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【特集】和島英樹の「明日の好悪材料Next」~第5回

全固体電池やハイブリッド車など株式市場のテーマになりやすい話題が多く

和島英樹和島英樹(Hideki Wajima)
株式ジャーナリスト
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

【今回チェックした「明日の好悪材料」記事一覧】
6月19日分
6月22日分
6月23日分
6月24日分
6月25日分

6月19日~25日分では半導体の微細化、全固体電池、ハイブリッド復活など株式市場のテーマになりやすい話題が多かった。周辺銘柄を合わせてチェックしておきたい。

6月19日大阪有機化学工業<4187>
■好悪材料~上期経常を25%上方修正・最高益予想を上乗せ、配当も3円増額

独立系の化学企業で塗料、インキ、粘接着剤、電子材料部材の樹脂原料として幅広い産業に使用されるに強い。

2020年11月期中間(19年12月~20年5月)の営業利益は、前回予想を5億200万円上回る23億8400万円(前年同期比35.1%)となった。ただし、売上高は2億1900万円未達の143億4200万円(同1.1%増)だった。

上期は半導体材料を中心に電子材料事業の販売が好調に推移したため、利益面で前回発表予想を上回る見込みになったとしている。中間配当は前回予想を3円上回る23円とする。ただ、通期業績予想に変更はなく、期末配当は従来予想と同じ20円に据え置き、年間配当は43円とする方針。

同社は2018年5月に約22億円を投じて、半導体のレジスト(感光剤)用モノマーの新規設備の建設を発表。19年10月に完成、量産体制を整えた。供給力は従来に比べて約1.5倍になった。発表資料によると近年デバイスメーカーもシングルナノ(ナノは10億分の1)オーダーの超微細加工を本格稼働させている。

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注:写真はイメージ

それに伴い同社は、微細化に不可欠な露光技術であるEUV(極端紫外線)向けのモノマーも試作段階から本格的な量産段階に移行している。最先端レジスト用モノマーは金属不純物の混入を極限まで下げることが要求されており、これに応えるために新規増設を行なった、などとしている。

半導体ではTSMC(台湾積体電路製造)やサムソン電子がEUV露光装置を使い、7ナノ半導体の量産化が本格化している。同社も微細化の恩恵を受け始めたといえ、通期業績も増額修正に進む公算が大きい。

EUV露光装置向けマスクブランクス(回路原版)検査装置でシェア100%のレーザーテック<6920>、回路パターンを半導体ウエハに転写するのに必要なマスクブランクスで世界シェアトップのHOYA<7741>などには再度関心が向かいそうだ。

6月22日分 ジーエス・ユアサ コーポレーション<6674>
■好悪材料~車載用リチウムイオン電池がトヨタ自動車<7203>のハイブリッドシステム(THSⅡ)に初採用。新型ハリアーのハイブリッド(HV)仕様車に搭載

採用された電池は「EHW4S」で、6月17日に発売されたトヨタ自動車の新型SUVハリアーに搭載された。発表資料によると低抵抗技術の採用により、入出力特性を同社の従来製品と同等とした上で、ハイブリッドシステムに求められるエネルギー量の最適化をおこない、同社の従来製品から10%以上の軽量化と20%以上の小型化を実現したという。同社ではハイブリッド車(HV)120万台分以上の電池を安定的に供給。新電池の拡大が期待される。

■トヨタ自動車のウェブサイト内にある新型「ハリアー」のページ
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最近、HVの需要増に追い風の材料が登場した。報道によれば、中国政府は6月22日に、2021~23年の環境規制を正式に発表。従来は電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などの新エネルギー車(NEV)が優遇されていたが、今回ガソリン車の中に「低燃費車」のカテゴリーができ、そこにHVが含まれる。NEVの販売を義務づけられる台数がガソリン車に対し減少し、HVが相対的に優位になる。

野村証券が22日に発行したリポート、「中国で低燃費車の優遇が正式決定」によると、20年3月期の中国でのHV販売台数はトヨタが約30万台、ホンダ<7267>が約10万台と市場をリードしており、消費者にも受け入れられ、補助金なしでも好採算になっているという。

今後のHVの拡大で両社のシェアが拡大すると予想する。また、部品ではパワーコントロールユニットなどの電動化関連製品に強いデンソー<6902>、HV関連製品を手がけるアイシン精機<7259>に追い風とも。

6月23日分 FDK<6955>
■好悪材料~SMD対応小型全固体電池「SoLiCell」を年内量産開始
FDK<6955>は富士通<6702>系の電池やハイブリッドモジュールなど電気エネルギー事業に注力する会社。次世代電池の開発に取り組み、小型全固体電池「SoLiCell」はその一つ。


SMD(表面実装部品)対応の小型全固体電池は、従来の電池に使用している電解液を、固体に置き換えた2次電池になる。電解液には液漏れや発火の恐れがあるが、電解液が固体ならこれを回避できる。

そのほかのメリットとしては短時間での充電が可能になり、また用途も広がる。例えばIoT機器やウェアラブル、RTC(リアルタイムクロック=コンピュータに内蔵された時計)、SRAM(半導体メモリの一種)/MCU(演算処理を行う半導体デバイス)などの半導体関連製品や、これまで電解液を使用した電池では適用困難な過酷な条件下(高温、真空ほか)など高耐久性が求められるアプリケーションに使える。大きさは、縦4.5ミリ、幅3.2ミリ、厚さ1.6ミリメートル。

2021年3月期の第3四半期中に量産開始するための整備を進める。今年度中に月産30万個の生産体制を整備し、23年3月期には月産200万個の規模とする計画。

■『株探』プレミアムで確認できるFDK<6955>の長期業績の成長性推移
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全固体電池は酸化型と硫化型に分かれ、前者は小型化・省電力で、IoT、工場自動化などでの利用が有望。後者は電気自動車など大型・大電力に向くといわれている。

酸化型ではFDK<6955>のほか、村田製作所<6981>、TDK<6762>、オハラ<5218>などが取り組む。また硫化型では日立造船<7004>、トヨタ自動車<7203>、マクセルホールディングス<6810>などが手掛けている。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



 

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