【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ ニューノーマル(新常態)時代の主役は株式!
株式評論家 杉村富生
「ニューノーマル(新常態)時代の主役は株式!」
●日米市場ともに、個別物色機運は旺盛!
東京市場、NY市場ともに、先週来の相場は“高値しぐれ”商状に陥っている。東京市場は4連休を控え、投資家の多くに利食い優先の姿勢がみられた。さらに、1ドル=104円台の円高が気掛かりだ。ただ、個別物色機運は極めて旺盛である。それに、菅政権が発足、スガノミクスが始動した。中期的には不安はない、と思う。
NY市場については9月18日がメジャーSQだった。その前に、売り買いが交錯するのはいつものパターンだ。もちろん、大統領選挙の年のNY市場には「9~10月相場は保ち合い」(イベントリスクを避けようとする)とのアノマリー(説明のつかない不思議な出来事)がある。
今年もそんな状況だ。まして、今回はトランプ大統領(共和党)とバイデン候補(民主党)が激しい選挙戦を展開している。現職再選の場合は現状維持だが、挑戦者が勝利すると、政策が大きく変化する可能性がある。このため、11月3日の結果待ちのムードが高まるのはやむを得ない。それに、こちらも個別銘柄はフィーバーを演じている。
その象徴が9月16日にNY市場に上場したスノーフレイク(SNOW)だろう。時価総額700億ドルの今年最大のIPOだった。クラウド型のデータシェアハウスを手掛けている。公募価格は120ドルだったが、初値は245ドル、その日に319ドルの高値まで買われた。アメリカのIPOとしては異例の値動きである。
スノーフレイクについてはバークシャー・ハザウェイ(ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社)、セールスフォース・ベンチャー(セールスフォース・ドットコム傘下)などが大量取得、と伝えられている。株価はその後、波乱だが…。まあ、ニューノーマル(新常態)時代の主役は株式だろう。
●スガノミクスが始動、関連銘柄を買う!
なお、昨今の円高傾向はFOMC(9月15~16日)前後の特殊な現象だ。FRBの追加金融緩和観測を先取りし、ドル安→円高に振れる。いつものパターンである。もちろん、菅政権に対する期待の高まりがあろう。
とはいえ、円高がこのまま進行するとは考えにくい。もはや、先進国ではまともな金利を有するのはアメリカだけだ。国際マネーの債券投資はアメリカ国債に向かわざるを得ない。それがドルを支える。
一方、 東京市場はどうか。日本株が出遅れているのは確かだ。バークシャー・ハザウェイの三菱商事 <8058> など総合商社5社の取得は潮流の変化を感じさせる。加えて、スガノミクスだ。菅政権はデジタル庁の創設をはじめ、コロナショックによってダメージを受けた観光と農業のテコ入れ(地方創生)などを推進する。
さらに、少子高齢化(子育て支援)対策、災害に強い国土強靱化、地銀再編、中堅企業の育成、オンライン診療、電子行政、スマートシティ構想などを政策の課題として挙げている。すでに、株式市場ではこの関連銘柄が人気を集めている。いわゆる、国策に沿う銘柄だ。10月相場ではこれらの銘柄が主役となろう。
具体的には、中堅企業向けIT支援ビジネスのブリッジインターナショナル <7039> [東証M]、パソコン販売のアプライド <3020> [JQ]、LED照明の星和電機 <6748> 、半導体・液晶関連のタツモ <6266> 、データセンターのブロードバンドタワー <3776> [JQ]などに注目できる。
2020年9月18日 記
株探ニュース