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【特集】見るべきは「高いか安いか」より「強いか弱いか」

楽天証券・土信田雅之さんに聞く「コロナ相場後の投資戦略」~最終回

~株探プレミアム・リポート~

文/福島由恵(ライター)、構成/真弓重孝(株探編集部)

土信田雅之さんのプロフィール:
土信田雅之楽天証券経済研究所シニアマーケットアナリスト。国内証券会社にて企画や商品開発に携わった後、2011年より現職。中国留学経験があり、アジアや新興国の最新事情にも精通している。楽天証券「トウシル」の「信用取引入門講座」で信用取引のノウハウを紹介するほか、連載中のコラム「テクニカル風林火山」「一生モノの株投資力養成講座」などが好評。


第1回「もう「逃げ」も「乗り」も遅れない、それならコロナのほかにココに注意」を読む
第2回「レバを掛けるなら、短期勝負の順張り戦略がテッパンなわけ」を読む

日経平均株価は6月以降、ボックス相場に入っているとはいえ、6月15日には約775円と前日から3.5%の下落後、翌16日は約1051円と4.9%の上昇を見せた。

最近でも、7月31日には約630円と3%に迫る下落が起こっており、小康状態ながらもボラティリティー(株価の変動率)を突如高めてしまう心情心理が垣間見える。

経験則上、大きな波乱が起こりやすい秋を間近にして、ボラが高まったら相場変動の2倍や3倍の変化率をもたらすETF(上場投資信託)や、手元資金以上のポジションを組める信用取引で、効率アップを狙う人もいるだろう。

その際に肝に命じておくことが、レバ投資では「短期勝負の順張り」が原則ということ。楽天証券の土信田雅之さんは、相場が上昇ないし下降へと、トレンド転換したことを確認し、見通しが狂ったときに備えて、値幅ではなく株価の変化率を基に損切りポイントを決めることが重要と言う(前回記事参照)。

最終回の今回も、土信田さんから引き続きレバ投資を活用するにあたってのテクニカル面での注意点や攻め技について紹介してもらった。

相場は時に実体経済とかけ離れた動きをする

―― 相場のトレンドに乗る「トレンドフォロー」のスタイルで投資する際、心掛けたい大事なポイントはありますか?

土信田雅之さん(以下、土信田): トレンドに乗る際は、株価が「高いか安いか」ではなくて、相場の勢いが「強いか弱いか」で判断していくことがポイントとなります。

相場の格言では「値惚れ買い(値惚れ売り)はするな」という趣旨のフレーズがいくつかあります。株価そのものにこだわって、水準が「高いから」または「安いから」というだけで判断していかないことですね。

今回のコロナ相場でも見られたように、2月後半からは新型ウイルスの感染拡大の不安から、世界的に経済状況が悪化することを先取りして株価がつるべ落とし的に下がっていきました。

そんな総悲観モードの転機になったのが3月19日でした。日経平均株価が年初来安値を付けた後、世界の中央銀行がこぞって過去にない規模の金融緩和政策を打ち出したことや、各国で大規模の財政出動に乗り出すことが確実になってくると、経済回復への期待感から株価は反発し始め、3カ月弱で底値から一気に40%も回復する上昇を見せました。

急激な株価変動は、世界経済に対する不安と期待を先取りしたもので、実体経済とはかけ離れた動きだったと言えます。投資家が一気に弱気ないし強気に傾けば、一方向に突き進んでいくのが株式相場で、このことからも株価の高低だけでなく、方向性の強弱にも目配りが必要なことがわかります。

「行き着くところまで行く」のパワーでトレンド継続

―― 改めて今回の暴落状況を振り返ると、下がり始めた当初はこれまでの経験則から日経平均はPBR(株価純資産倍率)が1倍程度水準で下げ止まるだろうという見方が支配的で、今年3月当時は2万700円近辺が底値水準と見られていました。チャートを見ると、確かに一旦そこで下げ止まりはしたが、そこから一気に4000円近く下げる形になりました。

土信田: 一旦相場に強いトレンドが発生すると、割安や割高を示す指標などは完全スルーの状態で、理屈をすっ飛ばして上昇、ないしは下降を続けることが多々あるわけです。

とはいえ株式市場全体が永遠に下がり続ける、もしくは上がり続けることはありません。それを踏まえて、「このあたりで下げ止まるはず」と期待から先回りして買いを仕掛けるのが逆張り派ですが、先ほどお話したように、相場の下落圧力が強ければ、期待していた水準で止まらず、さらに深押ししてしまうことがあるのです。

■日経平均株価の日足チャート(今年1月~4月末)
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注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同

ですから先回りするのではなく、転換を確認してから勢いのある流れに乗る順張り投資の方が、ボラティリティー(株価の変動率)が高くなっているときは、不確実性を抑えやすくなるのです。

外国人投資家や相場に慣れている投資家は、こうした上昇や下降のトレンドに逆らわず、身を任せて投資していくことが利益をさらいやすいということをよく知っています。

もちろんトレンドフォロー戦略をとっても、相場の流れが突然変わることもあれば、トレンドが転換したと思ったが実は「騙し」で転換を見誤りだったこともあるわけで、100%確実な戦略ではありません。

平均足の切り替わりに着目

―― 転換したと考えたトレンドが継続するのか、もしくは転換を見誤ることを防ぐうえで、相場が「強いか弱いか」を注目することが必要なのですね。

土信田:  川の流れが強ければ簡単には逆方向に押し返されないが、弱ければ比較的容易に押し返すこともできますよね。

相場や株価の方向性に勢いが「ある」「なし」も同じ理屈で、勢いがあればトレンドが持続し、流れを見誤る可能性が低くなり、勢いがなければその逆になります。

―― 相場(もしくは株価)の方向性の強弱を見極めるには、どのような方法がありますか?

土信田: 多くの証券会社の取引ツールで提供されるテクニカル指標の「平均足」をチェックするのが分かりやすいやり方です。ただし、平均足は転換のサインが出るのが早すぎるという性質があります。その短所を補うために、「MACD」という移動平均収束拡散法と呼ぶ手法を組み合わせるやり方が有効です。

―― その平均足とMACDについてうかがいます。最初の平均足とは、株価の連続性を維持するために見る始値・高値・安値・終値の四本値ですね。高値と安値は通常のチャートと同様ですが、始値は前日チャートの4本値の平均、終値は当日のチャートの4本値の平均となります。また2日目以降の始値は、「前日の平均足」の「始値と終値の平均値」になります。

土信田: そのようにして表す平均足の基本的な見方としては、この足で陽線が出ている間は「買いを継続」、反対に陽線から陰線に切り替わったところがトレンド転換点となり、その後、陰線が出ているうちは「売りを継続」という判断ができます。

■平均足の見方
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もう少し細かく見ると、陽線そして陰線の実体部分が長い方が、そのトレンドが強い状態となります。そして、陽線・陰線が前日より短くなったら、トレンド変化の兆しが出てきたと判断できます。

特に、陽線・陰線の実体部分がなくなるほど短くなった場合、つまり「十字線」が表れた場合は、強いトレンド変化の兆しだと見ることができます。

―― 陽線や陰線に上ひげ、下ひげも付いていますが、これは何か関係するのですか?

土信田: 買いのうちでも「陽線に上ひげ」が出た場合は「強い買い」(上のグラフの①)、「陰線に下ひげ」が出た場合は「強い売り」(同②)を表します。反対に「陽線に下ひげ」が出た場合は「売り転換間近」(同③)、そして「陰線に上ひげ」が出たら、「買い転換間近」(同④)というサインです。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



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