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【特集】CAICA Research Memo(7):2020年10月期上期は金融機関向けや「Zaif」向けのシステム開発が堅調

CAICA <日足> 「株探」多機能チャートより

■決算概要

CAICA<2315>の2020年10月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比19.7%減の3,139百万円、営業損失が519百万円(前年同期は298百万円の損失)、経常損失が618百万円(同458百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が610百万円(同476百万円の損失)と減収減益となり損失幅が拡大した。計画に対してもコロナ禍の影響等により下回る進捗となっている。

2019年9月に売却したネクス・ソリューションズの連結除外が大幅な減収要因となったものの、そこは想定内。したがって、計画を下回ったのは、「金融商品取引事業」におけるトレーディング収益が、コロナ禍の影響(金融市場の混乱)により大きく悪化※したことや、「暗号資産関連事業」において暗号資産評価損を計上したことなどが理由である。一方、「情報サービス事業」は基幹システムを担う金融機関向けが堅調に推移するとともに、クシムの連結化(2019年4月)により開始した「HRテクノロジー事業」も上期業績に寄与(約8.8億円の上乗せ要因)した。

※金融商品販売に伴って発生するポジション(エクスポージャー)に対して、ヘッジ取引が急激な市場の変化についていけなかったことによるもの。


利益面でも、ネクス・ソリューションズの連結除外による影響やのれん償却費(クシム連結分)の増加のほか、トレーディング収益の落ち込みにより減益となり、損失幅が拡大した。また、営業外損益に目を向けると、持分法投資損失は91百万円(前年同期は89百万円の損失)とほぼ横ばいで推移。特別損益ではクシムの株式売却益57百万円を特別利益に計上している。

財政状態については、自己資本が四半期純損失の計上により前期末比12.5%減の4,752百万円に減少した。一方、総資産もクシムの連結除外に伴う影響(のれんの消滅を含む)等より同20.3 %減の8,366百万円と大きく縮小し、その結果、自己資本比率は56.8%(前期末は51.8%)に上昇した。流動比率も217.7%と高い水準を確保しており、財務基盤の安全性は維持されている。

各事業別の業績は以下のとおりである。

(1)情報サービス事業
売上高は前期比37.4%減の2,542百万円、セグメント利益は68百万円となった。ネクス・ソリューションズの連結除外による減収は想定内。創業来の主力である金融機関(銀行、証券、保険等)向けは継続案件の受注により堅調に推移するとともに、非金融向けにおいても官公庁向けをはじめ、大手ECサイト運営企業向けのスマートペイの開発等が堅調であった。第2四半期の後半(3月~4月)にコロナ禍の影響を若干受けたものの、基幹システムを担う金融機関向けは景気変動の影響が少ないことから、総じて計画どおりに推移したと言える。利益面でも、ネクス・ソリューションズの連結除外が減益要因となっていると見られるが、持株会社体制への移行により全社費用の配分方法を変更したことから前年同期比の記載はない。また、テレワークの広がりを受けて新たに開始した「セキュリティコンサルティング・サービス」については、まずは簡易診断等により顧客接点を増やす戦略をとっており、引き合いも順調に増えているようだ。

(2)暗号資産関連事業
売上高はマイナス9百万円(前年同期はマイナス43百万円)、セグメント損失は173百万円(前年同期は207百万円の損失)となった。暗号資産関連のシステム開発については、暗号資産交換所「Zaif」のシステムインテグレーションを担い、前期に受注した外部向けの暗号資産交換所システムのインフラ構築等を継続受注した。一方、今期の目玉として取り組んでいる自社開発製品「暗号資産交換所システム」の外販については、コロナ禍による営業先の投資見合わせもあり、受注獲得には至らなかった。なお、売上高がマイナスとなっているのは、市場流動性の低い保有暗号資産の評価損(26百万円)を売上高から減額したことが理由である。一方、今後に向けて明るい材料となったのは、同社グループの暗号資産交換所「Zaif」が業績回復に向けて着々と事業の立て直し(新規口座開設の再開やメニューの拡充等)を進めており、それに伴って、見込んでいなかった「Zaif」からのシステム開発受注が増加していることであり、下期の業績に大きく寄与する見通しとなっている。

(3)金融商品取引事業
売上高はマイナス26百万円(前年同期は205百万円)、セグメント損失は321百万円(同194百万円のセグメント損失)となった。2019年9月より開始したeワラント証券自身による直接販売「eワラント・ダイレクト」については口座数が着実に増加したほか、新商品※の取り扱いも開始した。なお、業績が大きく落ち込んだのは、前述のとおり、コロナ禍の影響(株式市場の混乱等)によりトレーディング収益が悪化したことが要因である。ただ、ポジションの処理を含め、リスク管理対応は完了しており、足元の業績は大きく改善しているようだ。また、利益面でも、トレーディング収益の落ち込みに加え、今後の収益ドライバーとして期待されるCFD取引サービス開始に関わる先行費用により損失幅が拡大した。

※直近の株価パフォーマンス上位銘柄及び下位銘柄で構成されたバスケットに対して投資をすることができる「ベストテン・パフォーマンスバスケット2eワラント」及び「ワーストテン・パフォーマンスバスケット2eワラント」。


(4)HRテクノロジー事業
売上高は881百万円、セグメント損失は18百万円となった。Eラーニング事業においては、法人向け学習管理システム「iStudy LMS」や「SLAP」の引き合いが堅調に推移したほか、コロナ禍の影響により、研修のあり方や社員の能力育成を検討する企業も多く、企業におけるeラーニングのニーズは拡大傾向にある。アカデミー事業においても、高度IT技術者採用支援、研修業務の受託代行などサービスの拡充を図った。また、同社グループのIT技術者の育成にも取り組んでおり、ブロックチェーン等の新たな技術を用いた付加価値の高いシステム開発の基盤拡充にも貢献している。インキュベーション事業としては、AIを活用した共同研究事業※が予定どおり進捗している。なお、2020年4月及び6月にクシム株式の売却を行ったことに伴い、クシムは連結除外(グループ外)となったことから、当セグメントは第2四半期までの取り込みとなった。

※東京大学松尾研究室及びパートナー企業の社会福祉法人善光会と、AIを活用した共同研究を進めている。本研究成果としては、2020年秋ごろにAIを活用したシステムプロダクトのローンチを予定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《YM》

 提供:フィスコ

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