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【特集】雨宮京子氏【アフターコロナでどう動く、個別戦略の急所】 <相場観特集>

雨宮京子氏(SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー)

―日経平均株価の上値重くても「森より木」で乗り切る―

 東京株式市場では、前週末に日経平均株価 が終値で2万円台に復帰し、この流れが続くかどうか週明けの動きが注目されたが、朝方は戻り売りに押される場面はあったもののこなし切り上値を指向する展開となった。25日移動平均線をサポートラインに頑強な値運びが続く。「セル・イン・メイ」の格言も脳裏にちらつくところだが、果たしてここからの相場はどういう軌道を描くのか。鋭い洞察力と銘柄観で定評のあるSBI証券・投資情報部の雨宮京子氏に話を聞いた。

●「コロナ以前よりも成長する企業に注目」

雨宮京子氏(SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー)

 新型コロナウイルスに対する警戒感は感染第2波への可能性などを背景に完全に拭い去ることはできないが、日本では39県の緊急事態宣言が解除され、徐々に経済活動の再開を織り込む動きとなってきた。終息に向かった場合でもこれまでとは違った新しい生活様式が浸透し、アフターコロナは収益が元のレベルに戻らない企業が出る一方、コロナ以前よりも成長する企業が登場するなど、ビジネス業態によって明暗を分けることになりそうだ。

 また、全体相場も昨年秋から今年の初めまでに演じた一本調子の上げは期待しづらく、ここからの日経平均の上値は重そうだ。モメンタム重視の相場だが、PERなど指標面から買い進むのは限界もある。当面のレンジは上値が2万500円前後とみる一方、押し目はやや深く1万9000円台前半まで下値を試す局面も考えられる。ただし、基本的には決算発表シーズン通過後もレンジ相場でのもみ合いを予想している。緊急事態宣言の解除後も当然ながら下値リスクは意識され続けるだろうが、個別にみて「ウィズコロナ」で伸びる企業も数多く存在するため、売り一辺倒に傾く地合いは想定しにくい。

 株式需給面では、コロナショックによる狼狽的な売りは既に終わっており、中期的にみても下げ圧力は峠を越えている。大きな資金の流出及び流入がないなかでの、銘柄間の資金移動、ポートフォリオの組み換えが活発化することが予想される。個別重視の姿勢で投資家は報われる公算が大きい。ガラリと変わった今の環境に対応できる力のある企業をどう発掘していくかが、個別株戦略のカギを握ることになる。

 まず、企業の淘汰再編の流れが強まるなか日本M&Aセンター <2127> に注目。また、新型コロナ感染拡大の防止で脚光を浴びたテレワーク関連で住宅向けネット接続を手掛けるフリービット <3843> や、教育ICT関連ではウチダエスコ <4699> [JQ]などが改めてマーケットの視線を集めそうだ。また、新型コロナの影響で企業保証サービスの需要が増加傾向にあるなか、イー・ギャランティ <8771> にも活躍余地が広がるとみている。最後にここ上昇トレンドが鮮明なイグニス <3689> [東証M]も面白い。巣ごもり消費の一角であり、恋愛・婚活 マッチングサービス「with」が新しい生活様式に適合する形で今後収益に貢献しそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー。元カリスマ証券レディ。日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスターなどを経て現在に至る。

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