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【特集】ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (26)トレンドフォロー戦略に適した銘柄を選んで取引しよう

株価の方向性に逆らった取引をしてはダメ
横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆トレンドに逆らわない順張りの売買サイン、一目均衡表の三役好転&逆転

 銘柄探検のメニュー「テクニカルで探す」の「トレンド追随型の指標【主に順張り】」では、トレンド追随型いわゆるトレンドフォローのチャートとして、「一目均衡表」と「パラボリック」、「新値3本足」の3つをピックアップしています。個別銘柄においてこの3つのチャートそれぞれで株価が値上がりする可能性のある買いサインが出た場合、その銘柄をまとめて一覧で表示してくれるのが、この「トレンド追随型の指標【主に順張り】」になります。

 当然ながら買いサインの場合には、上昇期待の高い銘柄が表示されますので、収益を拡大していくためには積極的に買いの取引を行う戦略をとっていくことになります。反対に、この3つのチャートそれぞれで株価が値下がりする可能性のある売りサインが出た場合、同じようにその銘柄も一覧で表示してくれます。これらは下落する可能性のある銘柄となりますので、信用の売りもしくは利益確定の取引を行う戦略をとっていくことになります。

 まずは株価のトレンドとは何であるのかを解説します。株価は上昇するか、それとも下落するか、あるいは横ばいでもみ合いながら動きますが、この株価の方向性のことを「トレンド」と呼びます。基本的には、株価の方向性は「上昇トレンド」「下降トレンド」「横ばいトレンド」のいずれかになります。たとえば、株価が値上がりしていく上昇トレンドの場合には、「これから株価が上がるから株を買う」という考え方になります。このように、上昇トレンド(下降トレンド)が生じている際に、トレンドに逆らわずに株を買う(売る)取引手法のことを「順張り」と言います。つまり、「トレンド追随型の指標【主に順張り】」では、株価の方向性=トレンドに合わせて売買をするための銘柄を表示してくれるのです。

 まずは「テクニカルで探す」の「トレンド追随型の指標【主に順張り】」から、「一目均衡表『3役好転』」と「一目均衡表『3役逆転』」を見ていきましょう。

 では、一目均衡表がどのようなチャートであるのかを確認しておきましょう。「一目均衡表『3役好転』」の一覧にある「大和ハウス <1925>」のチャートマークをクリックすると、個別銘柄のチャートページを表示させることができます(図3、図4参照)。一目均衡表では、株価を表すローソク足のほかに「転換線」(株探では青色)、「基準線」(緑色)、「遅行線」(黒色)、「先行スパン1」「先行スパン2」(ピンクと濃緑色)で構成されています。チャート上の薄緑色で塗られた部分(先行スパン1と先行スパン2に挟まれた間の部分)が抵抗帯(雲)になります。 一見すると、他のチャートに比べると線が多いため複雑そうに見えますが、一目均衡表には時間の分析を行えるというメリットがあります。


図3 一目均衡表『3役好転』
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図4 一目均衡表のチャート
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 先行スパン1と先行スパン2の位置関係は株価の動きによって変動し、時に入れ替わることがあります。そのため、雲の厚みが膨らんだり、薄くなったりします。先行スパン1と先行スパン2が上下に入れ替わるタイミングでは二本の線が交差します。この交差したポイントは「変化日」と呼ばれ、株価のターニングポイントになりやすいと言われています。

 転換線と基準線は時間軸の異なる移動平均線のようなものだと覚えてください。転換線が基準線を下から上に突き抜けるタイミングを買いサインとします。反対に、転換線が基準線を上から下に突き抜けるタイミングを売りサインとします。

 雲は一般的に、厚みがある場合には抵抗力が強いとされ、厚みが薄い場合には抵抗力が弱いとされています。株価が雲に跳ね返されずに、下から上に突き抜ける場合は、株価上昇の勢いが強いことになります。反対に、株価が雲に跳ね返されずに、上から下に突き抜ける場合は、株価下落の勢いが強いことになります。

 代表的な売買シグナルとしては、(1)株価が雲の上にあり、(2)転換線が基準線の上にあり、(3)遅行線が26日前の株価を上に突き抜けた場合は「三役好転」と呼ばれる買いサインになります。反対に、(1)株価が雲の下にあり、(2)転換線が基準線の下になり、(3)遅行線が26日前の株価を下に突き抜けた場合は「三役逆転」という売りサインになります。

 つまり、「トレンド追随型の指標【主に順張り】」にある「一目均衡表『3役好転』」では買いサインの灯った、これから値上がりする可能性の高い銘柄が表示されています。「基準線連続上昇」の数値のほか、「遅行線カイリ率」「転換線カイリ率」がどの程度プラス乖離しているか矢印でソートして選んでもよいでしょう。反対に、「一目均衡表『3役逆転』」は売りサインですから、これから値下がりする可能性の高い銘柄が表示されています(図5参照)。「基準線連続下降」の数値のほか、「3役好転」とは逆にマイナスに乖離している「遅行線カイリ率」「転換線カイリ率」それぞれの矢印を使ってソートも行えます。


図5 売りサインとなる一目均衡表『3役逆転』
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 なお、一覧で銘柄が表示されるとはいえ、株式市場の地合いが悪化し始めた時などはかなりの数になる場合もあるでしょう。これまでご紹介したように、実際に売買を行う銘柄を探す際には、自分が普段から取引している市場から銘柄を選んだ方がよいでしょう。表の上部にある「市場別」と「時価総額別」のフィルターを活用して、銘柄をある程度選別してみましょう。

 チャートの表示や分析については、本連載の「(7)有望株の選別はチャートがキモ!」「(8)大化け期待の有望成長銘柄をチャートで探そう」「(9)市場の評価をチャートで確認しよう」「(10)損をしたくないなら、売買タイミングをチャートで分析しよう」を参考にしてください。



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