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【市況】明後日の株式相場戦略=モメンタム重視で出世株相次ぐ

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(28日)の東京株式市場では日経平均株価が12円安の1万9771円で着地。上値の重さと底堅さが共存する地合いで波乱要素には乏しく、結局小反落となった。米国株のリスクオンモードは心強いが、日本は経済活動再開に向けての動きでは周回遅れといってよいだけに、2万円大台を前にある程度の瀬踏みはむしろ必要といえる。なお、東証1部の値上がり銘柄数は全体の6割を占め、TOPIXはプラス圏で引けている。今週は日米欧の金融政策会合が売り方の仕掛けを封印しており、気をつけるのであれば大型連休明け後ということになりそうだ。

 きょうの相場ではイビデン<4062>が圧巻のパフォーマンスを示した。売買代金を一気に膨らませ18%を超える急騰。同社が前日引け後に発表した20年3月期決算では、営業利益段階で前の期比94%増の196億8500万円とほぼ倍増となる伸びを達成。更に、21年3月期営業利益については前期比37%増の270億円予想とこれまた強気の見通しを開示しており、これが投資マネーの食指を動かした。車載用や次世代通信規格5G向けが高水準なうえ、最近のテレワーク導入加速の動きがデータセンター増設の動きも促し、半導体パッケージなどの需要を強く喚起するとみているわけだが、足もとの好調な業績もさることながら、こうしたシナリオを堂々と描ける同社の姿勢に共鳴する資金が株価を押し上げた格好だ。半導体関連全般においても、先行き見直しの動きを誘発する良い契機となるかもしれない。きょうはレーザーテック<6920>、ホロン<7748>、ローツェ<6323>といった一連の半導体製造装置周辺に大中小を問わず買われるものが目立ったが、少し視界を広げて半導体デバイスを取り扱う独立系商社の日邦産業<9913>なども浮上のタイミングが近づいている可能性がある。

 このほか個別では巣ごもり関連が引き続き強く、前日ストップ高した電子書籍のイーブックイニシアティブジャパン<3658>がいったんは利益確定売りで2000円台を割り込んだが、後場に買い直される展開で大きくプラス圏に浮上する強さをみせた。富士山マガジンサービス<3138>なども一時75日移動平均線を上回り900円台乗せ目前に迫る場面があった。ゲームではニンテンドースイッチ人気の恩恵を享受しているイマジニア<4644>が1000円絡みで強調展開、早晩1070円近辺を走る75日移動平均線を意識する場面が訪れそうだ。同社株はゲーム関連の小型株に見られがちな急騰力にはやや乏しいものの、PERや配当利回りなどの株価指標面から安定感がある。

 巣ごもり関連の流れで押さえておきたいのは、娯楽だけではなくオンライン教育というジャンルもある。これはテレワーク教育ICTとも合流するテーマであり、今後改めて買い直される銘柄が出てきそうだ。そのなか、光学機器で教育ICT特需にあやかっている銘柄としてテクノホライゾン・ホールディングス<6629>はどうか。25日線サポートの展開から本格離陸しそうなムードが漂う。

 新型コロナ駆逐を担うバイオ周辺も喧騒に包まれている。テラ<2191>はグッドタイミングで材料が出たとはいえ、強烈な2段上げの態勢。「COVID-19肺炎に対する間葉系幹細胞を用いた治療法の開発に関する共同研究契約の締結」でここまでの買い人気を集めるのは、知的財産権の帰属という文言が効いたにせよ、やはり株価の位置が大きなウエートを占めていると思われる。ファンダメンタルズよりモメンタム重視。今が材料株に飢えた地合いであることを再認識させられる。

 新鮮なところではプラスチック関連株に目を向けてみたい。原油市況の急落についてはネガティブな切り口の論調ばかりが目立つが、実際は収益面で有利に働く業種も少なからずあるわけで、そこに光を当てる作業も必要だろう。そのなか、樹脂成型品の専業メーカーである天昇電気工業<6776>の200円台は魅力的に映る。また、同社と資本・業務提携関係にある樹脂加工大手タキロンシーアイ<4215>もマークしておきたい。

 日程面では、あすは昭和の日で東京市場は休場となるが、海外では米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表とパウエルFRB議長の会見が注目される。また、これに先立って1~3月期米GDP速報値も発表される。
(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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