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【特集】ウェーブロックHD Research Memo(9):2021年3月期は下期からの回復を見込む

ウェーブHD <日足> 「株探」多機能チャートより

■今後の見通し

1. 2021年3月期の業績見通し
ウェーブロックホールディングス<7940>の2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比0.9%減の29,000百万円、営業利益で同1.4%減の1,600百万円、経常利益で同1.2%減の1,580百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同9.8%減の1,000百万円と若干の減収減益を見込んでいる。上期については新型コロナウイルス感染症の影響で営業利益は前年同期比15.4%減と落ち込むものの、下期から徐々に需要が回復することを想定して計画を策定している。

新型コロナウイルス感染症の影響について、同社は以下のように分析している。

(1)バリューチェーンへの影響
原材料の川上にある原油を除けば、海外依存度は低く、バリューチェーンの大半は国内で完結していることから、国外との移動制限等によるバリューチェーンの断裂は起きにくい。

(2)原材料仕入
原油価格が4月から5月にかけて急落したことに伴い、主要原材料価格の指標となるナフサ価格は、2020年1~3月の44,800円/klから4月は29,000円/kl台となり、7~9月には2万円台前半の水準まで下落する見通しとなっている。2021年3月期業績計画におけるナフサ価格の前提は45,000円/klとしており、原材料価格下落に伴うコストダウン効果は第2四半期頃から出てくるものと思われる。ただ、一方で製品売価もタイムラグをおいて下落圧力が増すため、その影響を織り込むことは難しい状況と言える。同社の製品のなかで包装資材などは主要取引先から原材料の供給を受けて製造していることもあり、原材料の変動が比較的短期間で製品売価に反映されやすく、売上高の下振れ要因ともなる。

(3)製造及び販売への影響
製造面では製品ごとに独立し、地域も国内を中心に複数拠点に分散しているため、環境の激変に対する耐性は強く、また、物流面でも拠点ごとに複数の業者を確保しリスク軽減を図っている。

販売面についても、事業領域並びに販売チャネルが多岐にわたっていることから、今回のような環境激変の際の耐性は強く、大打撃を被るリスクは低いと見ている。一方で、新型コロナウイルス感染症対策として、間仕切りシートや飛沫防止シートなどの特需が発生している。

(4)財務面
新型コロナウイルス感染症の影響で売上高が大きく落ち込んだとしても、手元キャッシュ(20億円強)のほかに、金融機関からの借入可能枠もあり、当面の資金繰りの不安はない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YM》

 提供:フィスコ

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