が「どちらかに大きく動き出す可能性あり」と踏んだようだ。
◆仕掛けたオプションについて具体的なことは聞いていないが、例えば10円の値を付けているコールとプットを1枚(1万円)ずつ買ったとすれば、合計で2万円。2万3500円処にある日経平均先物が上放れて2万4000円台に急伸するか、下放れて2万3000円を割り込むなら、コールかプットのどちらかが数倍になり儲かるという作戦だ。
◆もちろん、オプション(先物)には期日があり、現在11月限は11月13日のSQ(清算日)までの勝負である。日経平均先物が大きく動かなければ圏外のコールとプットはどちらも紙くず(0円)になるが、2万円の損失で済むなら「宝くじ」と同じような感覚で挑むことができる(遊べる)という。
◆11月3日の米国大統領選挙が近づいてきた。確かに米追加経済対策は大きな焦点だが、新型コロナウイルスの感染が世界で再び拡大していることも気掛かりだ。NYダウ、ナスダックは高値圏でもみ合っている。ならば、知人のオプション作戦は悪くないのかもしれない。ただし、株式投資でチャートが煮詰まるときは「放れにつく」のが基本。どちらに放れるかは相場に聞くのが一番で、どちらでも材料は後からついてくる。
(10月22日 記、毎週土曜日に更新)
(訂正とお詫び) 本コラムの文中に誤りがありましたので訂正してお詫びいたします。
【誤】
「10円の値を付けているコールとプットの両方を1口(1000枚)ずつ買ったとすれば、」
【正】
「10円の値を付けているコールとプットを1枚(1万円)ずつ買ったとすれば」
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース